答えはあなた(自分)が知っている(のか?)

タロットリーディングや、その他、心理的・精神的・スピリチュアル的な相談の世界でも、よく言われているものに、「答えは自分が知っている」というものがあります。

相談を受ける側・アドバイスする側から言えば、「答えはあなたが知っているのですよ」という言い方になります。

では仮に、答えを自分(クライアント・相談する側)が知っているのなら、なぜ悩んだり、相談しに来たりしているのか?という素朴な疑問と言いますか、矛盾に行き当たります。(苦笑)

まあ、これに対しても、よくある回答(まるでQ&Aみたいですが・・・)で言うのなら、「答えは知っていても、それに気づくことができていない」ので、アドバイスする側は、その「答えに気づいてもらう導きをする」ということになります。

では今度は、なぜ、答えは知っていても、気づくことができていないのか?、そしてまた、相談を受ける側・アドバイスする側は、それに気づかせることができるのか?という質問も出てきます。

それには、主に、ふたつのことが考えられます。

そのひとつは、答えというものが、必ずしも、顕在意識、つまり自分が明らかに認識している(自覚し、わかっている)意識のところにあるとは限らないということ、

そして、もうひとつは、答えが複数(の可能性が)あることです。

前者は説明するまでもなく、真の答えの存在場所が、自分の表面や、今自覚している意識のところにはないので、いくら自分が探しても見つからないことになります。

ところが、そこにアプローチできる手法を持って他人が臨めば、一緒にそのありかまで探求することができ、その(答え)の発見が可能となるわけです。

この時、相談を受ける側は、いわば密林や洞窟にある宝の場所までガイドする役になりますが、ガイド自身が宝そのものを知っているわけではなく、今までのパターンなり、知識なり、技法なりで、宝のありかを探索したり、予測したりする技術に長けているということなのです。

そしてこの密林や洞窟、そこに埋もれている宝、つまり真の答えは、まさにクライアントの中にあるのですが、自分の中にあっても探索・発見する方法がわからないので困っているわけですね。

胃の中に何か詰まっているのは感じるけれども、医者に胃カメラなどで診てもらわないと確認できないみたいなものです。(笑) 

従って、誤解なきようにしたいのは、ガイド側が答えそのものを知っているわけではなく、それはあくまで推測や予想の範囲のものであり、ガイドさんが素敵なアドベンチャーのサポートはしてくれても、宝物自体まで用意してくれるわけではないということなのです。

仮に宝物が用意されていても、それはあくまでガイドが用意した仮のもので、あなた自身は、本当の意味では納得できないものです。

ここに依存の問題を指摘することができます。

次に、答えがあっても自分ではわからない理由のふたつ目、答えが複数あるということについてです。

人はすっきりしたいがために、数学的回答のように、ひとつの絶対的な答えがあると信じ、それを求めます。

どちらが正しいかとか、どれが正解かみたいな思い方で、それは現れます。

しかし、一人の人間にも、実は複数の人格(性格・パーソナリティ)があり、さらには低次・高次のような、人間的部分と霊的部分、天使性と悪魔性、動物的(エゴ的)部分と友愛・共助的部分など、様々な多層構造があると言えます。

そして、それぞれに答え、回答を用意しているのです。

マルセイユタロット的には、一人の人間の中に、22人の主要人格がいると例えることができ、さらにそれが4つの性質をメインにして、56という現実フィールドに分離されていきます。

こうした複数のあなた(クライアント)が、それぞれ自分の答えが正しいと争い、葛藤しているわけです。

言っておきますが、これはどれも正解なのです。(少なくとも間違いではない)

しかし、一応、多くの人格の代表格である日常のあなたは、ひとつの回答ですっきりし、「正しい」と思える答えにしたいのです。

実は、自分の中で、複数の人格と話し合い、協議していくことで折り合いをつけること(回答を選択すること)ができるのですが、重大な選択と思えば思うほど、そして経験則や従来の知識では対応できない混乱した事態が起きれば起きるほど、人格の分離が激しくなり、何人もの強い主張者が自分の中で言い争うことになります。

この状態では、普段の自分では、収拾をつけることが難しくなります。

よって、他人の力を借りることになるのです。

他人といえど、同じ人間、人類としての共通の人格や思考・感情パターンを持っているので(ユング的には「元型」となります)、一緒に対応していくことができるのです。そして他人だからこそ、文字通り、客観的になることができます。

結局のところ、他人目線を通じて、自分の中の複数の答えを整理し、今回、納得できる選択を、自分ができるようにするわけです。

すでに自分の中で話し合いをして、薄々出しかけていた(選択しかけていた)ことを、他人によっても確認し、後押しを得るという意味もあります。

ここまで書くと、タロットがなぜ心の整理に役立てることができるのか、そして他人リーディングで人をサポートできるのかが、わかると思います。

今までの説明では、つまるところ、答えはやはり自分(クライアント)が知っているということになります。

不思議な言い方をすれば、知っているけれど知らない、知らないけれど知っているということですね。(笑)

実は、これとは別に、他人が本当に答えを知っているということもあり得ます。

まず、当たり前ですが、他人のほうが実際に見聞したり、経験していたり、知識的・数学的答えを知っていたりしたら、自分ではなく、他人が答えを知っていることになります。

バカらしいほど当たり前ですが、こんなことすら、下手にスピリチュアルに傾倒してしまうと、わからなくなってしまうこともあるので注意です。単純に自分が知らないことはあり、それは知っている人に聞けば早いということです。(笑)

なるほど、自分の神性はすべてを知っているかもしれませんが、現実の人間のあなたは、知らないことが実際のフィールドではあるのです。

だからこそ、人は教え教えられ、助け合って生きています。

そしてまた、他人があなたの鏡になっていたり、反転した自分存在として、別の答えが用意されているということもあります。

この場合、言ってみれば、自分に答えはあるようでなく、むしろ、他人を介することで本当の答えが「創造される」という形になります。

そのようなことから見れば、自分が答えを知っているとは、完全には言い切れないものなのです。

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