占い師の人でタロットを習いたい人に。

タロットと言えば、占い(のツール)だと一般には思われているうえに、占い界でもタロットはよく使われる道具と技術なので、占い師になる方は、ある意味、必須の習得技術・ツールのようになっています。

占いには、命(めい)・卜(ぼく)・相(そう)という有名な種類分け(区分)があり、占い師は、この3つを習得すべしと言われています。

相占はちょっと特殊なので(と言っても、相占のひとつ、手相をやる人は多いうえに人気ですが)、ポピュラーなのは、命占と卜占のふたつを(習得し)組み合わて行う占いです。

例えば、東洋系では四柱推命と易、西洋系では西洋占星術とタロットです。そう、タロットは卜占に当てられています。

タロットは易とは違って、絵のついたカードを使うので(イーチンタロットという易的なタロットがあったり、易の卦をタロット化した使い方をする人もいたりしますが)、なじみやすく、人気で、相手に伝えやすいとも思われていることもあって、易は知っていても、タロットをまた習う人も少なくないようです。

しかし、占いの世界では、お客様や相談者から求められるのは、当たるということ、または、よいほうの選択など、具体的な答えということもあって、意外に象徴的に考えるより、具体的・記号的な物事の思考(決めつけ)をする人がいらっしゃるわけです。

タロットで言えば、正しい答えを欲する傾向にあり、「この展開では、また、このタロットカードが出れば、どう読めば正解なのか?」ということを求める人になります。

このような、ひとつのことにひとつの答え、カードの読み方に正答があるという思考は「記号的」なものであり、タロットが象徴でできていること、象徴の体系・システムにあることが理解できていないことを意味します。

もちろん答えがないわけではないのですが、その答えは象徴的なものなので、いくつもの次元や層の異なった答えがあり、その選択と導きを考えないといけないものなのです。

そもそも、ほかの占い技術(理論)も象徴が基本のはずですから、根本的には同じだと考えられるのですが、先述したように、実際の占い現場では現実的な正答的回答(アテモノ的ともいえるもの)を求められることが多いので、そう(記号的な思考に)なってしまうのです。

それが一概には悪いとは言えませんが、結局、そうした当たる当たらないの世界の価値観でしか物事をとらえることができなくなり、現在生じている問題を、今より高いレベルや深い観点で見極める(理解する、悟る)ことができにくくなります。

言い換えれば、より大きな成長性・自由性・解放性を阻害すると言ってもいいかもしれません。

しかし占い界(現場)での現実問題、実際のところというのも、私も現場にいたことがあるのでわからなくもないです。

そこで私から提案したいことがあります。

タロット一本、タロットをメインとした占いをする方は別として、タロット以外の、特に命占を中心に学び、実践されてきた占い師さんは、タロットを本格的に勉強(タロット占いを)しなくても、タロットを活用する方法があるということです。

私はタロットが専門なので、その私が言いますが、タロットもほかの占い技術・ツールと同様、簡単なように見えても、使える(きちんと占えるよう)になるには、それ相応の学習と実践の時間、蓄積がいります。

しかし占い師さんの中には、タロットをバカにしている人、あるいはそこまでではなくても、タロットは理論的ではない(学ばなくても)感覚的に読む(読める)ものと思っている(から簡単で平易なものと誤解している)人もいます。

そいういう人は、タロットをわざわざ学ばなくても、今の自分の占い理論・技術でやっていけばよいのですが、どうも、占い師の雇い主さんとか、お客さんの人気や好みなどで、やむを得ず、タロットを習いたいという占い師さんもいるわけです。

ですから、そういう人に特にうってつけの方法なのです。

まず、命占を中心にした自分の確固たる理論的(実践してきた)占いをベースにします。お客様に提供する占いの基本がそれだということです。

それでひととおり、運気の流れとか、チャンス、注意事項など、これまで通り、お客様の質問に応じて回答していきます。

ただ、命占の場合、流れはわかっても、今、この時の状況そのものとか、恋愛などで相手の気持ちはどうか?というようなもの、短期的な選択事項、さらにはお客様の心の中の模様(気持ちや関心、本音と建前など)がわかりづらいかと思います。

また卜占の易であっても、確かに明確に正しい選択とも言える方向性を示してくれるでしょうが、「あるルール」に正確過ぎて、人間的な感情の揺れ動きや気持ちの所在などがわかりにくいところがあります。

つまり、運勢的に正しくはあっても、人間的な感情・気持ちについては、無視されるようなところもあるのです。

いや、結果が正しければいいではないかと思うかもしれませんが、人間は機械ではなく、気持ちがあります。思考(論理)と感情(気持ち)の両方が腑に落ちて、本当の意味で納得するのです。頭だけでも、心だけでも、どこかしっくり来ないものです。

タロットは人間などが描かれた絵柄であるので、そういった「人の気持ち」「心模様」を投影させることができます。簡単に言えば、映像として確認することができるのです。

マルセイユタロットは占い向きではないのですが、反対に、占い向きの部分もあり、それは人物がはっきり描かれていて、その視線も鋭いことです。ということは、人間の関心の方向性を視線などで読み解くことができるわけです。

ちょっと説明が長くなりましたが、要する、相談者や、質問に関係する人物の気持ちや現況を、絵として確認するために使えばよいということです。

タロットを詳しく読もうというのではなく、また詳しくタロット占いをしてあげようというのでもなく、単純に、今の気持ちはどうかとか、今の悩みの状況を占い師とお客様とで、絵として確認するためのツールとして使用するというものです。

占いの確かな部分とか質問に対する回答やアドバイスは、自分の今までやってきた占いの技術と方法でやればよいのです。

ただ、お客様の心を安心させたり、気持ちの有り様を絵で確認してもらったりすることに、タロットを使うということです。

まあ、そういう使い方だけであっても、一応の基本の見方を学ぶ必要はありますが、それでも本格的なリーディングとか、タロット占いをするわけではありませんから、一日、二日あれば、その程度のものならばできるでしょう。

もしご希望があれば、(タロットを知らない)占い師のための、簡単なタロットの使い方講座(本格的なタロットリーディングやタロット占いを教えるのではなく、タロットを今の自分の占いとどう組み合わせて使えばいいかということを中心に解説・実践するもの)をやってもいいかなと思います。

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