人の経験には限界があるけれど
タロットリーダー(タロットリーディングを行う人)ともなれば、いろいろな悩み・問題を抱えたクライアント(相談者)と対面していきます。
クライアントの悩み・問題は、まさに「様々」です。
それは内容が様々ということを意味しますし、もちろん質や量が様々だということでもあります。
それだけ、タロットリーダーは知識のうえでも、リーディング能力のうえでもバラエティさをもっていなければならないとも言えます。
人生経験も豊富であったほうが対応しやすいでしょう。
しかし、一人の人間が経験することはたかが知れています。漫画・アニメではありませんが(笑)、分身を使って違う体験を分身それぞれがして、最終的に全部一人の人間に帰することができれば非常に理想的かもしれません。
ですが、そんなことは現実的には不可能です。
ということは、タロットリーダーとしての人間経験の量は、「本質的には」問題ではないということになります。
だからといって、経験や体験を軽視せよということではありません。大切なのは、その人生経験の量ではなく、質であり、さらに内容を深めるということです。
「人生経験の質を深める」とはどういうことでしょうか?
私が感じるタロットからの示唆では、それは4つのことに関係していると思います。4つとは小アルカナの4組であり、風・水・火・地の四大元素のことです。
この4つ(エッセンス、要素、エレメント)を統合するか、それぞれ個別を先鋭化していくかによって、人生経験の質を高めることができると考えています。
わかりすやすくいえば、一つの体験した出来事を総合(多角)的な視野をもって考えたり、味わったりするか、一つの見方から専門的につきつめるかということになるでしょう。
例えばある恋をしてそれが終わったとして、ただ「恋愛しました」「悲しかった」「楽しかった」という思い出感覚に留まるのではなく、その感情に始まり、二人がつきあった意味、論理、金銭、肉体的なことまで、あとでいろいろな角度で分析したり、思い直したりすることです。
もうひとつは、恋愛そのものを徹底的に研究したり、比べたり、また実際に恋愛体験をさらにしていくということになるでしょうか。これはひとつを極めれば、別の分野でも通用するものになることを意味します。
タロットでいえば、前者(統合・多角)が「世界」、後者(専門・個別体験)が「吊るし」、あるいは「皇帝」との関係かもしれません。いずれもカモワン版マルセイユタロットの場合は、足を4の字に組んでいるところが面白いところでもあります。
このことはタロットリーダーに限らず、誰しもが自分の人生の経験の質を深めることによって、人に相談を受けることのできるような人にもなれるということが言えると思います。
タロットリーダーの場合は、さらに人の悩みや問いをタロットによって象徴的に追体験することによって、さらに目に見えない経験も積まれていくことになります。
ただこの時も、漫然と機械的にリーディングしていてはほとんど積み上げにはなりません。
やはりタロットとのつながりを濃くし、さらにクライアントとの相談を真剣に、自分の人生の質を深める気持ちも込めてリーディングしていくことで、リーダーの内的経験も厚みを増していくと想像できるのです。
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