タロット内の区別とレベル

タロットの種類は、今では数えきれないほどあると言われます。

しかし、古典的と言いますか、昔からあるタロットは、78枚を一組にして、大アルカナと小アルカナというパートにわかれた構成になっています。

正直言いまして、個人的には、この構成になっていないタロットは、タロットとは言えないものと考えています。

いや、この構成からはずれる古いタロットも多いので、そう言ってしまうのも問題かもしれないのですが、あくまで「象徴システム」として使うタロットという意味では、と断っておきましょう。

さて、先述したように、タロットの中には、大と小のアルカナという、一組の中でも、一種の異なるカード同士が組み合わさっているわけです。

当然、そのふたつの違いも出てきます。一般的なタロットリーディング・占いにおいては、この大アルカナと小アルカナを、やはり区別して読むことが多いです。

たいていは、大アルカナが全体的なこと、本質、方向性などを表すのに対し、小アルカナは具体的なこと、現実的判断、詳細な方法などを示すというようにされています。

ただし、流派とか先生によっては、そのような分け方ではないこともあります。

今回のテーマは、大アルカナと小アルカナの違いということではなく、それも含めての、タロット一組の中での差異とか区別のことなのです。

私の扱うマルセイユタロット講座では、カードに良いも悪いもなく、すべて平等の価値で見ていくことを勧めています。

それでも、大アルカナと小アルカナの区別はします。

とは言え、よくあるような単純な区別ではなく、大アルカナと小アルカナの密接な関係性と、そのレベルや次元をきちんと説明しての区別なので、私の講義においては、この両者の使い分けとか扱い・読みに、受講者の方が、その考え方において混乱することはないです。

巷では、特にマルセイユタロットの小アルカナの扱い、読みが雑なところが結構あるようで、そもそも小アルカナが教えられなかったり、ほとんど使う必要がないと言われたりすることもあるようですが、それは非常にもったいない話です。

それはともかくとして、特にマルセイユタロット以外のタロット種では、大アルカナ・小アルカナの違いだけではなく、例えば、大アルカナ中においても、カードの良し悪しとかクオリティを区別してしまうケースが見受けられます。

それが悪いわけではなく、むしろ良いこともあります。何事も両面あるものです。ですから、逆を言えば、良いこともありますが、悪いこともあります。

よくあるのは、大アルカナカードに吉凶の色付けをするものです。簡単に言えば、「これが出るとよい意味、これが出ると悪い意味」というような、おみくじ的なカードそれぞれを区別する見方です。

確かに見た目的に、怖いカードもあれば、明るくなるようなポジティブなカードもあるので、そうなってしまうのもやむを得ないところでしょうし、タロットは絵のカードなのですから、ある意味、感性に素直(正直)な見方なのかもしれません。

また、こういう区別をすれば、とてもカードの解釈がわかりやすくなるという面があります。質問に対する答えとして、いい・悪いが一目瞭然だからです。

しかしながら、「物事の良し悪し」を問う質問にはいいかもしれませんが、事態の改善(解決)や、本質的な答えとか意味を見出そうとする時、もっと言えば、霊的な成長を求めようという場合には、かえって答えがわかりづらくなるという欠点もあります。

「どうすればいいか?」の質問に、それは悪いです。それはいいです。の答えのパターンでは機械的で困るわけです。

まあ、自分が改善策をいくつか案として持っておいて、それを次々とカードに良し悪しで問うていくという方法ならば、答えが出ないわけではないかもしれませんが。

ですが、そもそも改善策とか解決策の案が思い浮かばなかったら、良し悪し判断を問うことすらできません。これが大きな問題と言えましょう。

それに、極端に言えば、吉凶・良し悪し的には、別にタロットでなくてもよく、数個の棒とか、コインの表裏とかでも占えないことはないです。

せっかく大アルカナだけでも22枚もあるのですから、これに吉凶的な価値をつけてしまうと、22もの良し悪し判断があるということで、複雑すぎて使いにくくもなりますし、吉凶だけに使うのは、カードの持ち腐れ(笑)と言ってもいいでしょう。

まあでもゲーム的に、例えばよく言われるような、16番「塔」とか13番「死神」(マルセイユタロットではそういう呼び名はしませんが)とかのカードが凶札だとすると、たった二枚の凶札を、22枚の中からわざわざ選んだということは、相当恐怖の代物になって、占いとしてはインパクトがあるかもしれませんね。

エンターテイメント的なホラーゲームならいざ知らず、怖がらすためにタロットをやっていては、あまりいい使い方とは言えないように思います。

それで、こういう吉凶的な区別ではなく、レベル(と言っても、これも単純な高い低いというわけではないのですが)で分ける方法もあります。

よく知られているのは、大アルカナの場合は、数が増えるほど高度なレベルになっていくというもので、小アルカナも宮廷カードと数カードにおいて、レベルの順をつけていくことがあります。

この場合、注意すべきは、吉凶(良し悪し)とレベルの順は異なる概念だということです。これを一緒にしてしまう人がいるので、問題なのです。

レベルが高いと言っても、決して悪いという意味ではなく、その反対に、レベルか低くても、悪い・凶的な意味ではないのです。

人間とか世界(宇宙を含む)には、様々なレベル・次元があり、確かにその高い低いはあるとは考えられますが、レベルに応じた状態ということもあり、その差があり過ぎると、かえって害になったり、受け入れられなくなったりするのです。

言わば、本人や状況に適切なレベルがあるということです。

タロットカードの大アルカナと小アルカナの区別も、実はそうしたレベルの違いとも言え、そして今述べたように、大アルカナの中にも、小アルカナの中にもレベルがあると考えます。

そして、他人へのリーディングや、自己の活用において、そのレベルを意識する(設定しておく)ことにより、うまい使い分けや応用が可能になるのです。

病気治療でも、劇薬もあれぱ、穏やかに効く薬もあります。それはその人の体力とか状態、環境などによるでしょう。

同じように、ある問題とか課題があるとしても、それは人それぞれに対応が異なってくると考えられます。

その一つが、タロットのレベルの違いを考慮するということなのです。ですから、カードは普遍的でありながら個別的でもあるのです。

たとえ、全く同じカード、展開が出たとしても、人や状況によって読み方・とらえ方は異なります。

ただ、レベルというものがわかっていないと、それもうまくできません。

タロットを手にしたあなた、あるいは、これから学ぼうとするあなたは、タロットを吉凶おみくじ的に、物事の良し悪しを見る道具にしていくのか、様々なことに活用できる優れた象徴ツールにしたいのか、考えてみるとよいでしょう。

私のところの講座は、もちろん後者です。

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