月の秘密に少しだけふれます。

この前は立春で満月でした。

最近、と言いますか、まあ、昔からですが、月にまつわるエネルギーの活用法や願望達成法などが巷でさかんに紹介されています。

中には、月に向かってお財布を振ると金運アップ!みたいなものもあるそうですね。

ところで、マルセイユタロット(というより、一般的なタロットはだいたいですが)においても、「」という名前のカードがあります。

マルセイユタロットの中でも「月」は、絵柄的にも意味がわかりづらく、解釈にも多様なものがある、なかなかに手強いカードです。

しかし個人的には、かなり高度な内容を象徴しているカードだと考えています。

まさに「月」のカードを本当の意味で読み解くことができれば、この世の中の大きな謎や、からくりを解明することになると推測しています。

それは同時に、自分自身を高次に導くことにもなります。

ということで、私なりの「月」の解釈(「月」のカードから得られた象徴やエネルギーとしての「月」の考察の一部)を披露したいと思います。

まず、「月」にかかわらず、宇宙の星・天体とその影響を考える場合、占星術もそうですが、星を物理的・天文学的なものでとらえないということです。

一言で言えば、「象徴」で考えることです。

何の象徴かといえば、これもシンプルに答えれば「神」「全」「一なるもの」完全なるものの惑星的表現と言えましょう。

「象徴」となれば、本質は同じでも、その適用範囲はレベル(次元)ごとに意味が異なってくるのです。

例えば「熱い」という本質があっても、それは実際に温度のこともあれば、感情としての情熱ということもあるでしょうし、病気で熱が出るということも言えます。

ですから、本質で示される象徴は、その核心は同じであってもレベルの違いにより、小は個人個人の生活的・世俗的・吉凶的運命レベルから、中(ちゅう)は人々の心理構造、果ては地球全体、宇宙という大きな範疇という次元において、それぞれ別の意味や表現を取りながら影響するという感じになります。

逆に言えば、それぞれのレベルによって、受け取り方や、影響の範囲、意味の扱い、実際の現象などが異なってくるというわけです。

このあたりは象徴と現実をどう考えるかという問題になり、説明が難しくなりますのでこの辺にしておきます。

では、もっとわかりやすく、「月」の影響はどのようなものなのかということを、簡単なレベル別で示してみましょう。

事例は、ちょうど皆さんにも興味があるかもしれない(笑)「財布を月に向かって振り、金運を上げる」という行為にします。

これの一番低いレベルは、まさにお金儲けと「月」が関係していると思いこむ迷信レベルです。

結果と起こる現象のみにフォーカスし(関心があり)、たとえ一般的に違和感を覚えたり、おかなし方法であったりしても、「とにかくお金が入るんだったら、何でもやるよ、やったもんがちでしょ」という具合に行うレベルです。

そこに因果関係や論理はなく(深く思考せず)、人が言うからとか、誰かがそれをやったらお金が入ったから信じてやってみるという形です。

これは「月」の影響レベルというより、「月」というものを迷信的に道具のように見ているということになります。

まあしかし、とにかく「月」に関連させているので、「月」の影響を受けている「ある次元」といえばそれになります。

注意してほしいのは、別にいい悪いの基準で言っているのではないということです。あくまで次元・レベルの表現として書いています。

次に、心理的効果レベルです。

例えばお金(を稼ぐ、受け取ること)に強く罪悪感があったり、月に向かって財布を振って踊りましょうみたいなことをするのがかっこ悪かったりして、とても自分にはできないという人が、いたとします。

それでも、友人などから、「とにかくやってみなはれ」(笑)みたいに誘われて、いざやってみると、最初は恥ずかしかったものの、意外にスカッとして気持ちよくなり、時にはバカやったり、はめをはずしたりするのがいいと感じてしまうことがあります。

これは人にもよりますが、心理的・潜在意識的にブロックされてきたものが、財布を振ったり、踊ったりすることで強制解除や解放に向かい、その後の思考や行動に変化を与え、今までより自由に生きることができて、結果的にお金回りがよくなったという場合が時に生じます。

しかし、これも実を言うと、「月」(のエネルギー)が影響しているのかはわからないところがあります。

「月」には関係なく、自分の信念に関わるブロックや解除の効果とも言えるからです。

とはいえ、満月の夜の心理的効果は昔からあり、どこか開放的気分・興奮気味になるとも言われています。

潮の満ち引きが「月」の引力と関係していることや、生物の生殖・生死リズムとも関わる「月」の波動が、満月に最盛期を迎えて潮力も大きくなり、人間の「水」的(「水」はタロット的には感情の象徴でもあります)なものに影響を及ぼしているとも考えられます。

上記でいうと、普段は踊らない堅いまじめな人も、思わず集団心理とともに踊ってしまうようなことも、「満月」ならではあるということです。

なお、心理・潜在意識的には、金運的には逆効果もあるので注意が必要です。

それは「お金がほしい」という「思い」、つまり金欠な状態を「月」とともに潜在意識にさらに刻印することになるからです。

このことは、潜在意識を読み、よい方向に活用していくシンボリックリーディングメソッドで有名な、マルセイユタロット講師である「はるひなた」さんも書かれていたことです。

また古代ギリシア・ローマ神話における、ディオニスやバッカスの神(お酒や酩酊と関係)の信奉者として、月夜に踊り狂う女性狂信者マイナスたちの集団・マイナデスも彷彿させ、一種のトランス状態・変性意識作用を月の波動と集団効果とともに表出させると考えられます。

まあ、これがいいのか悪いのかは、マイナデスの伝説を調べて、自分で判断してみてください。

人は特別な意識になった時、超越的な力を得ることもありますが、同時に洗脳や盲信の危険性もあります。

さて、ここからが本題というかマルセイユタロットの「月」とも関連する事柄です。

最後のレベルといいますか、グノーシス的宇宙観にまつわる「月」のエネルギーと働きです。

ただこれはかなりの秘密になり、カードからも気安く言わないようにと感じられるので、さわりだけでお許しください。

結論から言いますと、「月」はエネルギー的に人々の思念・情念・感情を増幅させる働きがあると考えられるものです。

まあそれくらいは普通に言われていることで、不思議でも秘密でもないのですが、そうなる仕組みが重大なのです。

もしあなたが「月」を利用しようという思いで、「満月に財布を振る」ようなことをしていると、たいていの人は、自分で自分をますます縛っていくことになります。

なにをどのように縛っているのか、そもそも自分で自分を縛るとはどういうことなのかは、詳しくは申し上げられません。想像していただければと思います。

とにかく、最初のほうにも述べたように、「月」も神(全)の一部であり、「月」としての神なる表現で神聖なものなのです。

ですから古代より洋の東西を問わず、「月」には女神的(つまりは神)なものを当てはめてきたのです。

神様ですから何でも叶えてくれるかもしれませんが、地上的・人間的レベルでの世俗的なことが叶えられるとは限りません。そんな細かいレベルで対応していたら、神様も大変です。(笑)

しかし、一方で自らの内に神がいるという考え方もできますから、「月」と呼応して、自分の内なる「月の女神」を起動させることで、「月」の影響・エネルギーを個別レベル(生活レベル)で発動することも可能です。

従って、きちんと「月」に神なる性質と表現を見て、礼拝するかのように神聖に扱えば、それは自分の中に神を見ることになりますから「月」といい意味で同調していくことにもなります。

これがただの金儲けや金運アップのおまじない的な使役感で「月」を扱えば、自分の別の側面の「月」を強めてしまうことになります。

その別の「月」(実は女神性の月と表裏一体です)は、あなたを「月」の幻想の世界に閉じこめてしまうのです。

まあ、結局、自分の信じたものが「世界」になりますから、「満月に財布を振ってお金を得て、お月様に感謝!」みたいな世界が自分にはあると思えば、その通りの自分の世界に移行します。

それがいいか悪いかは関係ありません。人の望むレベル次第です。

引き寄せ合うもの、類は友を呼び、自分の欲するところに応じて、仲間も集団も集まり、また変化していくのです。

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