自分の願望のカードが出ると思っている人に。

タロットリーディングやタロット占いを行う場合、相談者(クライアント)側がカードを選ぶにしろ、タロットリーダー側がタロットを引くにしろ、どちらにしても、タロットをシャッフルして(くって)、偶然にカードを出します。

それを相談者(クライアント)の問題や課題、話す内容に照らし合わせて、象徴的に解釈を行って、相談者に気づきを与えるのが「タロットリーディング」であり、よい未来や選択の判断、運勢や具体的なことを当てていく、見ていくのが「タロット占い」だと言えます。

この時、タロットリーダーではなく、クライアントがカードを引く場合、こういう疑問を投げかける方もいます。

引いたタロットカードは、クライアント(自分)の希望するカードが出ているのではないかと。

実際に、何人かの人は、自分の思うカードが出ることが結構あると聞くことがあります。これは裏を返せば、その人にとっては、自分の希望したカードが出るに等しい感覚になると言ってもいいでしょう。

では、希望するカードを出すという芸当は、もしかすると、訓練すればできるのではないかと考える人もいるかもしれません。

私は生徒さんの勉強会やイベントで、カード当てゲームをすることがあります。

この目的は、いつと違った感覚でカードと親しんでもらうことや、直感力をあげることなどがありますが、一回くらいのゲームでは、なかなか皆さん、どのカードが出るのかを当てるのは難しいのが実状です。

それでも、その日、直感がさえている人は、結構当てる人もいたり、ちょっとしたきっかけで、それまでまった当てられなかった人が、当てられるようになったりするケースもあります。

サイコロも、強く念じれば希望する目を平均値以上に出すことが可能と言われています。(まあ、結局、たくさんの回数ふっていくと、平均値に収まると言われますが)

「一念岩をも通す」ということわざがある通り、何らかの強い思念は、実態・現象に影響を及ぼすこともあるかもしれませんし、スピリチュアルな世界では、強いイメージや想念が現実を引き寄せるという考えもあります。

もし、全部ではなくても、ある程度、自分の希望するカードが思いだけで出せてしまうのであれば、偶然出たタロットカードをもとにするタロットリーディングや占いは、そもそも成立しないのではないかと考えられる部分もあります。

ここで、占いとリーディングの違いを、再度見ることにより、この問題は、「占い」では問題になるけれども、「リーディング」においては、必ずしも問題とはならないことを説明したいと思います。

最初のほうに、タロット占いとタロットリーディングの違いを述べました。それをもう一度、上の文章に戻って読み直してください。

「タロット占い」では、出たカードは、未来予測や選択、現状の良し悪しの判断の根拠になる重要なものになります。もしこれが、クライアントの強い念で、その人の希望するカードを出していたということになりますと、それは占い(占うため)のカードではなくて、その人の希望がただ出ただけに過ぎないものとなります。

占い師が「あなたの未来はこうなると、カードに出ています」と答えても、クライアントの願望を言ったのと、実体は変わらなくなります。

もし、クライアントが自分の希望するカードをイメージしていても、あくまで偶然出たのだという認識であれば、まだ「占い」としての余地はあるかもしれませんが、クライアント自身がすでに予見していたかのごとく、「ああ、やっぱり私の希望したカードが出た」ということであれば、これは、占いをしていると言えるかどうかは難しいと思います。

翻って、「タロットリーディング」の場合はどうでしょうか。

タロットリーディングも、やり方自体は、タロット占いとあまり変わりありませんし、偶然出たカードというものが根拠になるのも同じです。

しかし、カードに対する解釈や扱いが占いとは異なります。

出たカードはあくまで、クライアント当人にとっての「象徴」であり、極端なことを言えば、質問の具体性を超越し、クライアント自身の今の状態を全体(でありながら個別も)象徴していると考えます。

ですから、仮に、クライアントが強い念をもって、自分の希望するカードを出したとしても、その一連のことが、すでに象徴であり、すなわち、このクライアントにとって、その希望するカードそのものが、非常に重要な象徴的意味合い(具体性や現実で起こることを意味するようなものではないこと)をなしていると言えるのです。

要は、希望する・しないに関わらず、出したカードを象徴として検討することに意味があると見るのです。

自分(クライアント)が強く希望しているカードであり、それが当人も自覚しているのならば、そのカードはかえって、本人を見る(自分を見つめる)上で、強烈な意味を持つことになります。

言ってみれば、わざわざシャッフルしなくても、もともとそのカードを強く意識しているのなら、タロットリーディングの場合において、偶然出す必要もないくらいです。

例えば「戦車」を出したいと思っていて、それが出せるくらいの人ならば、もう最初から「戦車」を出しておいて、「戦車」というカードから、クライアント自身を見つめ直す、問い直すということをしてみればよいのです。

ですから、クライアントの希望するカードがたとえ出たとしても、リーディング(タロットを使った対人援助)という観点や方法では、必ず問題になるというわけではないのです。

さらに、それでも、タロット占いやタロットリーディングにおいての偶然性を出したい場合は、タロット占い師、タロットリーダー側が、なるべくフラットな気持ち・状態を保って、カードをくったり、シャッフルしたりしてカードを引くことで、相手の念が入らないカードを出すことが可能になります。

それでも、能力者ばりに(笑)、タロットリーダーがシャッフルしているカードを念操作して、タロットリーダーに自分の希望するカードを出させるほどの人は、もう占いやリーディングするより、自分で思い描くイメージ、想念でもって、願望実現したり、人生をいい方向にコントールしたりできるはずですから、それをトレーニングしたほうがいいでしょう。

それほどまでではないにしても、自分がタロットを引くと、いつも思っているカードが出てしまって、偶然性の中の必然性のシンクロニシティやインパクトが感じられないという人は、タロットをイメージやビジョンのトレーニングツールとして活用することをお勧めします。

自分が成し遂げたいことを、タロットに投影して、そのカードを出せる自分と、現実に成し遂げたいことが現実化できるという確信とを、リンクさせていくわけです。

カートをシャッフルして引くのではなく、最初から願望実現や目標のための、設定装置・イメージやビジョンの強化装置として使うという感じですね。

このようなタイプの人は、サイキックな力も強いので、いろいろとサイキック的な力の影響とコントロールも、人によっては難しいこともあるかもしれませんので、サイキックにおける師匠のような人を持つとよいかもしれません。

タロットにおいても、魔術(西洋魔法)的な分野が合っている可能性もあります。(しかし、よい指導者や組織と出会えるかはあなたの縁次第でしょうし、能力や力を欲しての、安易にサイキックや魔法の世界に入るのは危険です。またそういう目的では、学ぶことは認めてくれないでしょう。黒魔術の世界は別とししても)

ちょっと横道にそれましたが、自分の願望でタロットが出てしまうと思うような人は、まずはタロットリーダーや、占い師側にカードを引いてもらうことで、少しは和らぐ思いますので、そうしてみるとよいでしょう。

あとは、早く、占いレベルのタロット扱いを脱却することですね。

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