「13」の示す満足。

マルセイユタロットに、「13」という数だけで、名前のないカードがあります。

ほかのタロットでは、このアルカナナンバー13に該当するカードは、「死神」という呼称になっていることがあり、そのことからも非常に恐れられているカードでもあります。

もちろん、マルセイユタロットの「13(番)」でも、絵柄から怖い部分は感じさせますし、恐れというより、畏敬にも似た「畏れ」の意味合いが「13」にはあります。

そんな「13」は、描かれている人物が大鎌を持っていることから、そぎ落とすイメージが強く出ます。

しかし、一方で、これは「悪魔」のカードともつながるのですが、意外に、「満たす」「満足させる」という反対方向の象徴性も込められていると感じます。(あくまで私の解釈です)

その、「13」から告げられるメッセージ的な意味での「満足」について、記してみたいと思います。

それは、一言でいえば、「完遂させる」「味わい切る」というものになります。

人間、中途半端に終わらせてしまうと(それは実は終わってはいないものですが)、心残りや、後味の悪さを感じ、その後の人生においても、どこか違和感を覚えつつ、過ごさなければならなくなります。

例えば、昔の恋人が忘れられないとか、別れるタイミングが早すぎたとか、あの人に言うべきことを言っていなかったとか、あの時代にもっと遊べばよかったとか、勉強しておけばよかったとか・・・そういうような思いです。

普段はそのことを忘れていた(忘れよう)としても、奥底の意識や記憶にはあり、何かの拍子で、突然そのことが思い出されたり、影響が出たりします。

それが、結婚や新しい恋人ができない理由だったり、人間関係でいつもトラブルが出たりすることだったり、時には心身の病気のもとであったりすることもあります。

タロットリーディングでも、「13」が登場する時、それは改革や変革を求められる場合と、何か終わらせていないものを終わらせる意味で、自分の中の不満足を完了状態へと充足(満足)させる場合とがあります。

後者こそが、先述した「13」が告げる「満たすこと、満足」に関係するのです。

それは最終的には、「13」の鎌でそぎ落とされるものです。

しかし、そぎ落とされるにしても、それが「存在」しなくては、鎌は空を切ります。

言い換えれば、実感であり、もう自分からそぎ落としてもよいと思える完了感です。

あるような・ないような、またこびつりいてなかなか離れず、しかし完全に取り去るには何か惜しくて残念になる・・・そのような中途半端な状態では、思いきってそぎ落とすことはできません。

そのためには、「確かに経験した」「味わった」「もう十分」「次へ行ってもいい」という感覚が必要なのです。

過去に戻ることはできないので、終わらせることは無理と思っているかもしれません。

しかし、象徴の世界では、意識は自由に時間を超えることができます。

過去の同じ人間や状況ではなくても、象徴的・感覚的にそれが似たようなものという認識(実感)があれば、やり残したことを完了させ、満足させることもできます。

また過去に戻らずとも、実際に今にできることがあれば、それを行うのもよいでしょう。

タロットリーディングで言えば、今ならばできるからこそ、「13」が出ていることもあるのです。

年齢や状況に関係なく、今からでもできることは必ずあるはずです。

そして、今後の人生においても、なるべく思い残しや未完了をともなわせるようなことはせず、その時・その時を十分味わって生きるとよいです。

もちろん、人はオートマチックに過ごしてしまって、あまり意識していない時間というのも多いです。そうしないと身が持たないからです。

しかし、食事や勤務中でも、ふとした瞬間に、「食べている」「歩いている」「仕事している」という実感と意識を強く持つことで、いわゆる「味わい」というものが発生し、そこから「味わい切る、味わい尽くす」という状態に移行することができます。

ましてや、自分が特別な時間と思っているものは、夢中になるだけでなく、それこそしっかり味わい切ることです。

すると、完了感、達成感、満足感が、些細なことからでも感じられるようになります。

そういう場合は、「13」のカードは微笑んでくれます。(本当にそう見えるようになります)

つまるところ、この「味わう」「充実する」「達成する」感覚を、外からの刺激によって、ただ偶然的に味わうか、それとも、意識的になって、何でもないようなことからでも、人生の味わいを感じるかという選択になるでしょう。

前者は半ば奴隷的であり、後者は自分をコントロールしているような自立的な存在と言えます。

さあ、あなたも、自分が思い残したもの、未完了になっているものを満足させに行き(生き)ましょう。

それが済むと、あなたはバージョンアップし、「13」のもうひとつの大きな意味、「変化」「変容」が行われ、生まれ変わるのです。

コメント

  1. 久保田 より:

    こんばんは。
    先生はいつもタイムリーですね(苦笑)
    苦しい想いから楽になれるかの問いで2枚引きをしました。
    戦車の正立、皇帝の正立が出て戦車の視線で「13」のカードでした。
    積極的に想いを現実化する。戦車の視線の先に「13」のカード、劇的変化、終わり…
    笑ってしまいました。
    味わい満足して完了するかぁ。まだまだ迷子です。(笑)

    • miyaoka より:

      そのカードの状態ですと、今終わらせるというより、とことんやってみる、
      その結果、自然に満足と言いますか、車輪が回って次に進むという感じがしますね。
      そうしていくと、いつか、心だけではなく、目に見える(確認できる)状況とか、
      外側の変化とか、わかりやすい形で次の段階が見えてくると思います。

      • 久保田 より:

        ありがとうございます。
        少し楽になりました。進めなければいけない方向は解っているのに、それを選べない…選びたくないのかも…選ばないと…の堂々巡り。
        車輪の時期が来るのを、車輪を回す時を意識していこうと思います。

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