家族、人間関係、タロット、力
タロットカードの象徴性の力は、一般的な意味での「象徴」(抽象的のものを形や図などで表すとか、比喩的に見るとかの意味)とは別のものがあります。
それはまさしく、「力」と言っていいもので、マルセイユタロットの大アルカナにも、「力(フォース)」というカードで直接表されています。
余談ですが、フォースと聞けば、映画スターウォーズを知っている人ならば、その言葉は聞いたことがあるはずで、そこで描かれている“フォース”は、いわば、このタロットが示している「フォース」の映画的(エンターテイメント的)表現と言ってもよいと思います。
今回はフォースが何かについて語るのではなく、とりあえず、タロットには象徴的な何かの力が宿るみたいな話です。
マルセイユタロットの、中でも大アルカナと呼ばれている22枚のカードたちは、わかりやすい絵柄になっており、まさに象徴としての機能が明確です。
象徴機能としては、個人的にはほぼ万能であると見ていて、あらゆることをカードで表す(理解させる)ことができると考えています。
従って、マルセイユタロットを学習することは、とても物事の理解、把握、整理に役立つことは確実で、さらに言えば、普通のことだけではなく、いわゆる見えない領域(心とか霊的なこととか)にもそれは及びますので、何倍もの価値があります。
さて、私たちの悩みには、いろいろなものがありますが、その中でも人間関係というのが、大きな位置を占めています。
人間関係の悩みを解決するには、タロット的には「愚者」(自分軸の自由の象徴)になるのが一番なのですが、そうなれないから皆さん、悩むわけですよね。まあしかし、今日の本題とは、ずれますが、日本人の場合は、特に自分中心(自分自身を大切にする)考えと行動をもっと取ると、楽になって、人間関係的にも悩みが少なくなる気はします。
話を戻します。
人間関係の悩みの根本的な要因になっているもの、または原因のパターン(型)になっているもので、自分の家族があります。つまりは、自分が育ってきた家族環境や構成、その力学的なものの関係(による影響)です。
それが身の回りの社会の人々(関わる他人)にも投影されて、父や母、兄弟・姉妹のような感じ(対応)で、無意識に自分がふるまってしまうわけです。
それには単なる好き嫌いの感情のレベルもありますし、自分が意識(自覚)できていない部分での、様々な感情・思い・ルール・トラウマのような深いものもあります。
それらが、全部とは言いませんが、やはりひとつの反応パターンとして、対人関係に出てしまうわけです。
そして、知らず知らず、自らで自分の家族を再現し、かつてあった問題性や反対の心地よさを別の人にあてはめようとして、何らかの心理的調整を他の人間関係で図ってしまうということになります。それが問題として生じることもあるわけです。
そこで、タロットの、特に大アルカナを家族の象徴として見立て、関係性を客観視し、偏りや思い込みを浮上させて、カードの世界で修正してしまうことにより、家族から発生させていた、現実の対人的(人間関係)問題を変えていくことが期待できます。
ただ、これには、カードを学び、象徴を単なる思想的なものでなく、本当の力・フォースとして扱う必要が出てきます。
ファンタジー的な言い方をすれば、タロットカードと世界がつながって、カード自体、一種の世界(環境)操作のパネルとなるというイメージです。
周り(世界)のことをタロットにあてはめるのではなく、タロットのことを世界にあてはめる作業と言え、普通の見方(方向性)とは逆になります。
別の言い方をすれば、タロットの象徴世界をリアル空間の情報とリンクさせ、ほとんど同じ感覚にするということになります。
多分に魔術的でもありますが、比較的ライトな段階では、心理レベルで扱うことができ、そのレベルにおいては安全と言えます。(逆に魔術レベルまでにしてしまうと、それ相当のフォースの扱いの訓練がいり、サイキック的影響の懸念もあり、下手に介入するのは危険です)
こう書くと、まるで事象を変えるためにタロットを使うみたいな怖い印象・イメージも出ますが、それはその通りで、タロットと外の世界が同じ次元と情報レベルとして同調させることができると、おそらくそのタロットを扱う人は、かなりの度合いで、自分の望み通りに世界を変えていくことができるでしょう。
※ただ、実際の世界が変わるというより、あくまでその人の世界観が変わる(そのように感じ、見えてしまうようになる)と言ったほうがよいでしょう。とても主観的な世界の話なのです。
まあしかし、そこまでできる人は、先述したように、それなりの訓練、修行が必要ですし、そのような目的(利己的な願望実現)でタロットを使うものではないと私は考えます。
とはいえ、タロットが実際的な力としての象徴性があることを知ると、カードというのは絵空事ではなく、現実と世界に影響を及ぼすことができるものだとわかってくるでしょう。ただし、何度も言うようですが、その扱いには注意が必要ですし、技術的にも難しいところがあり、単にタロットをやっているだけで、そのようになるわけではありません。
ともあれ、家族関係について、カードで象徴させて、それを見直していくという作業が、一般的に自分の人間関係の修正や改善につながっていくという話です。
この反対の、まず人間関係そのものをタロットで見て(象徴させ)、自分の家族などの関係性・力学的なものに実際に入って行く(気づきを得て行く)という修正方法もあります。
これはむしろ、タロットリーディングとかタロットの活用のノーマルな方向性と言え、普通に多くの人(タロット使用者)がやっていることでしょう。
マルセイユタロットの研究家・実践家としても知られている、映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキー氏は、家族療法をタロットを使って施しており、それを実際に私も見たことがあります。
氏はまた、独特のサイコマジックという手法で、人の心理的・サイキック的な悩みや問題を癒していますが、それもある種の「力」としての象徴を行使しているのだと見ることができます。言ってみれば、魔術の原理と、とても似ています。
要するに、実際的な力として影響が出る「象徴」なのか、単なる文字とか思考においての比喩、言い換え道具のような「象徴」なのかの違いというわけです。
タロットの場合は、その両方で扱えるわけですが、特に「力」をもった象徴になるということでは、ほかのもの(ツール)とは大きく異なるわけです。
しかしながら、その力も、結局は、タロットというものを自分の中に落とし込む程度によりますし、つまるところ、タロットをどこまで信じるか(リアリティを持つか)にかかってきます。(妄信ではない信念です)
漫然とタロットをやっていてもダメですし、また占いばかりになって、「〇〇になる」というような、託宣を受ける受動的な態度が固まってしまうと、「力」との関係はできず、逆に世界の情報に自分が操られる(環境や他人側のフォースに屈する)ことになります。
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