タロットと数をどう見て、どう扱うか。

タロットには数・ナンバーがついているものがあり、このことから、タロットは明らかに数と関係していると考える人が出ます。

そのため、タロットと数を扱う秘術、いわゆる数秘術との関連もなされ、タロットを数秘的に扱ったり、解釈したりする技法も存在しています。

私自身もタロットを習う最初の頃は、それはなかなか面白いものだと思っていました。つまりは初心者的には楽しい技術と言えるのです。

しかし、タロットをよく見ていくようになると、確かに数とタロットは無関係ではありませんが、それ(数や数秘)を主体に考えすぎるのも本末転倒なものだと気づいてきました。

例えば、私の講座においても生年月日のデータから数を抽出し、その数を持つタロットと関連させて自分を振り返る、いわゆるソウルカードとかパーソナルカード、またはその年の象徴を見るイヤーカードなどお伝えしますが、これらはタロットの本質からすれば、あくまでサブのものと言えます。

これらの技法は、使い方に注意すれぱ自分や人にとって役に立つものですが、ほとんどの人は、数秘占いや性格判断みたいなもので使い、しかも、そうしたレベルでこの技法を使えば使うほど、ある囚われに陥るという矛盾を抱えたものになっていることに気づいていません。

それはそもそもがタロットにおいて、「数」をメインとして見てしまっている点と(タロットは絵柄の象徴が主です)、その「数」自体の扱いを、「数占い」みたいなレベルで見てしまっているところから生じています。

ライトな占いや簡単な性格判断のようなもので楽しむ、遊ぶ、という目的ならいいのですが、自己の成長、解放、統合、覚醒、真理の探究などの目的の場合、そのような数とタロットの扱いは、弊害のほうが大きいと言わざるを得ません。

私の講座では、数秘的なタロットの技術も教えていることはお話しましたが、前述の注意点についてもふれており、その使い分けについて指導しています。

それでも受講生の目的もそれぞれに違うこともありますし、数とタロットがやはりリンクしていること、それが自分に関係していることに驚嘆する、気づくきっかけとしては、数秘的なタロットの扱いもよい面はあります。

そして、タロットと数について、別の面から見ていくと、実はタロットにおける数というものは、結局、タロットが表すこの世界や宇宙、さらには私たち自身の(人間の内的外的)構造を示すためのひとつになっているのだということです。

言い換えると、数はタロットという高度な象徴体・ユニットを完成させるための重要な要素だということです。

ですから、やはり数とタロットは無関係どころか、切っても切れないものがあるのです。

タロットにおける数を詳細に検討していけば、タロットがどのような構造になっており、それがどんな意味を示しているかを知る手がかりになります。

ただ、あくまでひとつの要素ですから、数によってタロットがすべて解き明かせるわけではありません。

タロットにおける「数」は、「数」自体の象徴性を考えるのも重要なのですが、むしろ、私たちが普通に「数」に対して思う「数の性格」で見たほうがいい場合もあります。

私たちが普通に見ている数(数について思っていること)というのは、数量や順序として扱う時の数のことです。

例えば、1から10という数があれば、数秘的・象徴的には、1から10にそれぞれの意味・性格のようなものを見ていきます。(その根拠は感覚ではなく、特に幾何学的なものにあります)

一方、数量や順列・段階などで見ていく場合、1から10へと移行・増加していく様、その反対に10から1へと減少、シンプル化していく様が見て取れます。

また数量的に見るということは、計算を入れることができ、例えば合計で21や22になるペアのカードなどとして、ある種の組合せや、ある組織・グループを作ることができます。

しかしこれも数をメインにするのではなく、もし合計で21や22となる数のついたペアのカードを見るとしても、その組合せ(ペア)によって、タロットが示す全体構造の検証やシステムの解明に役立てるということになります。

全体がわかれば、その組合せの意味もさらに明確になり、そうして初めてひとつのペア・組合せを、実際に個人に活用することができるようになるのです。

ただし、これらの検証に耐えうるタロット(数の意味でもシステマチックに構成されているタロット)は、極めて少ないでしょう。

その点、マルセイユタロットはすばらしく、完璧といえるほどの構造を持っています。

ところでよく、カバラーの「生命の木」が(「生命の木」はカバラーであると厳密に言えないかもですが)、10個のセフィラーと22のパス(小径)でできているから、タロットの大アルカナの22、小アルカナの10と関係していると単純に見ている人がいますが、無理矢理両者を結びつけるよりも、それぞれ切り離しながらも、22という数、10という数そのものを見て、その構造が古代のシンボルで使われる意味を考えたほうが有意義だと思えます。

それから、「私は生年月日から計算すると4を持っているから、4の皇帝の性格・人生なんだ」みたいな考え方・使い方は、タロットと数ではもっともレベルが低いもので、最初のうちこそ、そいうところから入るみたいなものはありますが、本格的にタロットを学びたい方、タロットの活用を高いレベルで望む方は、そのレベルから早く脱却することをお勧めします。

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