リーディングで説明する力を磨く。

先日は神戸と京都で、タロット講座の受講生・修了生でリーディングの勉強会をしていました。

以前もリーディングの勉強会は行っていたのですが、次第にタロットを学ぶ方たちも増えてきていますので、もう少し定期的に、さらにその都度テーマや目的をしっかりとして、継続してタロットを学べるように企画実行していく考えです。

さらには、学ぶ者同士の交流や懇親(ブログテーマ「趣縁」参照)の意味もあります。

ところで、こういう機会において、私が重視しているのは、人前で自分のリーディングを述べたり、感想を話したりするということです。

自己リーディングは別として、他人リーディングを行う場合、それは人間同士のコミュニケーションを伴います。

そして、タロットリーダーは、タロットの解釈を相談者・クライアントに説明する必要が生じます。

ということは、説明能力が足りないと(まさに言葉足らず)、あるいは言い過ぎたりすると(一言多い状態)、相手にリーディングの内容や意図がきちんと伝わらないことになります。

タロットリーディングに限らず、人に何かを説明する時は、自分がわかっていることであっても、なかなかそれを人に伝えるのは難しいものです。

私はタロット講師の修業時代、いかに自分がタロットのことをわかっていないのかを痛感させられことが何度もあります。

学ぶ側であった時は、たとえば、タロットのある絵柄が「これは錬金術関連である」ということを覚えていたとしても、では錬金術とは何かとか、なぜここにその象徴が描かれているのかということを説明しろとなった場合、なかなかうまく最初は人に話せないのです。

結局、ひとつのひとつ、何となく思っていたことや覚えていたことの意味を、「そもそも論」まで遡って調べたり、理解したりする必要に迫られました。

これは実は今も続けている作業です。

それは自分の理解の先に次々の深遠なる世界が広がっていくからであり、その都度自分で知識と感覚をダウンロードし、さらにはそれを人に説明できるよう咀嚼していかなければならないからです。

リーディングも同様に、たとえカードの展開が自分の心の中で読めていたとしても、それを人様に説明するのには、言葉に出して外に出すことが重要です。

やってみればわかりますが、いざリーディングしたことを語ろうとすると、自分が思っていることと実際に口に出して表現していることがズレていることを、ほぼ全員が最初は経験するはずです。

それはもどかしさというか、何とも恥ずかしい気持ちのものです。

言いたいことはそんなことではないという場合もありますし、ああ、ちょっと言い過ぎた、言葉足らずだったというようなこともあります。

また人間誰しも人前で話す、他人に話しをするというのは緊張するものです。

緊張すると、思ったことの半分も話せなくなります。時には頭が真っ白になって、覚えていたことを何も思い出せなくなることさえあります。

しかし、これもある程度、訓練によって変わってきます。ある種のコツと理論、そして場慣れと経験を増やしていくと、自然に人前での話もしやすくなってきます。

ただ闇雲に話すより、シナリオや骨子を組み立てて話をしたほうがフィードバックしたり、話しぶりを成長させたりするのには効果的です。

練習で人前でリーディングを披露することで、その訓練をすると同時に、自分のタロット理解の弱点・頼りなさの認識も得られることになります。

これは人によっては、厳しいことになったり、ちょっとやりたくないようなケースになったりすることもあります。

けれども、それによって説明能力は磨かれ、結局のところ、それはリーディング能力の向上につながるのです。

すべてが楽なこと、楽しいことばかりではありません。あらゆる物事・事象には両面がセットで存在しています。

なお、「言語だけが相手に伝える方法ではない」という人もおられると思います。

それはその通りですが、では、言語以外で相手に自分やタロットリーディングの象徴・意味を伝えるのにはどんな方法があるのか、そういう人は把握しておく必要があります。

また、言語以外の方法が自分の得意なものとするのなら、それにあぐらをかかず、それ自体の能力も研磨し、相手に伝わりやすくする取り組みはやはりいると思います。

何も努力せず、以心伝心、すべての人に伝わるはずという思い込みは幻想です。人によって受け取る能力や感受性、アンテナは違います。

マルセイユタロットの「手品師」は言います。伝わりにくいのなら、伝わるようにあなたが手を変え品を変える工夫がいるのだと。

そしてやはり、ほとんどの人は言語あるいは文字を通じて、人と交流します。

ですから、特にプロのタロットリーダーを目指す方、他人によいタロットリーディングを提供したい方は、人に言葉で説明するという訓練は行っていくことが求められるのです。

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