改めて、マルセイユタロットの全体構成を見る。

さて今日はタロット講座の入り口でも語っている「マルセイユタロットの全体構造」について、少しふれておきたいと思います。

マルセイユタロットの全体を見る時、大アルカナと小アルカナとでは、絵柄の質が異なり、そこに違和感や難しさを覚える人がいます。

というより、ほとんどの人は、最初にそう感じるのではないかと思います。

ただ大アルカナと小アルカナの宮廷カード(コートカード)は、人物像の絵柄や描き方の作風としてはよく似通っており、あまり違いはないと言えるでしょう。

問題は数カード(スート)のほうです。こちらは大アルカナや、小アルカナの宮廷カードと比べても異質で、いわば、絵柄というより、まるで「記号」です。

これ(数カードの絵柄)とよく似たものを探すと、私たちはトランプや、カードや石・貝などでできた「札ゲーム」(たとえば麻雀など)に、それを見ることができます。

ということは、おそらく起源は西洋だけに留まらず、イスラム・中東・インド・中国などのアジアまで、汎世界的規模の「絵柄」が組み込まれたのではないかと推察することができます。

つまり、マルセイユタロットの全体構成は、大きく分けて大アルカナと小アルカナというより、大アルカナと宮廷カードというグループと、「数カード」のグループという対比・ 構図も浮かび上がるわけです。

おそらく何のタロットの知識もない人や、初めてマルセイユタロットにふれる人の印象では、素直にそう感じるはずです。素朴な印象に意外な真実があるものです。

しかしながら、タロットに描かれている象徴を知っていくと、やはり大アルカナと小アルカナのグループ分けは適切であるように思えてきます。

その理由のひとつは、四大元素というキーワードになります。この四大元素という概念・枠組を通して見た時、小アルカナは4組という形でそれに貫かれていることがわかります。

一方、大アルカナは、四大元素・4組の枠で、それぞれのカードやグループに分けられるものではありません。(分ける流派や考え方もあります)

ということは、もう一度基本に戻ると、「四大元素」という概念を用いる時、大と小も明確に分けられるようになるということです。

そして、もし「四大元素」ということでの枠・括りではなく、別のルールや基準で分けていくとすると、前述したように、大アルカナ・宮廷カードというグループと、小アルカナの数カードという組との分け方も可能になってくるのです。

※こうして考えた時、「宮廷カード」の中間的存在・ふたつの間をつなぐ翻訳機能としての重要さにも気がつきます。宮廷カードは「ロゼッタストーン」的役割があるのです。

では、その分け方の基準は何かといえば、「絵柄」になりますが、もっと言うと、「」か「」かとつきつめることもできます。

これは結構重要な見方です。

この場合、「人」というのは、人間であったり、生物であったり、心であったりと言うこともできますが、私は「人やモノである表現」と考えます。ある意味、現実の世界です。(心であっても、現実に自分が思っている・感じていることを示します)

そして「数」は何かと言いますと、「」であり、「宇宙・自然のルール」「モデル」だと見ます。

こうして二元でとらえた場合、意外なことに、小アルカナ(数カード)こそ、「抽象的」「神的」「元型的」存在として現れてきます。

大アルカナと宮廷カードは、実は究極モデルの現実的あるいは心象的表現、実像のように投影されたものとして考えることができます。

本質は数カードにあるという意外な見方です。

まあ、私が言っているのは、この見方が正しいとか、間違っているとかではありません。

マルセイユタロットのすばらしいところは、こうした様々な見方・とらえ方・考え方がすべて「正解」のように見えてくるところで、それこそがこの宇宙の構造そのものではないかと想像できるツールであることです。

私たちはどの世界観(基準・オーダー)で見るのかによって、この世界そのものも変わってくるのです。

しかし、どのように見ても、本質と言いますか、本来はひとつでもあるのです。

ある基準に沿えば、それは他の基準から見た世界とは別世界となりますので、その意味では「間違い」だと自分や他人が感じます。

一方、ただある本質が存在し、それを違うそれぞれの基準で見ただけだと思えば間違いはなく、すべて正解だという考えになります。

こう書くと、一見、後者が正しいように思え、後者こそが目指すべき考え方だと感じられるかもしれませんが、マルセイユタロット的にはそうではないと私は思います。

うまく説明できないのですが、そう(あるゆる可能性や否定性)であること知る、受け入れるというのが、マルセイユタロットから見た今の私の答えと言えましょう。

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