小アルカナ 玉(コイン)と肉体
マルセイユタロットの小アルカナと呼ばれるパートは、4組という4つのエレメントを象徴化させた構造が中心となっています。
これに対して、大アルカナというパートもあり、タロットにおける大と小のアルカナの違いは、色々な考え方・見方がありますが、概ね、本質と具体、精神・魂と現実面での象徴の違いという分け方がされています。
大アルカナと小アルカナはともにタロットのシステムとして必要であり、両方あって象徴の完全性がなされます。
このことについて、さらに詳しく書いてみたいところもありますが、それはまたの機会としまして、今回は小アルカナの中でも、さらに現実面を象徴すると考えられる「玉(コイン)」のパートについて述べたいと思います。
先述したように、マルセイユタロットと言いますか、だいたいのタロットの小アルカナは、「4組」という構成になっており、それは剣・杯・杖・玉、一般的な英語の言い方では、「ソード・カップ・ワンド・コイン(もしくはペンタクル)」と呼ばれています。
4組にも階層・次元の異なり(いわば波動や周波数の違い)があると考えられ、中でも、玉(コイン)は、もっとも低く、かつ安定したものを象徴しています。
ただし、小アルカナ(もしくはタロット)での高い低いの次元は、いい・悪いとは別です。
「玉」は端的に言えば、物質性や形となる基本・土台を表し、多くはコインの象徴そのままのお金や経済を意味しますが、私たちを構成する基礎そのものとして見ると、まさに「肉体」を表すと言ってもよいでしょう。
スピリチュアルなことや精神世界に関心のある人は、その名の通り、心や精神にどちらかといえば、傾きがちです。
そしてセッションや相談においても、問題の原因は心や精神性(思考と感情)にあると考えたり、解決の糸口を見出したりします。
これはタロットの大アルカナ・小アルカナでいえば、大アルカナ中心の見方ですが、あえて小アルカナの範囲だけで考えれば、剣(ソード)・杯(カップ)を中心にした見方(とアプローチ)とも言えます。
確かに、心が変われば現実(行動とその結果と環境)も変わることが多いものですが、反対方向の見方も普通に成立すると思えます。
それ(反対方向)は小アルカナで言えば、「玉」からの方向となります。
言い方を換えれば、具体からのアプローチであり、お金や形、肉体や土台から原因と解決を求めるということになります。
ここで肉体をクローブアップしてみます。
私たちの問題は、案外、体と、その体に取り入れるものに起因していることがあるものです。
最近は、腸内環境や微生物の働きが、思考や感情にまで影響を及ぼしているという説や研究が、結構発表されています。
自分が考えるから、思うから、問題や結果が出ているのではなく、肉体とそこに存在するもの(微生物)たちが、私たちの思いや考えを規定し、大げさにいえば自分の世界を創造しているのだ考えることもできるわけです。
また私たち、人の肉体は、特殊な幾何学構造(数値と比率)でできており、それは古代の神殿や崇高な場所に施されてきた構造原理と同じであるという説もあります。
それが心の構造とも関係しているのですが、肉体もそうだということです。
簡単に言えば、私たちの体そのものが聖なる神殿なのです。
ところが、その神殿が、本来あるべき姿から離れ、破壊されたり(自分で破壊している)、アンバランスになったりして、聖なる波動とかけはなれた器(うつわ)になっていると考えられます。
それは自分が摂取している食べものや、周囲の影響からということもあるでしょう。
どこかに体をぶつけたり、傷を負ったり、また心理的なトラウマなどで、体が知らず知らず変形してしまっていることもあるかもしれません。
結局、肉体というベースに問題があるため、いくら知識を入れたり、思考や心の想い方を変えようとしたりしても、体・器としてのものが悪くなっているので、それに応じたものしか思考できないことになるのです。
変わろうと思っても変われない、同じ問題がずっと続いている、原因不明で、何かしらずっと体調不良があるというのも、肉体そのものと、摂取している食べもの、バランスに問題があるのかもしれません。
微生物や腸内環境にあっても、本来調和すべき割合とは異なる比率で、何かが過剰になったり、不足になったりしているおそれもあります。
もちろん、思考や環境によって影響することもあるかもしれませんが、逆に考えれば、肉体のほうが問題だから、そういう思考・状態に、どうしてもなってしまうという発想もありえるでしょう。
私も整体に通っていますが、その先生から、肉体が全体を調整しようとしたり、その時の状態を記憶したりする仕組みついて、聞いたことがあります。
肉体は、問題(怪我とか打ち身とか)が発生しても、その機能の範囲内で恒常性(ホメオスタシス)を保とうと、結局、歪な状態での肉体に変化してしまいます。
それが体癖となり、そのせいで、かえって命を削ったり、問題を引き起こして症状としても出たりすることがあるようです。
言わば、うつ病で例えると、うつにはうつになる体があるということです。(うつになってしまう体へ変化する)
それは心が原因かもしれませんが、実は、ずっと我慢していたことで、うつ状態を発生させるような肉体の形に変化してしまい、それが固定されることで、余計、うつからの回復も難しくなってしまうわけです。
そして、その原因は、仕事とか人間関係などでの要因以前に、もともと、うつ病の体になりやすい微生物バランスや体内の目に見えないエネルギー状態にもあった可能性があるのです。
うつの人が、自然の中の大地に接したり、海に入ったりすることでよくなることがあるのも、そうしたものが(自然のイオンバランス等によって)整えられるからという理由が考えられます。
鶏が先か卵か先かの話みたいですが、いずれにしても、肉体と精神(心)は密接にからんでいるのは確かです。
小アルカナでは、原因だけではなく、「現実」へのアプローチ、働きかけの方向性として、具体分野が出ます。
小アルカナを使い、「玉」ということがメインとしてリーディングできたのなら、肉体ベースから原因と改善方法を探ることもできます。
細かく言えば、玉の数カード10枚、宮廷カードの玉の4枚で、具体的な肉体とのつながりもわかるかもしれません。
たとえ精神的なことでも、瞑想をするより、実際に体を動かしたり、整えたり、食事内容と方法を変えたりしたほうが、効果が出る場合もあるのです。
精神的な相談をされる方は、自身も含めて、肉体ベースをないがしろにしない、別の意味でのグラウンディング(地上・肉体との調整)が必要なことも覚えておくとよいでしょう。(考えすぎる傾向のクライアントにも言えることです)
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