人間関係における「正直さ」の効果
人間関係は相談の悩み事の中でも割合の多い事柄です。
それだけ人との関係に思い悩む機会がたくさんあるのだということですね。
ただ、何事にもよいことと悪い(ととらえてしまう)ことがあるように、人間関係は確かに悩みを提供するものでもありますが、私たちは人との関係によって、多くのよいことも得ています。
人と交流することで喜び、楽しみ、知識、経験が何倍にも増えることは、皆さんもご承知のことでしょう。
さて、その人間関係でも、距離の取り方について悩まれている方が少なくないと思います。
ちょうどマルセイユタロットでは「月」と「正義」という同じ「8」という数を持つカードに象徴されることでもありますが、まさにその両者のバランス・距離感が問題となってくるのです。
ここではふたつの考え方が示されます。
ひとつは関係において、正直でいる(話す)ことを目指すものと、ふたつ目は明確に内と外を区別してつきあう対応です。
まあ、誰でも本音と建て前のようなものがありますし、公のつきあいと私的なつきあいでは自ずから応対が異なってくるのも当然です。
ですから、その関係性において、環境面(立場や公私で判断すること)から見れば内と外は区別して、何でも正直にさらけ出してつきあうということが望まれるわけではないと言うこともできます。
よく知らない相手や、まだあまり「人となり」がわかっていない時に、本音でつきあってしまうと、自分が傷つくか、場合によっては相手を傷つけてしまうことがあるからです。
自分と相手を守る意味でも、いきなりすべてをオープンにすることは、必ずしも適切とは言えないでしょう。
しかしながら、特にプライベートで親密性さが要求される関係では、段階的ではありますが、なるべく正直に自他ともに出していくのが望ましいと考えられます。
相手を変えたり、コントロールしたりすることはできませんから、基本、自分が正直になるということになります。
正直になればどうなるかと言えば、やはり内的なエネルギーの問題が解決されることが大きいです。
何か隠し事や正直ではない部分を相手に持っていると、それを抑えるためのエネルギーを余分に必要とされます。
そのため、いつも全力で相手とつきあえないばかりか、相手との関係以外でも抑圧されたエネルギーの影響を受け、うまく行かないことが増えたり、心身の調子が悪くなったりします。
相手とも「真につながっていない」という感覚をどこかに潜在的に感じているため、心をオープンにできず、ひどい時には嘘が嘘を呼び、偽りの自分で相手に対し続けることになります。
ただ正直になる過程として、この「仮面の自分」と対面する(気付く)という意味では、自分をオープンにできない時期があるのはいた仕方ありません。
相手と親密になればなるほど(なりたいと思えば思うほど)、本当の自分と向き合わねばならなくなりますから(本当の自分と本当の相手とでつながりたいという思いになるので)、今まで自分を偽って来た人(多かれ少なかれ、誰でも仮面はつけています)にとっては、葛藤が起こるのも、ある意味自然なことなのです。
まあ、こういったことはよく心理的な問題やテーマとして語られているので、皆さんもご存じでしょう。
実は正直になることには、もうひとつの効果(問題解消)もあるのです。
それは、調べる努力(エネルギー)がいらなくなるので、その人間関係はもとより、他の分野でも清々しく取り組むことができるようになるということです。
どういうことかと言いますと、人はわからないこと、疑問・疑念があることに対しては、明らかにしたい、はっきりさせたい、真実にしたいという欲求が働きます。
これが知的探求や活動にも結びつき、ひいては人類全体の文明を発展させてきたことにもなるのですが、個人個人の中にもそれはもちろん存在しています。
言い換えれば、人は誰でも、知りたい・明らかにしたいという欲求があり、それはとどのつまり、自分を拡大発展・成長させたいというものにつながっているということなのです。
そしてそれは、「創造」のエネルギーなのです。
翻って人間関係で、自分や相手が真実を語っていない、正直ではないと感じていたのなら、そうではない部分(本当のこと)を探求したくなります。
端的にいえば、相手の本当の気持ちを知りたくなるわけです。
しかし、誠実ではない人、正直ではない人は、それを語ることはありません。自分が正直でない場合も、相手はそう感じているということです。
となりますと、「本当のところはどうなのだろうか?」と探りを入れたくなり、いろいろと手を尽くして、時には占いをしたり、目に見えない情報にも接しようとしたりしてまで、知りたがろうとします。
その労力たるや大変なものです。それでも相手が正直でないことが続くと、結局相手の本音がわかりませんので、悩み続けることになります。その心労もバカにならないエネルギー量です。
これがもし、両者が正直な関係にコミット(誓約)していたら、相手も自分も本当の気持ちを言ってくれますので、詮索における無駄なエネルギーを使うことがありません。
たとえ全部正直に言えないことがあったとしても、これまでより正直になることで、探索エネルギーはその分必要としなくなるのです。
これは自分にとっても相手にとっても、大変エコ(笑)なことになります。
節約されたエネルギーは、他の創造的な分野(仕事など)に使われることになり、それだけ自分の人生が創造的になっていくわけです。
さきほど、「知りたい」というエネルギーは「創造の力」と結びついているという話をしたので、このことはわかると思います。
ということで、特に親密になりたい人とは、自分から正直になることを心がけるとよいのです。
もしそれでも相手が正直にならない場合は、あなたと質や波動が違うので、将来においても、両者の関係性で苦労することになるでしょう。
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