タロットに描かれる動作

安倍元首相が凶弾でお亡くなりになるという衝撃的ニュースで、日本が騒然としています。長期政権を担った元首相の方ということで、様々な憶測があるでしょうが、今はとにかく、ご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。

ただ、奈良という、いにしえの土地で、直接的関係はないにしても、安倍姓の方が倒れられたというのは、何か日本において特別なもの(警告)を感じさせる気はいたします。私たちも心して、これからの時代、生きて行く必要があるのかもしれません。

さて、今日はマルセイユタロットにおける(描かれ、象徴される)動き(動作や姿勢)というものにふれたいと思います。

マルセイユタロットに限らず、伝統的な流れを汲むタロットの構成は、大アルカナ、小アルカナに大別され、さらに小アルカナにおいても、宮廷(コート)カード、数カード(スート、数札)に分かれます。

マルセイユタロットの場合、大アルカナと宮廷カードは、ほぼ同じ図柄のニュアンスですが、数カードはまったく雰囲気の異なる、記号的な模様になっています。

ですから、「動き」という点で見れば、あまり数カードにはそれが見えにくいものがあります。しかし、よく観察すると、剣・杯・杖・玉の数カードは、1から10に向かって、まるで細胞分裂する(逆に言えば、何かを形作る)かのように動いているのがわかります。

例えば、剣の組は、明らかに円運動を意識して描かれています。剣そのものは直線的なのに、というのがとても面白いのですが、そもそもマルセイユタロットの数カードの剣は、湾曲している剣が主なので、そういう円的なものに見える構図となるのです。

剣が湾曲しているものが選ばれている理由は、いろいろと推測されますが、運動的なもので見ますと、直線と円を意識させるため(その統合)ではないかという思いも出ます。

というのも、マルセイユタロットには、ふたつのエネルギー(性質)の統合ということが、テーマとして常に描かれているからです。

さて、大アルカナや宮廷カードはどうでしょうか?

これらのカードは、人物が描かれていることが多いです。特に宮廷カードは、人物カードと別称されるくらいですから、すべて人物になっています。

ということは、人間の動きというものを、ひとつのテーマとして見ることが可能です。(ちなみに、私の講座では、宮廷カードの読み方について、人の動きを主眼とするものも教えています)

人間の動きというものは、立つ、座る、歩く、止まる、横たわるなど、基本的動作から、相手や状況により、複雑なものへと変化します。

人は無意識に動作するものもありますし、意図して動作する時もあります。ですが、どちらであれ、体は何かのために姿勢やその動作をする(取る)わけで、意味もなく勝手に動いているわけではないでしょう。

すると、基本動作を中心に、自分が意識(意図)していない場合でも、そういう動作が出ているのなら、自分の中にその動きを取るべき何かが起こっていると見ることができます。

簡単に言えば、体は正直だということです。整体師の方などにとっては、常識的なことだと思います。

私は、野口整体系統の整体をしていらっしゃる河野智聖氏の整体を受けていますが、先生は体癖という表現で、人による体の癖のお話をされます。

体癖にはパターンがあるようで、その体のパターンが思考や感情にも影響を及ぼし、価値観の形成、物事の選択にも関係すると言われています。ということは、極端に言えば、自分の人生を決めて行く要因のひとつにもなると、考えられるわけです。

このように、体の動きとか姿勢というのは重要と言えるわけです。

そこで、タロットに話を戻しますと、例えば大アルカナを一枚引き、その出たカード人物の動き・姿勢によって、隠れたもの(自分の恐れ、不安、期待、好き嫌いなど)を探るということができるように思います。

今、体はどう感じているのか(そう体に感じさせている思いは何か)、それをタロットが見せてくれるような印象です。

もし、正逆を取るとすれば、本来正立の姿勢や動作がノーマルで望まれる状態だとすると、逆向きは何か問題性があり、反対の姿勢や動作になっているということもあるかもしれません。

カモワン流をやっている人ならば、カード人物の視線をしっかり見るはずですから、その視線方向により、何か判断もできるかもしれません。(その場合は、二枚以上展開させると、さらによくわかるでしょう)

大アルカナの人物を見てもわかるように、実は一人としてまったく同じ動作をしている者はいません。確かに、あるパターン分けは可能でしょうが、厳密には一人一人違うわけです。

同じ立ち姿勢とか座り姿勢であっても、あるカードと別のカートではやはり異なるのです。

※「13」と「愚者」は、ともに右方向に動作していることで共通しながらも、ふたつは明らかに異なる雰囲気の絵柄になっています。どちらが出るか、あるいは両方(複数枚数以上展開する時に)出ることで、そのカードに描かれている所作から、示唆を得ることができます。

そうした細かいことも含めて、タロットから、自分やクライアントの心情(本当の気持ちなど)を読み取って行くというのも、興味深く、慣れれば、かなり有用なツールとして活用できると思います。

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