「法皇」から、声に出すことの意味

マルセイユタロットに「法皇」というカードがあります。

タロットカード一枚一枚には、様々な意味がありますが、この「法皇」にもそれが当てはまります。

今日は中でも、「伝える」とか「話す」ということにフォーカスしてみたいと思います。

「法皇」から、なぜ上記のような意味が出るのかと言えば、絵柄を見ていただければわかるように、「法皇」に描かれているメインの人物が、何か説法をしているように見えるからです。

ですから、本来的には、話す内容も宗教的と言いますか、何か人のためになる精神的な話とか、教訓を伝えていることになるでしょう。

日本人なら“以心伝心”という言葉があるように、話さなくても伝わることがよく言われます。

ただ、「法皇」のように、精神的・霊的なことをよく理解していると考えられる宗教的なトップ層(現代では皮肉に聞こえますが…)の方でも、その伝達には、やはり言葉を発する必要があるわけです。

これが人間レベル、現実世界の特徴とも言えるでしょう。

つまりは、言葉を発する表現は、この現実世界では、とても重要なのだということです。

コロナ禍にあった頃、マスクをして、人と会話しない世界が現出されました。その時に、たとえ自覚はなくても、多くの人はストレスを感じていたはずです。(もっとも、逆に静かな環境がもたらされたという、よいこともありましたが)

人間、正常に声が出せる状態であるならば、声を出すことは自然だと思えます。

ただ、現代社会は、声だけに限らず、いろいろなことで自分を抑圧する(される)傾向・状況にあります。

その分、ネットの発達により、個人での発信が簡単にできるようになったため、SNSなどで自分の思いを発散する人は増えました。

今や些細なことでも、簡単に批判・誹謗・中傷され、その逆の賞賛・賛同・評価などの声も、ネット社会であふれかえっている状況です。

裏を返せば、それだけ、なかなか本当の声を発させられない、抑圧された環境になっているからだとも考えられます。

ガス抜きではありませんが、人は何か(自分の気持ち)を述べなくては、おかしくなる動物なのでしょう。

だからと言って、感情のままに書き込んだり、実際に何でも言えばをいいというわけではありません。他人への配慮、状況の判断は必要です。

けれども、あとでネットで書き込むというようなことをするのではなく、面と向かって言える状態なら、その場で、なるべく口に出して述べる、発するということが大事なのではないかということです。

我慢して、自分の言いたいことも言えない生活や態度を続けていると、どこかでそれは爆発してしまう危険性があります。

爆発は形を変えた発散になりますから、声以外の行動として、例えば、衝動的な買い物をしたり、やたらと食べ続けたり、自分より弱い者、抵抗できないもの(人だけとは限らず、動植物、モノなど含む)に当たったりします。

出て来るのに時間差がありますので、自分でも気がつかない感情の蓄積として、外側に現れてくることになります。

普段まじめで優しい人でも、そのせいで、突然キレたり、投げやりになったりすることがあるわけです。

そして、そのような優しいタイプの人は、外に攻撃できず、内側、つまり自分自身に攻撃をして、自分を物理的(身体的)・精神的に責めることになりがちです。その結果、心か体、もしくはその両方の不調、病気、あるいは不運と自分が思えるような出来事が頻出してきます。

また、特に日本では近代化を経て、言葉の発し方が変わり、それまで腹から出していた言葉が、口先・喉だけで出すようになったと言われます。

言ってみれば、力がこもらない、気の抜けた表面的な言葉になっているわけです。まさに気が抜けているので、気力も出ないことになります。

「法皇」のカードも、よく見ると、実は口を開いているようには見えないのです。

だから本当は、言葉ではないもの(言葉では表現できないもの)を伝えているのかもしれませんし、かつての日本人のように、腹から発声した、言霊のようなエネルギーが出ているのかもしれません。

そのような深い意味を考えなくても、普段あまり声を出さない状態が続くと、活力が弱まってくることは考えられます。

僧侶の読経も、修道士の祈り・唱和なども、実は声を出すことで何かしらの清浄・神聖な状態を保ち、発声を毎日繰り返すことで、神仏と自己表現の融和(一種の陶酔に近いと考えられます)を実感し、健康を保っていたのではないかと想像できます。

思い・考え(思考)は内的な発露ではありますが、さらに発声することで、実際(現実)の創造につながっていきます。声は音声として振動しているからです。

人は振動を受け取り、共鳴し、波動を拡大します。そして拡大したものが、やがて現実創造へと形成されて行きます。

私たちは、声を与えられているのですから、肉体次元・現実世界では、声を発すること、意思や気持ちを声・言葉で伝え合うことは、思っている以上に重要なことなのだと理解しましょう。

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