カードの組合せで見る、「話す」ことの要素
マルセイユタロットに「法皇」というカードがあります。
ほかのタロットでは、「教皇」などと言われているカードです。
このカードは、そうした何か教えをするような人が、聴衆に話をしている絵柄で描かれているため、話を伝える、言葉を話す、伝達する、話をして教えるというような意味合いで見られます。
端的に言えば、「話す」「伝える」ということに深く関わっているわけです。
ところで、マルセイユタロットを読んだり(リーディングしたり)、カードの示唆する内容を理解したりするためには、カード単体での(カードを独立させての)意味を読み過ぎるとわかりづらくなりますし、情報の扱い方としても、物足りないことになります。
せっかく、全体では78枚、大アルカナだけでも22枚あるので、カードを複数枚、もしくはそれぞれを関連させて読む、コンピネーション的な扱いのほうが、より、カードの活用性が増します。
その意味で、基本は、まず二枚くらいのカード関連させて読む訓練を積むと、リーディング技術の向上にも役立ちます。
最初に述べた「法皇」のカードでも、ほかのカードと組み合わせることで、「法皇」のカードの示す「話す」「伝える」ことのいろいろな面が見えてきます。
一言で「伝える」「話す」とは言っても、実はそこにはある要素が関係するのです。
ある要素とは、まず、時間と空間(場所)ということがあげられます。
時間で言いますと、「話す」タイミング、時期、長さなどです。これは「法皇」と「運命の輪」の組合せで顕著に読むことができます。(もちろんその他のカードでも)
また場所も大切です。
例えば、「法皇」と「手品師」だと、話す場所は職場ということかもしれませんし、「法皇」と「月」、あるいは「審判」だと、その場所は家庭ということもあるかもしれません。
それから、誰に話すのか? という要素では、「法皇」と別のカードの組合せで、その別のカードが人物を示していると思える場合、その人物こそが話すべき人、伝達における重要な人物と読むことができます。
それから、話す内容や話の仕方という要素で考えることも可能です。
例えば、「法皇」と「恋人」では、まさに恋の告白かもしれませんし、「恋人」カードが複数の人たちと話し合っているように見えますので、まさに話し合いとか会議とか、相談が必要と読むこともできます。
「星」のカードと組み合わさせれば、話し方は優しくとなるかもしれませんし、「節制」だと効率的に要領よく話すとか、相手に配慮して話すとか、ゆっくり語るとか、通訳するという意味もあるかもしれません。
また「世界」だと、言語も外国語が必要ということも想定できます。
「正義」が来ますと、率直に話すとか、法的な面に言及するとか、正直に伝えるということの示唆も考えられます。
小アルカナと組合せれば、お金がポイントなのか、気持ちが重要なのか、何日にどこで話せばいいのかなど、さらに話すことの詳細なもの・具体的なものを決めていくこともできるでしょう。
まとめますと、話す要素には、「時間(タイミング含む)・時期」、「場所」、「人(対象として複数もあり)」、「状況(シチュエーション)」・「話し方(調子やスピード、声の大きさ、言語種など)」、内容(要点・ポイント)」などがあり、これによって、伝わり方も違うということです。
逆に言えば、漫然とただ話すだけでは、伝わりにくいというわけです。
このように、タロットを使えば、「話す」「伝える」ことに諸要素が大事であることがわかるだけではなく、今の自分にとって、あるいはアドバイスを求める人にとって、何が話す(伝える)うえで重要な要素なのか、カードの出方・組合せで見ることができるのです。
今日述べたことは、「法皇」を例にしましたが、ほかのカードや意味でも使えることで、カードの読み方(の訓練方法)だけではなく、カードから発想を得るための方法も兼ねています。
これはマルセイユタロットがシンプルな絵柄で、人や物事の元型(構造)を描いていることと、人物の視線・動作がはっきりしていることなどから、特にカードの組合せ、コンビネーションによって発想を得やすくなっていることと大きく関係しています。
マルセイユタロットはカードを組み合わせることで、さらに威力を発揮するカードだと言えるでしょう。
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