綾なす「縁」の縦糸・横糸
人の縁というものは不思議なものです。
マルセイユタロットでは、「恋人」カードや「運命の輪」で、そういった「縁」の不可思議な働きを象徴しています。もろちんほかのカードでも見ることはできます。
ここで考えたいのは、縁が先か、人が先かということです。
人がいるからこそ、縁も発生すると言えますので、基本は人が先でしょうが、たとえば先程出た「恋人」のカードに描かれているキューピッドは、天使の羽のようものを持っていますので、「縁」が擬人化されたものと見ると、「縁」は羽をもって移動するようなものと考えられていたと想定できます。
つまりは、「縁」が先と見ることもできるのです。
「縁」を先に考えた場合、それは人間の力だけでは及ばないものがあるように思います。言わば、目に見えない糸のようなものが存在しているのだと。
それは、先祖からの縁かもしれませんし、もし輪廻転生を信じるとすれば、前世縁といったものもあるのかもしれません。
またこの10月に出雲に神々が集合して、あらゆる縁を結びつける会議をすると言われるように、神や仏から働きかけられる縁というのもありそうです。マルセイユタロットでは、「神の家」の縁みたいなものですね。
こうした超越的な縁もある一方で、もっと人間的なもので、それでいて目に見えない縁というのもあると予想されます。
それは人の思念(思考・想念・思い)によって形成される磁場のようなものに引き寄せられる、あるいは同じ磁力や性質によって集まってくる縁というものです。実はこれが結構、目に見えない類の縁としては多いような気がします。
これは縁が先というより、人が先のほうかもしれません。
この中には、いわゆる「類は友を呼ぶ」と言われる法則も入るでしょう。
いずれにしても、縁によって結ばれたその時の関係によって、いろいろなものが交流・交換されていくわけですが、その中で重要なものが「情報」です。
自分の想念によって形成された縁仲間は、同じレベルや自分の価値観のもとでの情報が交換されたり、入ってきたりします。
それは自分の価値観に基づくことが多いので、自分が信じていることを補強したり、確信させたり、安心させたりする情報が多くなります。そう、自分が情報を選んでいると言ってもいいでしょう。
ですから、実は自分の世界や信じている内容というものは、縁によって作られた「非常に狭い世界」観のフィールドにしかないと言ってもよいのです。
今はインターネットがあるので、あらゆる端末や機器、ソフトウェアによってたくさんの情報が入っては来ますが、結局のところは自分で自分の心地よいと思える情報と世界に落ち着く傾向があります。
ということは、自分自身のレベルを内から変えないと外の情報も変わって来ないと言え、その情報も「縁に」よって運ばれて来ますから、自分をもっと向上したり、あることのレベル(経済・知識・スティタス・霊性等)を上げたりするためには、これまでと違う情報(媒体・出所)と接触する必要があると考えられます。
ただ、これも「自分が変わりたい」という決心をせずに、そのまま放置している限り、今の自分のレベルや(信じている)世界を強めるための情報流入で続いていきますので、価値観を激変させたり、新しい情報に出会ったりすることは少なくなります。
たまたま特別な情報に出会って自分が変わるというような、外部からのことでの変化もあるにはありますが、それも突き詰めれば、現在の自分を超えたいという潜在的欲求や導きによるものと想像できます。
整理すれば、まず自分を向上させようと思うこと、次に今の縁からレベルアップさせるため、レベルや次元の異なる縁とつながるよう意識と行動を起こすこととなります。
よく言われるように、悪い仲間には悪い情報が集まり、いい仲間にはいい情報が集まっているものです。
このいい・悪いも、どう判断するかの問題はありますが、つまりは類友のように、情報も同質の情報が集まりやすいということです。言い換えれば自分たちを過ごしやすくする、肯定するための情報を持ちやすくしているからです。低次(高次)の属性ではそのレベルと同質でないと居心地がよくないのです。
ある人からとてもよい情報が得られたら、その人の紹介筋とか、その知り合いの人においても、自分にとってよい情報を持っている可能性は高いと言えます。
時には医師や治療法・病院などの情報で、「命」に関わることもあるくらいです。そう思うと、極めて縁は人生にとって重要な意味を持つと言えましょう。
ことさら縁を選ぶ必要はないにしても、自分がどうなりたいか、どういう人生を歩みたいかによって、縁づくりも意図をもってやってみるとよい場合があります。
意図は糸を呼び、さらには人間の努力に応じて、目に見えない(人を超越した)縁の働きやサポートも得られることになるでしょう。
この世の中は、私が思うに、「人が先」(によって発生する縁)のパーセンテージが高い世界だと考えています。それは「現実世界」だからです。でも、「縁が先」のものもあるのは確かでしょう。
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