潜在的リアリティの効果

タロット研究家でも有名な、映画監督アレハンドロ・ホドロフスキー氏はセラピストでもあります。

彼の行うものに「サイコマジック」と言って、魔術的ともいえる一見荒唐無稽な行為をすることによって、クライアントの潜在意識にその「儀式」を到達させ、今起きている問題や悩みを治療していくというものがあります。

現代の常識的な目線の私たちからすると、それはまるで不思議で滑稽とも言える、まさしくマジックのような「儀式」なのですが、その非常識とも思える行為が、本人にとっては心理的(霊的)に有効になるというのも興味深いところです。

ここで考えられるのは、見た目や表面的意識でとらえている事柄よりも、特に心理的な問題については、そのエネルギーや本質が重要であるということです。

言い換えれば客観的な事実ではなく、主観的な思い込み、ダメージ、傷、印象・・・などが実際に何かの影響を外側の現実に引き起こすわけです。

しかし、原因が単なる本人の思い込みや感覚だけではないのが難しいところです。このあたりがアカデミズムの心理学的なアプローチの限界ではないかと感じております。(決して否定しているわけではありません、むしろ認めているがこそです)

例えば、ホドロフスキー氏のサイコマジックを受けた人の事例では、世代に伝わった心理的トラウマや強い思念の影響(もはや霊的と言ってもよいもの)も伺えたからです。

さすがに世代を越えてくるものには、なかなか常識的なアプローチでは要因を発見することは難しいでしょう。

親やそのまた親とかなら、ある程度はわかることもあるでしょうが、もっと長く引き継がれていたものも存在し、それはなかなかわかりにくいです。いわゆるこうしたものが「因縁」と呼ばれているものでしょう。

ここに、ひとつのデータや記憶庫のようなものを想定してみると、少し理解のヒントが得られる気がます。

おそらく私たちは肉体のどこかに、見た目だけではない、先祖から受け継ぐ情報をデータとして持っているのだと想像できます。

しかしデータはあくまでデータであるので、それが本人に影響を及ぼすかどうかは、本人の置かれた環境や生じた事件、環境設定、一定の条件などで変わり、発動も変化すると考えられます。

この点が、誰もが先祖からの影響を受けるわけではないことの理由にもなる気がします。

影響が発動しやすい条件とは、ひとつ考えられるのは、その元のデータが書き込まれた起因となったもの、すなわち先祖の人と同様な状態です。

例えば、同じ女性であるとか、職場や学校での嫌な気分になった状態が同じ(時代が違っても、本質的なものが同じ)とか、子供の数や性別・順序、子供が出生した時のご主人の態度や言葉など・・・そうした感じのものです。

つまり、もっといえば、データの影響が発動するのは、潜在意識的に事実・リアルだと認識した時と言えましょう。

潜在意識的に事実だというのは、例えばホラー映画を見て恐怖を感じたとしても、普通は「映画」だと思っていますので、映画館から出れば元に戻りますが、映画を映画だと思わず、目の前の映像が本当のことだと錯覚している状況、あるいはあまりに映画の印象が強くて、外に出ても映画のことが忘れられず、いつも恐怖に苛まされているような状態です。

潜在意識にリアリティを感じさせるのは、論理や常識だけでは難しく、強い感覚や感情、インパクトある出来事、特殊な音とか形から生ずるある種のエネルギー、似たような環境設定などです。

神や仏の奇蹟というのも、一部はこうした潜在意識のデータに届くような印象深い出来事だと、本人の潜在意識が「事実」的に確認したからこそ、スイッチが入ったものだと考えられます。

よくマルセイユタロットリーディングで、カードを見ただけで癒されるとか、展開しただけで物事の進展が早くなったとか言われるのは、マルセイユタロットの絵柄に、特別な形状と色などの効果があるよう作られているからだと言えます。

もっとも、マルセイユタロット以外のタロットでも、ほかのセラピーカードの類でも、本人の潜在意識的にリアリティを感じていれば、効果は高くなると思います。

ただマルセイユタロットには、ほかにはない形の理由があります。

結局のところ、カードでも何でも、本人の奥底のデータに届くインパクトがあれば、問題の解決や解消、変化に影響するのだということです。

それが常識や見た目のこと、表面的な言葉のようなものでは判断がつかず、本人にすらそれが適切かどうかも判定しにくいものなのです。

ですから、突拍子もないアドバイスであっても、本人にはそれが解決の糸口になることもあるのです。

それが「象徴行為」というものです。

失恋した人が髪を切る、旅に出る、思い出の品を捨てたり燃やしたりする、そういう象徴行為が、本人的には「恋の終わり」と「自己の再生」を潜在的に象徴させ、実際に効果が現実として反映されるのです。

そんな行為がばかばかしい、真実味もないと思う人には、当然効果はほとんどないものとなります。

ところが、今回の記事の肝になりますが、そう思っていても、本人の潜在意識では、その行為にリアリティある場合は効くのです。

口で言っていたり、本人が表面的に思っていることだけではわからないのが、相談の世界では多々あるのです。

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