タロットとの問答・会話
タロットを自分で使うコツは、タロットと問答することです。
少し前、「独りよがりが問題」であるという内容の記事を書きました。
結局、自分中心(といっても、本当の自分ではない自分)にいる時、人は悩み、迷い、苦しみます。
簡単な理屈でというと、本当の自分ではないから、二人の自分で対立することになり、すつきりしないのは当然なのです。
しかし、なかなか、自分一人だけで、この見せかけの自分に陥っている自らの状態から脱することが難しいのですね。
深い話で言うと、タロットの大アルカナ、上のほうの数(数の多いほう)のものを見ていると、私たち人間は、常に幻想空間の中にいて、それを現実だと思い込んでいる節があるのですね。
それはそのように設計・計画されているのかもしれませんが、とにかく、元の世界が本当のものかどうかは別にしても、自分たちで本来あるべきものとは別の空間を作ってしまって、その中で暮らしているようなものだと考えられるわけです。
そして、その際たるものが、自分(と信じ込んでいる自分)だけで物事を見てしまう、判断してしまうという誤謬です。
「いやいや、私はほかの人の目を意識してますよ、自分だけで勝手に思っているわけではありません」と言う人もいるかもしれません。
実はそれこそが、自分だけの世界にいる状態なのです。
この場合の他人の視点というのは、自分がイメージしたり、自分が目で見たり、心で想像したりの他人です。その他人も、本当の意味での他人(その人本人)とは言えず、本当の他人を見ていないと言えます。(ただし、他人のアドバイスを素直に聞く時は、本当の他人が現れて、共同的・統合的問題解決に向かうことがあります)
と、これ以上、考察していくと、ますますわけがわからなくなってしまう人も出ると思いますので、元に戻りまして、要は、私たちは、自分の妄想みたいなものにはまる(はまりがちな)構造の中に生きているとだけ言っておきましょう。
タロットには、時空を超越するため・・・と言えばちょっと大げさになり過ぎるので、別の言い方にすると、常識的感覚から解放し、本当の自分に戻るヒントを与えるための視点として、大アルカナのカードが提供されています。(小アルカナはまた別の機能と働きがあります)
中でも、マルセイユタロットは、人々の意識の元型をわかりやすい図像で象徴させていますので、特定の信念や思想、欲求に偏り過ぎない画像になっています。
自分が嘘の自分に陥り、悩んでいる時、大アルカナ22枚と問答していくとよいです。
この問答の方法には、人によってやりすいやり方と、逆に間違うと、まったく問答ができなくなってしまうタイプの方法があります。それは、個性によるからです。
平均的に皆さんがやりやすいのは、カードを人間のように扱う方法です。
カードそれぞれを人間のように見立て、それと会話していくというものです。(全部でなくても、数枚シャッフルして選んでやるとよいです)
中には、まつたくしゃべってくれないカードもあれば、結構いろいろと話してくれるカードもあります。
妄想ではありますが、そもそも先述したように、今の自分こそが妄想世界に入っているようなものなので、逆に、妄想モードみたいになることで、脱出の手がかりをつかむことも可能なのです。
例えれば、夢の中で、現実へのヒントを知ったというような感じです。
こういう、いわばメルヘンチック(笑)ともいえる方法が向いて人もいますが、もっと知的に進めたいという思考中心タイプの人は、タロットの象徴を学ぶことで、タロットを人間化せずとも、それぞれの観点、思考方法として見て、自分と問答することができます。(このほうが好きという人もいます)
さらに、感情中心タイプ(気持ちが納得して理解)の人は、タロットに感情を与えることで、自分の感情を精査したり、過不足に気づかせることもできます。
人の理解、言ってしまえば「本当にわかった!」という感覚に至るには、私が思うに、頭(思考)の理解と心(感情)の理解がともにあって成立すると考えています。(当然これにも、どちらか寄りのような、個性・自分の傾向があります)
ですから、タロットと問答するのにも、タロットをどのようなものにするかによって、問答しやすくなったり、まったくわけがわからなくなったりすることがあります。
さて、独りよがり、自分の世界に入り込んでしまっているための悩みや苦しみは、客観視点があればいいわけですから、自分とタロットとの問答に、さらにタロットが読めるタロットリーダーがいれば、三者(三角)構造によって、新しい創造やアイデアも生み出される可能性があります。
何より、仮の自分枠から脱却しやすくなり、本来の自分を取り戻しやすくもなります。
タロットを学ぶということは、いろいろと目的や結果はあるのですが、ここでいう意味では、一人よがりに陥りやすい考え方から、ニュートラルや本来の自分の戻るための技法を得るということになりますし、その手助けをする援助方法を学ぶということにもなります。
本来の自分に純粋に戻れば戻るほど、高次の自分(完全性の広域的自分)との接触が可能になり、悩みごとの解決方法や視点、現実との調整のヒントも生まれるようになります。
私もこのところの変容中で、改めてタロットの力のすばらしさを実感しているところです。
では、これを読んでいるあなたに、一枚のカードを引きましょう。
私たちマルセイユタロットを扱う者には「手品師」、一般には魔術師とか奇術師と呼ぶ、「1」という最初の数を持つカードが出ました。
皆さん、それぞれで、この手品師さんと会話してみましょう。
彼は何を語って来ていますか? それとも無視して、別の人と会話したり、手品に夢中になっていたりするかもしれませんね。
それでもいいのです。彼のやっている手品をあなたは見ていると想像しても構いません。なにせ、彼は大道芸人ですから。彼の芸に感動して、あなたはお金を支払いたくなるかもしれませんし、誰に習ったの?、私にも教えて!と思わず口走るかもです。逆に、下手だなあ・・・ネタバレてるいよ、とあきれるかもしれません。
テーブルの上には手品道具(のような)ものがたくさん並んでいますよね。気になる道具を彼に尋ねてみてもよいですよ。その道具も、もしかしたら、あなたと何か関係している可能性もあります。
彼はなぜ両足を広げているのでしょうか? それも彼に聞いてみてもいいでしょう。帽子も大きくて妙ですよね。なんでなんでしょう?
それから知識的なことを少し付け加えると、この大道芸人は、彼の仕事でもあるので、彼との会話は、あなたの仕事について、何かテーマとなるのかもしれません。
それは働き方なのか、好きな仕事のことなのか、お金や安定のための仕事なのか、とにかく何かを始めることなのか、問答していると、彼から何かヒントが与えられるのではないでしょうか。
このように一人でも問答はできますが、タロットリーダーがいれば、タロットとの問答を、もっとうまく相談者とともに進めていくことができます。(つまりタロットリーダーは調整役、進行役にもなります) そして、クライアント・相談者の悩みの本質を解き明かしていきます。
カードはたった一枚でも可能ですが、複数枚あると、さらに情報は深いところまで届くことがあります。
タロットやカードが好きな人は、カードからも愛されますので、普通の人より、会話もはずむことでしょう。やっぱり自分が一番好きなカードがよいでしょうね。
コメントを残す