日常と非日常的時間・空間のサイクルと効果
さて、この前の記事で日常と非日常の話を出しましたので、今度はまた、それについてアプローチを変えて書きたいと思います。
日常と非日常、前回でも書きましたが、結局は意識によって区別されているに過ぎず、環境の違いではないことはお伝えしました。
しかしながら、一方で、実際の環境というものも無視することはできません。それは私たちが意識や心だけの存在ではないからです。
心を変えるには外からと内からの方法がありますが、外の環境の変化は、やはり自分の心に多大な影響があると言わざるを得ません。
静かなところでは落ち着いた気持ちになり、逆に騒々しい場所ではざわついた感じに心もなってきます。
ところが、心をあまり乱されない訓練を受けていたり、思考のレベルが上がって意識的に拡大していたりすると、ほとんど環境によって左右されることが少なくなります。
ここに、心の鍛え方、物事のとらえ方、考え方による幸せや安定をもたらす技術の根拠が見えてきます。
とは言うものの、先程述べたように、なかなか普通は環境からまったく影響を受けない心境になるのは難しいものです。
ということであれば、環境を使って意識や心も変化させたり、楽しんだりするという別の考え方もできます。
むしろその方が簡単かもしれません。
実はそれは、特別に意識せずとも、皆さんが普通にやっていることです。「気分転換」のための移動・変化というやつです。
大きなものは引っ越しや海外留学・長期研修などですし、小さなものではカフェに行ったり、ショッピングを楽しんだり、旅行に行ったり、音楽を聴いたりすることなどもそうです。
昔の日本では、「ハレ」と「ケ」と言って、祭祀を行うハレの日と、日常の農耕生活をするケとの区別がありました。
日常生活の繰り返しではエネルギーが次第に枯渇し、「ケガレ」となるため、神のエネルギーを祭祀によって受け入れ再生復活するという民俗行事や信仰があったわけです。(これも民俗学での一説ですので、必ずしもこれらの用語がその理由であるとは言えませんが)
翻って私たちの現代では、かつてのようなメリハリある生活が失われています。
民俗学者によっては、今はいつも「ハレ」(つまり非日常、興奮状態)になっているという人もいるくらいです。あるいは逆に聖なるハレの日はなく、いつも「ケガレ」(エネルギーを失っている低俗)状態だと主張する方もいます。
私も思うのは、今の人たちが年中ハレ状態(お祭り状態)であると言えますし、年中ケガレ状態(エネルギー枯渇状態)とも言えるように感じます。
要はバランスや調整がおしかくなって踊らされており、本来持つ創造的エネルギーが浪費させられている気がするのです。多くは消費に向けられていると言えます。
マルセイユタロットでは「女帝」や「13」と関係してきますが、創造と破壊のエネルギーがアンバランスであり、創造したくても阻害されたり消費させられたりし、終了再生しようとしてもそれが妨げられ、無駄に続けさせられているのが現代かもしれません。
よって、私たは意識的に自分で「ハレ」と「ケ」のリズムを創り出す必要がありそうです。
たとえば一年を通しても、どこかで自分をリセットしたり、見直したりする時期をチェックポイントとして持っておくとよいと思います。
便利なのは、やはり星の運行によって生じる特別ポイントを使うやり方です。わかりやすいものでは、春・秋分、夏至・冬至などが使えます。
また一ヶ月や一週間、さらには一日のうちでも、メリハリをつける意識を持ち、やはり聖と俗、静と動といったふたつのバランスを取るとよいでしょう。またこのバランスは時間量的に全く同じではなく、むしろ非日常や聖というものは短いもの(しかしエネルギーは強いもの)です。
とにかく、どっぷりと日常で流される生活を続けるのでなく、どこかで自分の好きな場所や、気持ちが正されるような空間・時間を持ち、自分をリセットしてみることです。
環境から変えるということでは、旅などもいいでしょう。
その旅の場合も、やたらめったら日常意識的にたくさんの観光地巡りをして行くのではなく、非日常というものを意識して、普通では味わえない感覚や場所を特別に訪れると、ハレ効果は高くなります。
あなたが今、創造的な自分になっていないと感じているのなら、自分を見直せる空間と時間をもっと作ったり、非日常な環境を経験してみたりするとよいでしょう。
一言で言えば、自分の神性(内なる神。それは外なる偉大な神でもあります)とつながる「とき」を持つということです。
マルセイユタロットにふれる時間というのも、その目的のひとつなのです。
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