順序を踏むこと、王道を進むこと。
すでによく知られていることですが、マルセイユタロットの大アルカナの数の順番は、ある種の成長や発展を表現しています。
単純に言って、数が上がるほどに向上するという考え、捉え方です。
しかし、単純にはそういうことであっても、本当はもっと複雑であり、逆方向の数が下がる道も、衰えるとか、悪いという意味ではありません。
そこには私たちが陥りがちな、直線思考の問題があり、数直線上にゼロ地点を中心にして、左右にプラス・マイナスを見て、その違いは単に、(数の)量だけにあるとする(現代的な数の)見方になると、タロットの数の進行の本質がわからなくなります。
やはり、直線ではなく、循環とか型の繰り返し、凝縮というものを見ないとならず、要するに、図形的には円とか球、螺旋などを想定して数の進行を捉えるということになります。
そのような見方は古代(秘儀的)では普通のことであり、数の進行(巡りと表現してもよい)の見方そのもので、世界(宇宙)観も変わってくるわけです。
さしずめ、今は、先述したように、数直線的な動き方(捉え方)がメインで、だからこそ、過去・現在・未来の一方向的な時間の流れを常識として、ある地点からある地点までは、量としての距離を見るだけになって、質より量、または画一性を重視することになっていると考えられます。
さて、それでも、一応、マルセイユタロットの大アルカナの数の進行順が成長を示すという前提をもとにすると、様々なことがわかってきます。
まず、当たり前の話ですが、成長に一足飛びや近道はないということです。
前の数のタロットで示される課題・問いをマスターしないと、次(の数のタロット)には移れないわけです。これを二つ飛ばしとか、三つ飛ばしとかのジャンプをすると、それは中抜きとなって、すごろくではありませんが、必ず、元に戻されることになります。
でも、人は近道や、楽をしたい生き物です。(笑)
できれば、一気に行ける道、飛ばして行ける裏ルートがあるなら、そちらを選びたいものです。
しかし、タロットで見る限り、21枚の数の段階があり、ひとつひとつこなして行かねば、最後までたどり着けない仕組みになっています。(ちなみに数のない「愚者」は、この成長の旅をする当事者であり、私たち自身とも言えます)
ただし、何事も、抜け道とか、特別な道がまったくないというわけではありません。たいてい、何かあるものです。(苦笑)
個人的には、その特別な道は、タロットにおいてもあると見ていますが、これまたよくある話(お約束)で、そういた特殊な道というのは、それなりに危険や障壁があり、安全ではないからこそ、特別なルートになっていると推測されます。
よって、タロット的に安全でノーマルな成長の道を進みたいということであれば、やはり、数の順通りに進む(課題をこなしていく)のが望ましいと思います。
こうした王道(マルセイユタロットには、まさに「王の道」という象徴性が隠されています)は、心理系やスピリチュアル系の世界にもあてはまることだと言えます。
特に“ライトスピリチュアル”世界においては、お手軽にいいことをゲットしたい、楽に成長したいみたいに思う人が少なくありません。
それは、先述したように、人は近道や楽を求める性質があるからで、「ライト」となれば、ますますそういう風になるのも、いた仕方ないと言えます。
ですが、たぶんすでに経験している方も少なくないと思いますが、いろいろと運のよくなることとか、願いを引き寄せる方法とか、楽になる技術を学んだり、実践したりしても、なかなかよくならないというケースがあります。
そのひとつの原因は、一足飛びに効果を求めすぎている、言い換えれば、順番を無視したり、順序を逆にしたりして取り組んでいるという点があります。
先ほど述べたように、タロットの成長順の通り、ひとつひとつこなして初めて、次の段階に行けるようなものなのです。
例えば、心の中に、自分を不幸にしたり、不運にしたりするある種の考えとかデータが、自分では気づかず入っているとします。
それを消したり、変えたりしなければ、自分の中ではオートマチックにルールや行動規範として、実際に働き続けるおそれがあります。
大元や本質を無視して、小手先の技術、表面的なお手軽な方法ばかりを試していても、よくはならないのは当たり前です。
病気治療で言えば、対処療法ばかりしているようなものです。やるべき順を無視して、効果・結果だけ得ようとしても、本当にはよくなりません。(なっても一時的なもの)
「いや、でも、簡単によくなった人もいるよ」「急速に効果が出たことはあるよ」と思うこともあるかもしれませんが、この世界は個別の世界(個人それぞれで違いがある世界)なので、もちろん、そういう人もいるでしょう。
ですが、おそらくそういう人でも、実際は何らかのきちんとした手順を踏んできているのだと思います。(スピリチュアル的には、現世とか、自覚している意識・記憶だけではないところも含む)
宇宙的には、すべてルールがあり、それは次元やレベルによって異なるところがあるとは言え、どの世界においても、ルールを無視してのまったくのファンタジックな魔法はないと考えます。(魔法の世界であっても、魔法の発現と行使するルールが決まっており、その法則からはずれたものは、その世界の魔法として発動しないということ)
一気にできたと思う人も、それはそれで、検証すれば、この世界のルールからは逸脱していないはずです。(この世界のルールをたとえ超えたとしても、超えるための手順をきちんと踏んでいるということ)
まれに、偶然、あるいは突然、効果が発動したということもあり得ますが、それは手順を踏んでいたという本人の自覚がなかっただけに過ぎません。(だから、こういう偶然できてしまったことは、コントロールができないので危険でもあります)
ということで、なかなか思うように行かない人は、改善の順序に則っているか、手順をきちんと踏んでいるか、いきなりの理想を追い求めすぎて、急な効果を期待していないかなど見直すとよいでしょう。
マルセイユタロットを持っている人は、今一度、数の順に即して、自分のやっていること、目標達成等について、考えるとよいです。
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