自分を変えていく必要性

人間には、「いつかやろう」「そのうちできればいいな」と言って先延ばしにする癖と傾向があります。

これには、やはり人の恒常性を維持しようという性質が働いていることが要因のひとつに感じられます。

平たくいえば「変えたくない気持ち」です。今のままで安定しているのなら、そのままを続けようという性質ですね。

変わることはそれなりのエネルギー必要としますので、ある意味、大変な作業だとも言えるからです。

ところが、この変えたくない性質は、どんな次元にも人には登場してくることがやっかいでもあり、問題となります。

特に低次の状態にあっても、変えたくないという心に支配されると、なかなか成長することが難しくなります。

他人からすればどう見ても問題だと思えるのに、それでも今の状態に留まろうとする人がいるのも、変えたくない作用が低次元(問題状況や不幸に思える事態など)においてさえ働いている証拠です。

これを脱するには、外からの有無を言わさない強烈なインパクトが訪れるか、自分が自覚をもって変わるしかありません。

低次レベルにあっても幸運な人は、自分の意志と関係なく、外からの衝撃によって、偽りの安寧から抜け出すことが可能なことがあります。

ただし本人とっては、外的にも内的にもつらい出来事であることが多いでしょう。けれども外から見れば救いであり、恩寵です。(マルセイユタロットでは「神の家」や「13」と「節制」で表現されます)

これはおそらく、その人を守る何らかの現実以上の超越的な存在が働きかけていることが推測されます。

こういうものはマルセイユタロットでいえば、「恋人」的幸運であり、高次では前述した「13」や「神の家」「審判」の恩恵となります。

しかし普通はなかなかそうは行きません。

よって、自ら発起して変えていくしかないのですが、先述したように、変えたくない心と戦うのは容易ではありません。

ここにも「恋人」カードと関係することがあり、この場合は「恋人的試練」が働いていると表現できます。

病気もそうですが、放置すればするほど治療が難しくなって行きます。早期発見、早期治療が望ましいわけです。

同様に、自分の成長が止まる、あるいは変えたくないという「停滞状態」に罹っている人は、放っておくと、ますます変えにくくなってきます。重さが増して、それだけ動かすのに多大なエネルギーがいることになるからです。

これを脱出するのに、特効薬はありません。

ただ、自分の人生がこのままでいいのか?ということを考えることが大切です。

「このままではよくない」「変える必要がある」という天からのメッセージがある時は、必ず自分に「問題」が現れています

小さな問題は小さな修正が必要なことを表し、大きな問題は大きな修正を要することが語られています。

自分を知るには、逆に周囲に現れている状況、自分の経験している事態を知るほうが実はわかりやすく、つまりはよく言われているように、周りは自分の鏡だということです。

脱出の突破口はシンクロニシティ(偶然のように見える必然的同調の連続)と、それとは反対の「異質性」(これまでとは違った体験や感じ方、出来事)を発見することが重要です。

シンクロは進む道やヒントを提示し、異質性は変容の時節(タイミング)が来ていること、隠されていた出口が実は近くにあることが示唆されています。両者はマルセイユタロットの「隠者」のランプ、「吊るし」の後ろ手として見えてきます。

輪廻転生がたとえ存在したとしても、「今のあなた」である人生は、まさに一度きりと言われています。

また過去や未来のあなたも、今のあなたにかかっているという考えもあります。つまり、大きな視点に立てば、今生の人生こそがすべてを決めていると言えるのです。

だからこそ、何かや誰かの奴隷に生きたり、ただ快楽を追求するだけに過ごしたり、つらいだけ厳しいだけの人生を続けたりするのではなく、本当の意味で充実し、悔いのない幸せな人生を生きるために、「変える」ことに常にチャレンジしていく必要があるのです。

そして実は「変えている」のではなく、「思い出している」「楽しんでいる」のだということがわかると、「変える」「変わる」という概念自体もまた「変わる」(笑)でしょう。

今回はあえてほとんど抽象的に書いてみました。マルセイユタロットを学習してるい人は、タロットを見ながら、自分のこととして個別に検証してみてください。

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