終わらす(終わらせる)もの

人は生きていると、いろいろなことを経験します。

それらはデータとして脳に記憶されているのでしょうが、一説では、必ずしも脳にすべての記憶が蓄積されているわけではないという話もあります。

人間を肉体だけの存在とする場合は、記憶装置は脳なのでしょうが、もし仮に肉体以外の何らかの自分と呼べる体と言いますか、エネルギーフィールド・領域があるとするのなら、そこに記憶の一部があるのかもしれません。

そして、もし自分の存在とその空間とも呼ぶべき記憶フィールドが、何らかのことで切り離されてしまって、(記憶のある)空間だけ残るとすれば、そこに再生する方法を施せば、人の記憶が読み取れることになります。

ちょうどホログラフィーが、一部のデータだけでも全体像が写し出されるように、そうした残された記憶からでも、その記憶を持っていた人の全体像に似たものを見ることができるのかもしれません。

さて、そんなわけで今日は記憶の話です。

私の採用している、あるいは教えているマルセイユタロットの展開法では、時系列の並びを取ります。

ただ、タロットは象徴絵図ですから、時系列を設定していても、その流れだけを表すとは限りませんが、現実世界での私たちの時間認識は、この過去・現在・未来としてとらえているため、タロットカードと現実世界(現実認識)をリンクさせるには、時系列的象徴(概念)を入れたほうが読みやすいこともあるのです。

さて、そうした時、過去を表すカードがたくさん出たり、特に意味を持って見えてくる場合があります。

それはそのまま解釈すれば、「過去を見よ」ということになります。

なぜ過去に注目する必要があるのかと言えば、それには様々な理由はあるのですが、大きく分けてふたつの理由があると考えられます。

ひとつは過去の認識を変える必要があること、そしてもうひとつは、自分の過去を見ることによって、終わらせていなかったものを(今において)完了させることにあると思います。

いずれにしても、何らかの理由で、忘れていたことを思い出す必要があるケースです。

その中でも、意外に盲点なのが、過去の未完了だったものを終わらせることです。

しかしながら、過去のことですから、時間的には終わってしまったことなので、タイムマシンのようなものはないわけですから、実際にはどうすることもできません。

しかし、物質ではなく、エネルギー(ここでいうエネルギーとは、物理学的なものというより、ひとつの、形を持たないものの比喩です)として扱えば、過ぎ去った時間のことでも、影響を及ぼすことが可能だと思われます。

それは、記憶が私たちの脳だけではなく、最初にも述べたように、一種の空間のようなところに存在しているとも想像できるからです。

そのよい例が昔の感情です。

過去の何らかの事件によって抱いた感情は、いったん時間とともに消えたように見えても、実は自分の中(あるいは自分と関係する別の領域)に残っていると言われます。

もしその時に感じ切っていれば(味わい尽くしていれば)、過去の感情も残らないのですが、中途半端に抑えてしまったり、ごまかしたりしていて感じ切ることのない状態だったとすれば、それは残り火のように燃え続けていると例えられます。

その残り火の影響が今も続き、実際的には、外の問題として現れることが多いでしょう。

つまりは、過去のこと(エネルギー)を終わらせる(完了させる)ために、過去の事件と似たようなこと、あるいは、その本質・エネルギーとして同質的なものが、自分の残り火によって引き寄せられる(必要性をもって引き起こす)わけです。

過去の別の形での再現と言い換えてもよいでしょう。

ただ、そのまま似たようなことが起これば、自分でもすぐわかるかもしれませが、質的には同じでも、現在の時間と実際のことでは、違う現象として現れることもあるので、やっかいです。

例えば、過去の事件での感情とかエネルギーは「悲しい」ということだったとして、過去のそれは失恋によるものだったかもしれませんが、今のそれは、同じ「悲しい」でも、事件(事象)としては仕事に関することかもしれないのです。

しかし、やはり悲しいエネルギーとして見れば同じというものです。

そこで、タロットならば、象徴絵図ですので、具体的な事象よりも、質的なものを表すことで、たとえ事件が異なっても、同じ性質・エネルギーを表現すること(把握すること)ができます。

例えばマルセイユタロットの「13」が出れば、そのカードの表す強烈な変容(させるための)体験があり、たとえそれぞれ(クライアントとタロットリーダー、またはクライアントそれぞれ)の実際の経験が違ったとしても(人それぞれ違うのが当たり前ですが)、また、自分自身の表面意識が忘れていたとしても、タロットによって本質的な共通認識が可能になるいうことです。(自分自身の場合は、潜在的な自分と表面的な自分とが共通に認識できる、つまり過去と現在がリンクし、つながることになります)

従って、過去のカードと展開を見ることによって、この人(自分)は、過去の何を今再現させようとしているのか、そしてなぜ再現させる必要があるのかを認識することができ、たいていそれは、未完了の感情・エネルギーが続いていることの、意識化の必要性になってくるのです。

そうして終わらせていなかったものが意識(自覚)的になることで、エネルギーは動き出し、やがて火は燃え尽きます。つまりは本当の意味で、経験(事件)は完了したわけです。

こうして、ずっと火を燃やし続けるための燃料もいらなくなり、気持ちは軽くなって、今後のための創造性のエネルギー(タロットの4組でいえば、特に「杖」が象徴)が回復し、生きる気力も出てくるのです。

同時に、自分の中だけではなく、空間にあった記憶も、言わば浄化される(書き換えされる)ことになり、未練のようなものが薄くなり、空間に閉じ込められていた感のある自分も解放されて行きます。(うつ、引きこもり的な気分からの解放)

空間の浄化がいる意味はいろいろとありますが、このように過去の記憶と結びついている理由もあるからと思われ、だから、過去のものを思い出す必要があるのです。

それが絵の象徴図であるマルセイユタロットならば、やりやすいと言えるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top