タロットリーディングで訓練されるもの。
タロットリーディングは、主に、タロットを使っての対人相談ということになりますが、同時に、タロットリーダー側にもある種の効果や訓練にもなっています。
その作用はいろいろとあるのですが、今回は象徴性と具体性の観点に絞ってお話したいと思います。
タロットリーディングは、タロットカードに描かれている絵柄から想像して、物事に関することを読み解く作業と言えます。
このことは言い換えれば、象徴から具体的なものを導き出すプロセスを経験していることになります。
例えば「赤い丸」を見て、日の丸という言葉を出す人もあれば、梅干しを想像する人もいるでしょう。
その違いは何かと言えば、その人の想像の力と置かれたタイミング・状況によると考えられます。
ところでもうすぐサッカーW杯が始まりますが、W杯日本代表の試合直前に、「赤い丸」を見れば、おそらく日本人は「日本の国旗」、つまり日の丸だと思うはずです。
しかし、ハイキングをしてお腹が空いている時は、やはりおにぎりの梅干しに見えるかもしれません。
また意外な発想として、「火星」だと感じる人もいるでしょう。その人はなぜ火星だと思ったのかは、たぶん星や宇宙に興味があったり、火星は赤い星という観念があったりするからでしょう。
アニメ好きの人には、赤い彗星まで想像に至り、とある有名キャラクターまで思い浮かぶ人もいるかもしれません。(笑)
いずれにしても、「赤い丸」というだけでいろいろな想像が出るのは、先程言いましたように、想像の力とタイミング・状況が強く関係していると言えます。
想像の力は顕在意識・潜在意識ともに蓄積されたデータから来るものが多く、タイミング・状況は、今述べた「W杯か、空腹時かによる想像の違い」、または今の自分の興味や関心による違いみたいなものです。
これをタロットリーディングに当てはめますと、後者の、象徴における「状況やタイミングの違いで生み出される具体的言葉」というのは、タロットリーダーとクライアントの置かれた状況の違いに当てはまります。
つまり、クライアントの現在の関心や興味によって、そのタロットの象徴的絵柄の意味は異なってくるのであり、しかもそれはリーダーが想像する具体性とも違うことが多いのです。
ですから、タロットリーダーはそれをふまえて、相手の置かれている状況、興味・関心を情報として聞き出す必要があります。
言い換えれば、クライアントのリアリティ(現実性・現実感)を想像世界として、自分(タロットリーダー)も(相手の世界観を)共有しなければならないということです。
そこから新たな自分(タロットリーダー)の枠を越えた創造性(想像性)が出ますし、訓練されるわけです。
さてもうひとつの観点、「意識に蓄積されたデータの違いによって生み出される象徴からの言葉(の違い)」は、これはもう個人的経験によることになります。
ただ、経験を増やすということだけではなく(それも重要ですが)、象徴から具体的言葉にしていくという作業は、決まり切った想像しかしないルート・道筋を変えるということが大切なのです。
「赤い丸」を見ても、日の丸とか梅干しにしか見えないという(笑)、ワンパターンの思いつき方から脱却しなければなりません。
ワンパターンになってしまうのは、ひとつには、経験(データ)の少なさがあります。体験や経験の幅が狭いので、同じことしか想像できないというものです。
もうひとつは、想像のやり方が同じというものです。これは想像までの通る道筋(アイデアの生み出し方)が毎度毎度固定されたように決まっているので、貧弱なものしか思いつけなくなっているわけです。
あと、さらに付け加えるとすると、そもそもが訓練の量が少ない(アイデアを出す実践をしていない。そういう場面がこれまで少なかった)ということが挙げられます。
このことは、実は同じ思考パターン・想像パターンの道筋になってしまっているのと同意義のこともあります。
アイデアを絞り出すかのように、頑張って想像していくと、いつかブレイクが起こり、これまでのパターンからはずれて、意外な発想や想像ができます。
タロットリーディングでは、結局、カードの象徴性から具体的な言葉やストーリーを出す訓練が絶対的に足りていないことで、読めないという自体を引き起こしている場合があります。
よって、これを訓練すれば、具体的なことがもっと読めるようになるのです。
同時に、それは、アイデアや発想を膨らませることと、それを具体的なものに落とし込む作業のトレーニングをしていることになります。
ここがタロットがアイデア開発の装置であると言われる所以でもあるのです。
特に対人タロットリーディングは、相手の発想や具体性を自分に採り入れることもできますので、人のためになりながら自分を変えるという意味でも、すばらしい技法になるのです。
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