タロットカードの展開、正立と逆向き

タロットの展開法(スプレッド)には、いくつかの区分の仕方があります。

その中で、出すタロットの状態において、逆向き(上下逆・リバース)を採用するかどうかというものがあります。

占いで使われるタロットの展開法では、この逆向きを使用するパターンは多いかと思います。

そして、この逆向きに出たタロットの解釈を、正立とは反対にするケースもよくあります。言ってみれば正逆は真逆の意味になるわけですね。

一方、逆向きを取らず(出さず)、正立のみで展開する方法もあります。

しかし、どちらがよくて、どちらかが悪いという議論はあまり意味がありません。結局、自分が好きな方法、タロットが活用しやすい方を採り入れればよいと、個人的には思います。

ただ、両方の長所・短所と言いますか、メリット・デメリットをわかったうえで、使うほうがよいかとも考えます。

正立のみで出すやり方の長所は、タロットとその展開に、あまりマイナスイメージが出ない、フラットな感覚で接することができるというのがあります。

これは、逆向きの印象が、人間の通常として、逆さまは奇異に映る、何か変わったことであるという思い(込み)があるため、たとえカードの意味がわからなくても、逆さまに出ただけで、何かよくないことが表されているのではないだろうかと危惧する人がいることで、反対に、正立だけだと、そういうおそれが少なくなると考えられるからです。

事実、タロット研究家で知られる、映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキー氏は、正立だけしか出ない方法で展開し、その理由として、逆向きをナーバスにとらえてしまう人がいるからだと述べています。

氏の場合、心理セラピストの側面もあるため、タロットリーディングを受ける対象者に、心理的なトラウマを持っていたり、普通の人より気にし過ぎたりする傾向があるため、特にそうした方への気遣いで、正立展開を採用していると思われます。

正立の長所は、そのまま逆向きの欠点にもなり、逆向きに違和感を覚えたり、悪いイメージを持っていたりする人には不向きな展開法だと言えます。

しかしながら、逆向きを出す展開法には、長所・利点もあります。

それは、正逆という違いが明確にわかるという当たり前のことです。

逆向きとして、カードの上下が反転するタイプのものが出るわけですから、そうでないもの(正立)との違いが、一目瞭然です。

何か問題点や、それこそ悪いことを表すのに、逆向きというポジションはわかりやすく、だからこそ、かえって、正立のものも際立ち状況の分析、さらには、この状態をどうすればよい方に導けるかも、カードの出方によって解釈しやすくなるのです。

人は、向き合わなければらならないとわかっていても、それが怖いものであるなら、なかなか見ようとはしません。

けれども、直面しなければ進まないことがあります。

それを逆向きのカードが表してくれているとすれば、せっかくカードを引いたのだから、怖いけれども出ている以上、向き合ってみよう、解釈を聞いてみようとなる可能性は高いです。

直接人から言われるより、カードをはさんでいるという状況は、タロットカードというワンクッションがあるため、意外に聞き入れやすいこともあります。

また、タロットリーダー、タロット占い師側に立てば、カードのポジションが正逆出てくれるのは、読むほうとしてもわかりやすいという利点があります。

正立だけだと、何がよくて何が悪いのかというところがわかりにくく、どうしても抽象的な読みになりがちです。それが正立のみの欠点とも言えましょう。そういう点では、正立のみの展開のほうが、読み手にとっては高度な方法だと言えるのです。

それから、正立だけにするよいところは、ほかにもあります。

それは、特にタロットリーダーとなる人には重要で、物事の善悪のとらえ方・考え方の次元を上げるように導くことができるという点です。

カードを正逆ありで使うと、結局、善悪二元論的な考えになり、その善悪を決めている価値観が一般的なもの、常識的なものになっている場合、問題の本質にまで到達して解決することができなくなります。

いや、できないというより、同じレベル・次元での解決法しか思いつかなくなるということです。

同レベルでの解決法しか思い浮かばないというのは、例えば、右か左かで悩んでいて、どちらかを選ぶことがよい(逆を言えば、どちらかは悪いはずということ)、もしくは、どちらか一方しか選択肢がない(選ばなければ解決しない)という考え方になるというようなものです。

実はそのさらに別の(上の)見方ができるようになると、第三の道とか、どちらをとっても同じ(どちらも良くも悪くもない)とか、なぜそもそも、その右か左かかで自分は悩んでいるのかということや、迷うこと自体、自分が創り出しているものだった…など、新たな見方が出てきます。

これが正逆を取る方法だと、なかなか思いつきにくくなるわけです。

※ただし、マルセイユタロットのカモワン流の展開法など、一部の展開法には、正逆を取っても次元を上げる見方ができるようになる方法もあります。

これが正立だけならば、言わば、陰陽二元を太極的に見るがごとくになり、いい・悪いの単純な解釈では読み取れないことがわかってきます。(つまり全体性が見えてくる)

さらに言えば、正立のみのほうか、特に自己リーディングには有用です。自分をタロットで見る場合、ネガティブかポジティブかの、極端な視点傾向になりがちです。

しか正立のみなら、少なくともネガティブにはあまりならず、かと言って、すべて正立が出る展開法なのですから、特別にポジティブなことを表しているわけではないこともわかっていますので、完全とは言わないものの、大分、中立性・客観性が担保できるのです。

ということで、正立だけの場合は高度ではありますが、それなりの良さがあり、また逆向きを取る方法も、それはそれでわかりやすく、物事の良し悪し、イエスかノーかなどを判断しやすい長所があります。

自分の状況に合わせて使いこなすのもよし、こちらが好きだから、読みやすいからと採用するもよしで、その点もタロットには自由性があると言えます。

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