コンビネーションでカードを読む

私は本来、教えることが好きな性格です。

そして人間、だいたいは、その逆にも関心があり、つまり、私は教えられること、学ぶのも好きです。

今何かを学んでいても、いつかは人にそれを教えていく、伝えていくという立場になる人もいます。全員と言いませんが、学ぶのが好きな人は、いつか自分が逆の立場になって、学ばせて行くほうに変わって、生きがいを持つ方もいるでしょう。

結局、学びとは、受け入れだけではなく、外に実践したり、表現したりしていくことでもあるのです。

さて、今日はそんな教え好きな私のおせっかい(苦笑)で、独学でタロット、特にマルセイユタロットを学んでいる方に、カードをコンビネーション(複合)させてリーディングするやり方の一例をお伝えしたいと思います。

コンビネーションと言えば、一枚だけでは無論ダメですので、最低二枚から始めます。それが基礎と言ってもよいでしょう。

では、わかりやすく、ここに「運命の輪」と「戦車」を置きます。

タロットは、絵そのものから意味を推測することが普通ですが、それでも、おおよその意味を覚えてしまったあとでは、どうしても、知識としての意味をあてはめようとしてしまう傾向があります。

それはそれで悪くはないのてすが、意味(言葉)を探そうとするよりも、図像の運動性や方向性、エネルギーに注目して読むと、タロットが伝えようしていることがわかりやすくなります。

上記、「運命の輪」と「戦車」を見てみましょう。

「運命の輪」はその名の通り、回転する輪が図像の中心にあります。一方、「戦車」も、車輪のついた(車輪自体はちぐはぐな感じですが)のようなものがあり、その中には勇ましい感じで将軍的人物が描かれています。

ここから見て、ともに何か動いている雰囲気が伝わってくるでしょう。

これが、例えば、「運命の輪」一枚だけだったら、そして、「運命の輪」の意味を言葉として出そうとこだわり過ぎてしまったら、「運命が回っている・・・どんな意味だろう? 確か時間とかタイミングという意味もあったな、ということはタイミングを計れということか、いやいやタイミングと言っても、チャンスを今つかまなければならないタイミングなのか、もう少し待ったほうがいいというタイミングなのか・・・うーむ、これって、今動くのがよいのか?待ったほうがいいのか? どっちなんだ・・・」などと、頭の中でいろいろと逡巡させてしまうわけです。

コンビネーション、二枚以上引いて読むことの利点は、こうした一枚だけでは、どちらともつかないような、判断に困ることようなものに対して、別のタロットを引くことで、方向性や運動性を補足していく(傾向をはっきりさせる)ところがあるのです。

「運命の輪」だけではどちらともつかなかったものが、「戦車」を引いたことで、回転が運動的に働き、積極性が推測てきます。つまり、動かないよりも、明らかに動いて前進する感じが強くなります。

ただ、「運命の輪」が出たことの意味も考え、闇雲に動くわけではなく、まさにタイミングを計って、ここぞという時にギアを入れて前進するみたいなニュアンスともなってきます。

それでも、Goという感じは「戦車」によって強化されているので、そこから「運命の輪」を見れば、この「運命の輪」がチャンス的な意味になることがわかります。

あとで、覚えたカードの意味を照らし合わせると、さらにこのことがしっくりきます。

すなわち、「戦車」が成功や達成、勝利を表すとすれば、まさに成功の時が来た、勝利のタイミングは今、というように読めることが可能です。この読み方は意味を言葉として表した場合のコンビネーション的な読みです。

最初からこれをしてもよいのですが、やはり、出ている複数枚のカードの図像を見て、その運動性、エネルギー性、方向性の共通点や、逆に異質点を見ながら、タロット全体としての意味を汲んだり、推測したりしてから、言葉としての意味や文章を作り上げるやり方のほうが、案外、タロットからのメッセージ、本質が読みやすいです。

もし、「運命の輪」の横に、「戦車」ではなく、「吊るし」が出たとすれば、「吊るし」は運動性がストップしている傾向が強いですので、「運命の輪」も、たとえ回転していても、その回りつづける状態を観察するような、輪の上にいる動物(スフィンクス)の視点で見るほうが、この場合はよいことがわかります。

タロットの時系列的解釈をすると、一般的に左から右に移ると読むことができますから、「運命の輪」が「戦車」に移行するのか、「吊るし」に行きつくのかによって、二枚を複合した読み方、ニュアンスは変わってくると思います

例えば、好調、あるいは波乱を呼んだ波(運命の回転)も、「吊るし」では収束に向かうとも見えますし、「戦車」ではさらに加速させられる感じもします。

あと、これはちょっと特殊な見方ですが、「運命の輪」と「戦車」の場合、「戦車」の人物が、まるで取っ手のある運命の輪を回しているように見えますから、「戦車」としての人物や物事自体が、まさに運命を変える、変えていく(ことができる)というように、二枚を複合すると見えてきて、結局、「戦車」がもし自分であるならば、自分で運をつかむ、運命を動かすみたいな意味合いにもなってくるかもしれません。

いずれにしましても、いきなり言葉の意味をタロットカードから出して(読んで)、ああでもないこうでもないと悩むよりも、複数(以上)枚数引いたカードの全体傾向を観察し、特に運動性や方向性に着目して、どう動けばよいのか、待てばよいのかを推察して判断するほうが、読みが早いこともあるのです。

あるコツとしては、自分自身がタロットの(展開されているタロットの画像の世界)中に入るかのように見て(自分が小人みたいになっていると想像してもよいです)、例えば、「運命の輪」に乗っている自分、「戦車」に乗っている自分、その二枚を移動している自分をイメージし、感覚的に見ると、カードの言わんとする物語性がつかめてきます。

あれこれカードに乗っているうちに(笑)、自分の経験していることの意味がつかめてくるような感覚です。

そして乗るカードの順番が違えば、またニュアンスも異なってきて、その中で、自分(クライアント)の質問にびったりと思える物語性が、示唆されてくるのです。

タロットに限らずですが、「これだけでわからなければ、あれも出してみる」「この方法(ルート)でうまく行かないのなら、別の方法(ルート)を試してみる」というようにすれば、リーディング時に困っても、打開策は出ます。

タロットリーディングは、思考と感情、様々な感覚器官を使って、問題解決やアイデアを練るための一種のトレーニングをしているようなものです。

それには本当に、タロットの世界に遊ぶような、一言でいえは「愚者」となる感覚(姿勢)も重要なのです。

難しく、まじめに考え過ぎていても(これは私自身がそういう傾向にありましたが)、リーディングはスムースにできません。

正しいやり方にこだわるよりも、情報を導ける様々な方法を試すことです。

よいか悪いか、合っているか合っていないかなどは、あとから思考で判断すればよいだけで、まずは、いろいろなルートからタロットによる智慧や情報を引き出すことをやってみましょう。

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