タロットにおける質問について

タロットリーディングでの質問(問い)については、実践する人にとっても、タロットを教える人にとっても、いろいろと意見があるようです。

私自身は、一言で言いますと、タロットへの質問は重要でありながら、実はそうでもない。

という立場をとっています。

特に、タロットに習熟してくればするほど、質問自体に意味を持って来なくなると考えています。

しかし逆に言えば、初級のうちは、質問は結構大事です。

そのことについて、少し説明しましょう。

まず初めのうちは大事だというのは、そもそも、タロットの解釈・読み方が、まだこの頃は十分身に付いておらず、有り体に言えば技術不足なので、質問にもある程度凝らないといけない(質問にも注意を払わねばならない、設定しなければならない)からです。

質問が漠然としたもの、例えば、「私はどうなりますか?」とか、「なになに運はどうなのでしょうか?」みたいなものですと、視点がぼやけてしまい、タロットが出された(展開された)としても、どこに焦点を合わせればいいのか判断しづらくなります。

タロットは絵柄であるので、まず基本的には、自分の質問に関連する様々なイメージと、出たタロットの絵柄との合致などを見ることで判断しようとします。

要するに、少々こじつけ的なものから最初は読んでいくスタイルとなっていくのです。こじつけというと言い方が悪いですが、相似形を探すということでは、実は非常な重要な作業なのです。

これが、もっと質問を絞り、「仕事の売上を伸ばすにはどうすればよいか?」というような具体的な感じにしていくと、「(自分の問題となっている)仕事」についてのイメージ、営業や売上、その他それに関係することのイメージなどが本人に出ますので、それと絵柄が合っていたり、何かピンと来たりするタロットに注視することができます。

質問が具体的であれば、それだけ具体的にタロットから探そうとするわけです。

タロットリーディングは、最初のうちは抽象的な感じになりがちなので、質問からある程度、読みやすくする用意をしているのです。

これは言い方を換えれば、タロットと問いを関連させて、ストーリーを作りやすくしているということです。

しかし、こういったことも、タロットの知識と技術が上がってくると、変化していきます。

最初にも述べたように、タロットに習熟してくると、質問自体が、あまり意味をなさなくなってくるのです。

それは、タロットは象徴であり、象徴とは回答がひとつとか、正答がこれとかと言った、現代人がなじんでいる思考方法とは違うものであり、多重構造的に考えていく(あるいは感じ取って)ことにあります。

従って、例えば、質問が仕事のことであっても、タロットから出た象徴性は、いわばクライアント(質問者)の仕事を中心にしながらも、今の人生そのものが表されていると見ることができるのです。

ということは、それ(タロットの展開)がこの人の恋愛にも、家族にも関係していると読むことが可能になります。

ここはなかなか今の常識(的思考)で慣らされるとわかりづらいですが、ある特定の事象には、すべての因子が含まれており、その逆に、すべてのことはある特定のことで表されるという考えがあるのです。

ですから、今のクライアントの悩みを解くことで、全体性への影響(改善)をすることもできますし、全般的な流れを観て、個別的なものに対処することも可能になるという理屈になります。

このため、リーディングの一期一会性が極めて増し、そして、(クライアントの)質問内容そのものよりも、その本質を象徴性としてタロットから読むというスタイルに変わっていくわけです。

あと、クライアントや自分の質問自体がすでにある種の枠・価値観を表していることがあり、それゆえ、タロットがたとえどんな出方をしようとも、その世界観とレベルで判断してしまう(されてしまう)という問題があります。

これも、タロットへの質問が重要でありつつ、本質的には重要ではないという理由のひとつになります。

例えば、「どちらが自分にとってよい選択か?」というような質問と、それに対応するタロットの出方は、それはその人の基準か、タロットリーダーの基準(価値観)による判断が多くなり、その質問はその基準においては意味をなしますが、見方を変えれば、まったく無意味に近く、自分の成長と解放から考えると、その質問とやり方は変える必要があるのです。

極端な事を言えば、どらちがよいか?の質問と、それに対応するタロットをしている限り、クライアントもタロットリーダーもあまり成長はないと言ってもいいです。

ただ、ある次元では必要であり、楽しい質問(興味を持つ)質問になるので、必ずしも悪いわけではありません。そういった選択の質問が要求されるレベルと次元もあるということです。

以上、簡単ですが、タロットにおける質問について、述べてみました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top