梯子、段階、引き寄せの法則

口伝等あるので、明確には避けますが、マルセイユタロットには梯子の象徴がいくつか描かれています。「梯子」ということから何かを上り下りするわけです。「何か」とは皆さまの想像にお任せします。

そして、その梯子の象徴を見ていると、段階というものをやはり思います。

梯子は階段と言ってもいいわけで、何事も、ひとつひとつ習得したり、クリアーしたりして、次の段に移ることができるのだと考えらます。

階段とか梯子とか言いますと、つい、昇ることばかりをイメージしがちですが、当然、降りることもあります。

上り下り(昇り降り)両方とも、一足飛びには行かないものです。(まあ、特別な能力とかツールがあれば可能かもしれませんが、それは反則みたいなものです)

ところで、「スピリチュアル」という言葉が、今は一人歩きして、何やら不可思議なこと、見えない存在との交流が可能なことのライトな意味に思われてしまっている節があります。

本来は「霊性」と訳してもいいもので、かなり統合的・包括的・象徴的概念で、現世利益的なことからは離れているものとも言えましょう。

しかし、ライトな意味合いでのスピリチュアルは、かなり現実的な利益性と結びつけられているところがあるようです。

例えば、「引き寄せの法則」という考えと言いますか、“信仰”のようなものがあります。

簡単に言えば、願えば叶う(強く思ったことは引き寄せられ、現実化する)というものです。

これは、個人的には、まったくの嘘ではないとは思います。

しかしながら、ライトスピリチュアル界隈で例えられている「引き寄せの法則」となりますと、かなり安易で、楽して儲けたいとか、簡単に夢を叶えたいというもののように見受けられます。

もちろん、心理的なブロックして、自分の観念に「成功は苦労しなければ手に入れられない」とか「お金は汗水たらして稼ぐもの」とか、「幸せのためには不幸も経験しなければならない」という掟・ルールのようなものがあれば(つまりはもうそれが信念、信仰になっているわけです)、その通りになるよう、無意識的に自分をそうさせてしまうこともあります。

けれども、私たちは、肉体を持ち、物質の世界で精神を抱いて生きる存在です。要するに、物理的法則のようものが必ず働く世界にいるわけです。

思ったことがそのままダイレクトにすべて実現すれば、とんでもない世界になります。それゆえ、時間的・物理的干渉があるのです。

ただ、時間的なことでも、ライトスピリチュアル界では誤解があるようで、願ったことが叶わない(引き寄せられない)のは、時間差があるからだ、と思っている方もいるようです。

深く考えると、確かにそれはそう(時間差・タイムラグがあること)かもしれないのですが、やはり、時間だけではない制約・ルールがこの(現実)世界にあることが無視されているように感じます。

そこで梯子や階段なのです。

物事が成就するには、すべて段階を踏んでいると考えられます。これはおそらく精神世界においても同様でしょう。ただその表現が異なるだけだと思います。

マルセイユタロットのみならず、占星術、カバラーなど、古代思想・体系においては、皆、一様に「段階」や「レベル」のようなものが想定されています。

たとえ魔法世界であろうと、そこにはルールがあります。

魔法の力を行使するには、それなりの準備と段階を経なくてはならず、その過程があって初めて発動されるわけです。

ですから、「引き寄せの法則」であっても、そこには段階があると見るのが、ライトスピリチュアル的な考えであっても、持っておいたほうがよいように思います。

引き寄せには、イメージとか思いが大事だと言われます。

それならば、何かを得たいのであれば、それが得られるイメージを段階的に思い描くことも必要でしょう。

望みや願いの最終結果だけイメージしても、その途中・過程のイメージが省略されてしまっていては、まさにイメージにおいての「段階」をすっ飛ばしてることになり、それでは、叶いにくくなるのも、仕方ないと言えるわけです。

「イメージ」の中でも、ひとつひとつ梯子を上って行く、梯子に手をかけて行くような“段階別イメージ”を形成していく必要があると考えられます。

この努力を怠っていては、普遍的な物事の成就ルールというものからはずれていることになり、引き寄せの法則ようなものでさえ、その実現と効力発揮も難しくなる言えます。

ただし、これとはまったく逆の発想・方法もあります。

それは結果のイメージを強く持ち、あと(過程)は自分の無意識の領域に任せるというやり方です。言わば、梯子や段階をあえて飛ばすようなものです。

ただし、これが可能なのは、私が思うに、梯子作業がある程度できるようになってからではないかということです。

それに、これには、絶対なる自分の信頼(自分を神と認識する自信、言い換えれば自分の中に宇宙を持つこと)が必要だと思います。

たいていの人は、引き寄せ作業を行っても、自分=宇宙の信頼が中途半端なため、無意識領域で創造やお膳立てが行われることに疑念が生じます。

自分=宇宙などと表現しますと、それこそライトスピリチュアルそのものみたいな感じ(笑)がしますが、ライトスピリチュアルでよく言われている「自分=宇宙」のようなことは、実は宇宙を何か(万能に叶えてくれる)外の神のように見て、むしろ自分と切り離してしまっているのが実情のように見えます。

自分が宇宙や神であるということは、おかしなことに聞こえるかもはれませんが、自分が悪魔であるということにもなるのです。

自分が宇宙や神であると認識するには、まずは自分が悪魔であることも自覚しないとならないわけです。(これは私のマルセイユタロット講座を受講している人なら理解できることだと思います)

そのような人は、引き寄せで、あえて段階を飛ばしてイメージしても、願いは叶いやすくなると思います。

そうでない人は、まず、物理法則世界のルールも勘案して、同じようなルールが精神の世界にもあると想定し、イメージにおいても段階を踏んでいくことです。

もし、その過程において、どうしてもイメージ(想像)しにくい部分があれば、それこそがあなたの限界であり、あなたの夢を実現することを阻んでいる部分、あるいは弱点(補強しなくてはならないもの)とみなすことができます。

そして、それは他者や他の情報からトレースすることも可能なのです。

自分の限界は自分が超えていくことになるわけですが、超えるための情報は、今の状態の自分以外のもの(人)が持っていることがほとんどです、つまり、宇宙(自分)は「全体(他者も含むもの)」なのです。

単純に願えば叶う、思えば引き寄せられる、という幼稚園児的な発想から脱し、現実逃避や過程を省略することに注意したいものです。(※繰り返しますが、「引き寄せの法則」を否定しているのではありません。この法則そのものは真理を含むところはあると考えています)

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