マルセイユタロット、感情とフォース
マルセイユタロットの絵柄は、ほかのタロットと異なり、比較的シンプルと言えます。
ですからあまり芸術性もなく、絵の不思議さや美しさにひかれるという人は少ないでしょう。
ですが、これもあえてそうしていると考えられるところがあります。それは、シンプルなゆえに、普遍性が高まっていることがあげられます。
言い換えれば、マルセイユタロットを見る誰もが、カードそれぞれに同じようなもの感じたり、とらえたりする可能性が高いのです。
ユング的に言えば、人間の(思う)元型がマルセイユタロットにはあるということです。
そういう意味からも、心理的にマルセイユタロットは活用できます。特に、自他の感情や、自分でも気が付かない潜在的な意識について、タロットを使って浮上させることができます。
感情的なもの、潜在的な意識というのは、なかなか普段自分でもわからないものです。それは目に見えない領域だからで、言語化するのにもぴったりするものがなく、なかなか困難です。
マルセイユタロットの「月」が示すように、感情は人にとって意外に大きな影響を及ぼしています。
もちろん、気持ちですから、コロコロとその都度変わっているわけですが、おそらく強い感情や、長く同じ気持ちになっている時は、心の中にデータのように刻み込まれてしまうものと考えられます。
この点も、まさにマルセイユタロット「月」のカードの、水たまりとザリガニに象徴されているかもしれません。
これが「力」のカードで表現されている、その名の通りの「フォース」(フォルス)というものに影響を与え、フォースが現実を作り出す要因(材料のようなもの)となって、私たちの前に(自分の世界として)現実化します。(ただし、あくまで自分のフォースの範囲でということで、自分が創り出す自分の世界という感じとなります)
感情や心が、行動などに実際に影響することは心理(学)的に言われていることですが、マルセイユタロット的には、そこにフォースが介在していることが重要だと、個人的には考えています。
いずれにしろ、フォースに影響する感情のデータは、悪い(影響の)ものになっているのなら、何らかに変質させる必要が出できます。
まず大事なのは、潜在化したものを顕在化することです。要は、自分の隠された気持ちとか感情を発見する、自覚するということですね。
これには、言語というものを利用することができます。言葉は思考と結びついており、タロット的に言えば、感情としての「水」のとらえどころのない世界を、「風」による思考で浮上させるような働きになります。
例えば、もやもやした気持ちを言葉に表してみることで、「自分はこう(こういう気持ち)だったんだ」と囚われの感情の気づくことができるわけです。
それが先述しように、普通、なかなかぴったりな言葉にすることは難しいのです。
しかし、マルセイユタロットのカードの絵柄を使うことで、次第に感情が浮かび上がり、覚えたカードの象徴の意味とともに言葉も当てはまってくるようになります。(もしくはタロットリーダーが、クライアントにふさわしい気持ちの言葉を、その出たタロットから導き出してくれます)
これは、マルセイユタロットとの、特に大アルカナが人の意識のパターンを表していると考えられるからで、最初に述べたように、誰にも当てはまる感じ方のような型がそれぞれのカードにあるため、その元型を汲み取れば、その人の感じている、あるいは潜在している感情というものを指摘することが可能だからです。
そうして、自分の潜在的、またはフォースに強く影響を及ぼしている感情に気づけば、それだけで解放につながり、フォースの正常化の可能性も出ます。
西洋でも、悪魔の名前を指摘することができると、その悪魔は立ち去るという話があります。これは言わば、(自分を苦しめている)感情を言葉にして、こちらがコントロールできるようにするような例えとも言えます。
こうして、悪魔となっている感情を、天使や神に換える(聖なる浄化を行う)わけです。
この時、しかもマルセイユタロットでは、絵柄的に実際に天使や、神に関係するカードが存在しますから、絵の力とイメージによる変換も可能です。
ビジョン・イメージも、言ってみれば見える世界と見えない世界をつなげるものであり、気持ちや感情を変化させるのに有効なものです。
それから、フォースの意味で重要なのは「状態」です。これが言葉とリンクしていくとさらに効果的なものになります。
例えば、言葉と真反対の状態にある時、人は矛盾を感じて、その言葉の内容を実現することが難しくなるでしょう。
経済的にとても不安があるのに、「私は裕福だ」と宣言するようなものです。また、「ありがとう」と何回言っても、実際に「感謝する」という気持ちの状態になっていないと、その効力は薄いと言えましょう。(まあ、言霊として、言葉の力もあるにはありますが)
従って、フォースを正しく機能させるには、やはり(自分に正直な)感情・気持ちが大切と言えます。感情が望む状態になるよう、感情自体を浄化したり、整理したり、希望の方向の気持へ転じていく手段を講じたりする必要があるというわけです。
それに、マルセイユタロットのカードたちが使えるということです。
マルセイユタロットの「力」のカードが表す「フォース」を、どう感情と切り離したり、融合させたりするのかが、自分を生きやすくするための鍵と言えるかもしれません。
「フォース」の扱いについては、これもまた小アルカナ的な4つの視点があるのですが、それはまたいずれお話できればと思います。
ともかくも、お勧めは、まず大アルカナを使って、自分の気持ちを確認すること、それを言語化することを述べておきます。
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