「月」とセンス(感覚)

マルセイユタロット、大アルカナの中でも解釈が難しいとされるカードに「」があります。

リーディングにおいても、学んでいる皆さんに、読むのが難しいカードとよく指摘されるカードです。

「月」のカードの画像を見てもらってもわかるように、単に天体としての月だけではなく(月にも顔が画かれています)、二匹の犬の存在、その向こうにあるふたつの塔と土地、さらには大きな水たまりと、そこに浮かび上がるザリガニ・・・と、たくさんの要素が、しかもはっきりというより、おぼろげながらの雰囲気で描かれている感じで、余計わかりづらくなっています。

つかみどころや、中心(メインとなるはっきりとしたもの)がないという印象でしょう。

実は、そのわかりづらさこそが、私から見れば興味深いところで、「月」を読むコツのひとつと言いますか、「月」が表す象徴性の重要さだと考えています。

それはともかく、今日は「月」のカードにまつわる、ある示唆を書いてみます。テーマとしては、「センス」(感覚)になります。

「月」が表すことのひとつに、「センス」(感覚、感じ方とその受容)があると考えられます。

ところで人間のセンス・感覚器官としては、五感があります。

当然、この「月」のカードも、人間に関係して見た場合、人間の五感も象徴していると想定できます。(カード全体と、ある部分に明確にその示唆があります)

しかし、人間には俗に第六感と表現される、五感を超えたセンスがあるとも言われています。

おそらく、「月」にもそのことは、象徴されていると見ていいでしょう。

通常の人間のセンスは五感なので、ほとんどの人は五感を頼りに物事や他人のことを受け取っている(判断している)と言えます。

また五感でも、人によってその感じ方や程度(鋭さ・鈍さ・得意部分など)の差があり、これは人のタイプや相性にも関係していると考えられます。

五感のうち、自分のセンスがもっとも敏感で響くものが他人と合えば、その人と仲良くなったり、近づきたいと思ったりしますし、その反対に、自分とは違う得意センスを持っている人に惹かれることもあるでしょう。

センスによる響き合い・共鳴と言ってもいいでしょうし、補い合い(相補・互助)ということも言えそうです。

そして、五感以外のセンス・感覚でもそれはあると考えられます。

まずは通常の五感を超えた関係・響き合いというものがあり、そして次には、五感を超えるものの共鳴で、その(お互いの)世界は、まさにセンス・オブ・ワンダーとなるイメージです。(言ってみれば、五感の心地よさや満足感を超える世界)

このように、センス(感覚)をテーマにすると、「月」のカードの読み方に、五感やそれを超越したセンス同士の響き合いを考慮したものが浮上してきます。

面白いことに、「」のカードは数では「18」ですが、マルセイユタロットでは、バランスの天秤を持つカードに「」の「正義」があり、このことから「月」にも、言わば、“センスのバランス”が働いているのではと考察することができます。

占い的に言えば、「月」のカードが現れる時、相手との感覚・センスの相性、バランスを見よという感じになるでしょうか。

また占い技法で、「月」のカードが、よいことを示す位置に出た場合はセンスの共有性・同質性・相補性が考えられ、悪いことを示す位置に出た場合は、センスの相性悪し、アンバランスと解釈できます。

これは思考や理屈ではなく、センス・感覚なので、例えば触覚だったら、触ってみないことにわかりませんし、味覚だったら、味わってみないとわからないことになります。

ただ、第六感的なものは、直感として、すでにビビッとくるものがあり、もし「神の家」とセットで出るとなると、かなりの電流を感じる間柄となるかもしれません。(今回ははわざと、カードを占い的に読む方法を書いています)

カードは象徴ですから、その示唆することが注意や警告として見る場合もあります。

もし、「月」をセンス・感覚を中心にして読むとなれば、逆に、センスに頼ること、あやふやな感覚で判断することを警告していると解釈することもあります。(カードの出方や展開によりますが)

また、今のセンス・感覚での受容と判断を超えたものを要求されている場合もあります。

相性が悪くても、相手との刺激、言わば化学反応のような形で、自分のセンスが磨かれることもあるのです。このあたりは「月」の二匹の犬の象徴とも関係してくるでしょう。

「月」は試練的な意味を、特に感情や心の面において持つことがありますが、センスや感覚の錬磨、向上、変容によって、自分を変えること、変わること(または相手のと関係を変えること)を示唆しているケースもあるでしょう。

単に五感だけでも、見る・聞く・味わう・嗅ぐ・触るのどれかにヒントがあるとも言えます。

シンプルに、「感じる」「感じろ」と「月」が訴えていると読むことも、意外に重要なメッセージのことがあります。

そもそもタロットは、センスとしては視覚が中心にはなりますが、その他の感覚と、それを超えたものを思い出す、復活させるためのツールであると言えます。

しかし、「月」の象徴は、このセンス・感覚で得られた(そのデータで脳が創り上げた)自分の思う世界・現実はどうなのか?という疑問を呈しているとも言え、そうして考えていくと、やはりこの「月」カードの深さに気づいていくことになるのです。

あなたの感覚はいつも正しいものなのか、また感覚は常にまともに働き、敏感で公平と言えるのか、誰かや何かに影響されたり、変わったりすることはないのか、もし感覚が変われば、今までのあなたの感じていた世界はどうなるのかなど、一度考えてみると面白いでしょう。

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