思い込みも恋のうち。

私が伝えるタロットの、特にリーディングの場合、重要なのは「その人の信じるストーリーが何なのか」ということです。

世の中は客観的でいて、実はほぼそれぞれの主観で出来上がっているものだと思います。

自分の見ている世界、信じている世界は人と共通する部分もあるにはありますが、まったく同一ということはありえないでしょう。

ということは、一人一人、別の世界で生きているという表現にもなりますし、もっといえば、自分の思いが自分の世界であるという、結局、精神世界でよく言われているような結論になってきます。

これが正しいかどうかを探究していくのもありでしょうし、また現実は現実で、皆感じ方は違うとはいえ、同じ世界に生きていることは変わりないので、人の感じ方や思いはそう影響はないのだと思うこともできます。

ですが、自分が楽になったり、幸せになったりする観点でいえば、やはり自分の「思い方・信じ方」と、そこから生み出されるストーリーは重要な意味を持ちます。

例えば同じ気温でも、もっと暑い所から来た人がそこに入れば涼しいと感じるでしょうし、かなり寒い所から来た人は逆に温かいと感じるように、数値で計ることのできる客観要素があったとしても、個人の思い方・感じ方によって変わるわけですから、思いと感情、信念というものは人生に影響すると考えるほうが実は合理的です。

さて、そのようなことは今までも多くの人や書籍でよく言われていますので、今更言われても・・みたいなところはあると思います。

そこで、今回はこの「自分の思いが世界を作る」ということを、恋愛をテーマに、ちょっと皆さんに考えてほしいことを書きます。

なぜ恋愛なのかと言いますと、恋愛がなかなかに「信じ込み」の世界であるからです。

結婚詐欺とまで言いませんが(笑)、相手に恋心を抱かせるテクニックというのは、古今東西、いろいろと工夫がさなれてきました。それをいい意味で教え、使う人たちもいます。

これは理屈ではなく、感情や思い込みの操作で恋愛をしていると錯覚できることを物語っています。

一方、恋愛は自分がしたいと思ってもできるものではないですし、気がつけば恋に落ちている、好きになっていたというように、自然に感情がわき起こり、恋愛が生まれていたという場合が人によって多く語られます。

つまり、恋愛には自主的な意図とか意志があまりはさまれにくく、そこに運命のようなものを感じる人が出てくるということになります。

しかし、果たしてそうなのでしょうか?

もしすかると、あらかじめ、自分には「そういう恋愛をしたい」「そのような相手と関係を持ちたい」というストーリーがもともとあり、その実現のために自分が近い相手を選び、その相手を勝手に自分の思い描いていた恋のストーリーの登場人物にさせ、無理矢理物語を演じようと自分自身にも課しているのではないかということもあるかもしれないのです。

簡単に言えば、「この人こそ運命の人だ」「この人がソウルメイトなんだ」と思い込むことで、ストーリーを現実化しようとしているということです。

もちろん恋愛は相手がいることですから、自分がそう思っても、相手が自分のストーリーとの融合(相手にもストーリーがあります)を果たしにくい、難しいと感じた場合は双方に齟齬が起き、どちらか、あるいは両方苦しむことになります。

今述べていることは、恋愛は出会う相手と何らかの交流やコミュニケーション、経験を経て恋に落ちる、恋愛モードに入ると一般的には思われていますが、そうではなく、逆に考えて、もともと自分がしたい恋愛があって、それにたまたま近くにいた人、出会った人などを当てはめて、自分自身が相手との恋愛モードとスートリーを意図的に創り上げているのだという考えです。

言わば自然の流れから来る因果・結果というより、もともとの目的や目標・望みのために、自分が生み出す世界に恋愛があるということです。

そしてここが重要なのですが、自分の望む恋愛ストーリーと言っても、表面的な意識・願望が本当のシナリオではなく、真の台本は自分でも気がつかない潜在意識のような部分にあるのだと推測できることです。

極論すれば、あなたが誰かを好きになるのも、パートナーを選ぶのも、すべては真の台本にあてはめようとする、あなた自身の映画や舞台作り、表現と言えます。

あなたが恋愛する相手は、あなたの映画や舞台に出演するために無意識にオーディションに来た人だといえるでしょう。

あなたは図らずもその人を選別し、「この人ならば自分のストーリーを現実的にうまく演じてくれそうだ(表現してくれそうだ)」と思う人に合格サインを出し、相手も自分の物語を創っている最中ですから、相手自身の雇われる条件にも合えば、めでたく恋愛物語が始まっていくことになります。

ですから誰でもいいわけではなく、やはり両方(自分と相手という意味の両方と、自分の顕在・潜在意識との両方)での選択があるのです。

しかし、恋は偶然や自然発生的に一緒にいたから始まったとか、一目惚れで突如発生したというものではなく、そこには自分が気がついていないことや、目に見えない仕組みのような働きがあり、結局はあなたのストーリーの世界観に当てはまる人を選んでいるということができます。

このことはマルセイユタロットの「恋人」カード、その他を見ているとよくわかります。

従って、恋愛においても、いや恋愛たがらこそ、あなたの奥底で信じている物語、ストーリー、世界観が極めて重要なのです。

それ(自分の信じているストーリー)によって、大げさにいえば、パートナーも変わってしまうくらいの「力」を持ちます。

さらには、ストーリー自体、人生そのものを変えてしまうパワーも秘められています。自分の中でストーリーが納得いくものであるならば、書き換えも可能ですし、実際の力も持ちます。

※ちなみにマルセイユタロットには「力」というカードもあります。

逆に自分が信じられないストーリー、納得できないストーリー、感情と理屈が整理できないストーリーは葛藤を呼び、現実の状態が混乱した世界にあるかのように、あなたは感じていくことになります。

タロットリーディングでストーリーを重視するのには、こうした理由があるのです。

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