タロット展開での未来
以前は、タロットリーディングにおける過去の重要性(過去を読むことの大切さ)を何度か強調してきました。
それは、タロットの使い方において、占いではなく、主として心理部分や、自分の思っているストーリー(思い込みや信念)にフォーカスして、リーディングする技法を用いるからです。
そうすることで、現実(具体、事象、実際のこと)と心(自覚している意識と、無自覚な意識の部分)を調整、調和させ、結果的(段階)に霊的(統合的)な成長や発展につなけていくという仕組みがあります。
しかし、私たちの時系列は、過去・現在・未来と、三つの枠でとらえるものです。
本当は、現在、この時の瞬間〃しかないと言われるように、現在がもっともポイントとなるのかもしれませんし、未来という時系列の方向性があり、未来をタロットでリーディングすることの意味も考える必要があるでしょう。
果たして、時系列的に見て、タロット展開での未来パートは、何を示し、どう解釈すればよいのでしょうか?
あくまで「タロット占い」として見れば、それは、今後起こる事象的可能性であると考えますよね。平たくいえば、これから起こること、このまま時間が進めば、どうなるかを示している内容です。
では、占いとしてではなく、そのほかに未来のパートについて、考えられことはあるのでしょうか?
これも、過去の時と同じように、心理的に見ていけば、新たな視点が出てきます。
すなわち、未来に対する(クライアントの)心理、心の内が出ていると見ることができます。
それは、ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあるでしょう。
それをどう判断するのかは、実際の相談場面におけるクライアントの反応、過去や現在のカード内容などからわかることもあれば、タロットの展開方法(規則)に従ったカードの出方によってわかることもあるでしょう。
後者(カード展開規則によるもの)は、例えば、カードの正逆によって、問題かそうでないかを判断するみたいなことです。
いずれにしても、未来に対するイメージを見て、あまりにネガティブに想像していたり、逆に、現在や過去に問題が残っているのに、放置した状態で、ひたすら無理矢理ポジティブにしようとしたりしている状態をバランス調整して、未来を真っ当なイメージに変えていく作業があるのです。
すなわち、これは未来の想像でありつつ、創造に関わるわけです。
ほかにも、考え方によっては、未来のカードが理想や、なりたい状態を示していると見たり、タロットが示唆する未来の対処法や解決策として見たりすることもあります。
さらには、これからの選択肢として、未来のカード(複数出た場合)を想定することもあります。
すると、未来に起こることを予想する「占い」に近いものになるように思われるでしょうが、確かに、タロットリーディングにおいても、そういう未来事象の予測としての部分がまったくないわけではありません。
しかし、違いは、時系列をきっちり分けて読むのではなく、心理的、あるいは無自覚的な意識の層では、時系列の流れは一方向ではなく、同時に存在していたり、逆方向の流れも考えることができる(読む)ということです。
言い方を換えれば、私たちは、心の中では、過去へも未来にも飛べることができ、いつでも三つの時系列の塊が同居しているようなものと言え、その関連性をもってリーディングするのです。
ですから、すべての時系列は(一方向的だけではなく)関係しており、未来を読むことは、現在や過去にも当然つながっていくわけで、その逆もまたあるのです。
パラレルワールド(平行世界観)的に考えれば、未来のカードが示すものは、カードの数、またはカードの象徴性の数だけ存在する可能性として見ることもでき、どの世界のスートリーを選択したいかは、自分・クライアント次第とも言えます。
それでも、タロットが見せる、あなたに提案する、タロット的に言えばよいストーリー(世界)があると考えます。
ほかの言い方をすれば、タロットを象徴として、自分の中にある「いろいろな平行世界」を、タロットとタロットリーダーの協力のもとに、自分が総合的に見て選択するというようなものです。
さらに難しいことを言うと、タロット的によいストーリーというのも、ひとつとは限らず、どのレベルや次元に重きを置くかによって、答えも変わってくるのです。(マルセイユタロットの、ある伝統の場合、どのレベルが今重要かということは、タロットそのものの出方と、細かな象徴の確認によって判明することがあります)
とにかく、少なくとも、「未来は現象・実際としてこうなります」と決めてしまう読みにこだわるのは偏狭だと思います。
そういう読みは、むしろ、人によっては制限や縛りをかけたり、不安や恐れを助長させる結果となってしまい、ある意味、選択可能であった人の運命のレールを、ひとつに決めてしまうことにもなりかねません。
それでも、ネガティブな思い込みや予想に偏りがちな人の思念を切り替えるため、あえて、よいと思われる(そのように出た未来のカードを占い的に読んで)未来予想を告げることで、ネガティブな部分を浄化(変化)させていくこともできる場合があります。
喜び、嬉しさ、ワクワク、ハッピー感は、一瞬で、場や自分(クライアント)の気分・思いを変化させることもあるからです。
ただ、ぬか喜びをさせたり、本当(本質)の問題が未処理のままだったりすると、その喜びもすぐ消えて、また問題意識や不安・恐れが出てきますし、現実に起こることも、自分で創造していくところがありますから、元の木阿弥になることが考えられます。
その面では、占いの未来予測も慎重にしないといけないこともあるかもしれません。
けれども、しっかりした占い師さんの場合は、カウンセラーとしての能力もありますので、怖い未来や、万歳・棚ぼた未来をただ見せるだけには終わらないのが普通でしょう。自分の心理や行動の影響も、ちゃんと言ってくれるはずです。そのうえで運勢的な示唆も与えてくれるものです。
タロット展開の未来パートも、なかなか奥深く、面白いものです。
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