「星」の示す源泉とその扱い
マルセイユタロットに「星」というカードがあります。
このカードももちろん、そのほかのカードと同様に、様々な象徴性を持ちます。
ただ、その中でも大きくわけて、星そのものに関係する部分と、人物として描かれている女性、その持ち物に関する象徴性があると言えます。
全般的にマルセイユタロットは、その図柄と構造に最大のヒントがあり、これをつぶさに観察することで、深い示唆を得ることができるようになっています。
そして、それは意外に、まずは単純な絵の構図の違いなどから始まるものなのです。
さて、その「星」のカードですが、当然、星ということなので、われわれの見ている天体・星々が象徴されているのではないかと推し量ることができます。
ただ、タロットにおける象徴性というものは、物質的な観点というより(それも必要なことがありますが)、精神的・霊的なシンボルとして見るほうが本質的です。
つまり、星をただ物質的天体(何かの物質の塊の回転のようなイメージ)としてではなく、全体性の象徴として見ていくというものであり、この星は見たままの天体のことを言っているのではないということです。
特に地動説で、太陽の周りを二次元的な円のイメージで公転している太陽系の惑星というようなものは、マルセイユタロットなどが示す象徴性においては、まるで反転した、本質的にまったく違うものと言っていい代物になります。
これは科学的な視点で見るという次元とは異なるので、迷信を信じるとか、古い劣る見方に戻しましょうと言っているのではないことを理解するのが大事です。
いわば深い精神性や霊的な世界の本質表現のひとつ(高次を人間にわかるやすい次元に下降させたもの)と考えればいいでしょう。
星をそうした意味で見るということでは、やはり「占星術」をあげないわけにはいかないでしょう。
ということで、この「星」のカードが占星術と関係していることも考えられます。
一方、「星」に描かれている裸の女性は女神ともいえ、手に持つふたつの壷からは、何らかの水のようなものが蕩々と流れているように見えます。また彼女の周囲には、川や泉とも表現できるものがあります。
このことから、何かの源泉つながっていること、その源泉からあふれ出すものを、さらに流していることが想像できます。
そして、繰り返しますが、彼女の上には星が輝き、その星もまた何らかの象徴性を持つという図式になっているわけです。
泉に星は映っていませんが、天と地のような関係で、泉(川)と星が呼応(共鳴・影響)していることは推測できます。
ところで、最近は占星術に関心のある方も増え、占星術を学んだり、占星術師(占星術をされる人)の指針で、日々の生活行動の参考にしている人も多くなりました。
それ自体は、精神や霊性の成長、解放性において、最初のステップとなると考えられますので、悪いものではないと考えられますが、一方でこれに囚われすぎ、星というものを逆に道具や物理的なものに再変換して、結局のところ、普通の人のお陰信仰に近い、極めて物質的感性に拘束される危険性があるので、注意も必要なところです。
「星」のカードから、星のエネルギーについて、現代占星術的なことを抜きにして述べたいことは、星を象徴化することによって、イメージの源泉にふれることができる、またはイメージの力や豊かさを増進させることがてきるという点です。
占星術を学ぶにおいても、星を扱って(星の動きを見て)実生活の現世利益的なものに利用するという観点ではなく、星の特質・象徴性(特に太陽系の惑星)を精神的に(心のイメージとして)把握し、自身の内側のイメージを広げることに役立てるとよいと思います。
いえ、目的は人によって自由に選択できますから、別に星の動きとエネルギーを利用して、生活をよくしたいという人は、それもその人の個性です。(ちょっとだけ言っておけば、ここで注意したいのは、「星と調和する」という考えには、言葉自体はとてもよいことですが、いろいろな側面があるということです)
星によって、自分のイメージの力を増していくということは、当初は混沌とした中に放り込まれるような感覚もありますが、次第に、自分の心の中を象徴的に整理したり、理解できたりする方法のひとつとして活用できるようになるでしょう。
またイメージはアイデアを生み出しますから、行き詰まった状況にある時、あるアイデアもひらめきやすくなります。
それから、「星」の女神の壷の水が示すように、それは流すことにもつながります。
「流す」ことは与えるだけではなく、自身や人を浄化することに関係し、つまり、豊富なイメージの中でも、自分を苦しめる幻想のようなものは、流してしまうことも示唆されるわけです。
精神の囚われはイメージと想像力に起因しているものが多く、矛盾のように聞こえるかもですが、だからこそ、イメージの理解によってイメージによる束縛を打破することが可能になるのです。
そのためには、貧弱で現実に支配されたイメージから、もっと自由で豊かなイメージ(が持てる力)を取り戻す必要があるのです。
心の整理と先に述べたのも、こういうところと関連します。
そして星自体は、よくも悪くもなく、その象徴性・エネルギーの扱いをどうするかによって、水の流れる意味、その方向性や目的も変わってくるというわけなのです。

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