タロットの使い方
一枚引きの活用法
タロットのもっともシンプルなスプレッド(展開法)といえば「一枚引き」があります。
これはタロットをシャッフルして、一枚だけ引くというやり方です。
一枚なのでとても簡単ですが、逆にいえば情報が一枚だけに限られるので、コンビネーション的な読み方やスプレッドに慣れている人には難しい場合もあります。
それで一枚引きは占いに使うというより、タロットリーディングのいろいろな意味での修練に使うとよいのです。
たった一枚と言っても、使い方によっては活用の幅が広がってきます。
今日はその一枚引きの具体的な活用法についていくつかご紹介したいと思います。
●今(今日)の自分のテーマ、課題として引く
今の自分を知りたい、確認したい、今の自分にって必要なものは?というような時に有効です。これは意外に自分を安定化したり、着地化したりすることに役立ちます。
引き方としても、問いによって変わってきます。
「自分のテーマ」として引くか、さまに「今の時分の状態は?」として引くかによって読み方が変わってきます。後者のほうが読みやすいでしょう。
さらに、「今の自分に必要なものは?」「今の私に必要な人は?」と具体的にして引くと、モチベーションも上がるかもしれません。
●時系列において重要なことを確認する
時系列というとたいていは過去・現在・未来と同時に三枚以上のカードを引くことが多いのですが、これを一枚単独でやっていきます。
たとえば過去ほテーマにして、「私の過去で思い出したほうがよいもの?」「忘れていること(物)はないか?」とやってみます。
現在については上記で紹介した「今の私のテーマ」的なものがノーマルです。
未来は予測や占い・直感訓練としてできます。「今度起こることは?」「仕事はどうなる?」などです。天気なども占ってみるとよいでしょう。
●イエスかノーの判定装置として使う
私の考えるタロットリーディングの訓練にはあまりならないのですが、どうしても何かを決定したい時の参考にするにはよい方法です。
これは単純に正立が出ればイエス、逆(リバース)が出ればノーと判定するものですが、そのカードが出た意味を考えることで、リーディングの訓練にもなります。
●何もテーマや問いをなしに引く
何も考えず、ただ毎日一枚引いていきます。そして出たカードをメモしておき、一週間、一ヶ月、3ヶ月とあるスパンで見直します。
そうすると同じカードが続いたり、ある時からそのカードが出なくなってきたりと、ある傾向が伺えます。そしてその傾向とカードをあとで分析して、自分とリンクさせ考察し、意味を探ります。いわば後出しリーディングみたいなものです。
これは「流れ」や「波」「リズム」などを読むことの訓練になります。綾なす波のようなレイ(霊・スピリット)を読むのです。(すいません、アニメネタです(^_^;))
いずれにしても、一枚引きは最初にも述べたように一枚ゆえの情報の少なさがあります。ですからカードの絵柄の象徴はもちろん・数・雰囲気などあらゆる情報を読み解く必要があります。
それがまたリーディングのよい訓練になるばかりか、時にはカードがなくても身の回りのモノから象徴的に本質を解釈できる技術も高めることができるのです。
こだわりや囚われで苦しい時。
マルセイユタロットの「愚者」や「世界」が表すように、とらわれのない心や広くさまざまな価値観・世界観を認めることで、人はまさしく自由になってくると考えられます。
逆にいえば、何かにこだわりをもったり、狭いものの見方、認め方をしていると人は不自由になるということです。
とはいえ、何かにとらわれない人など、おそらくこの世にはいないでしょう。誰でもひとつやふたつの気がかりなことはあるものです。
ただそれがほかのことに影響を及ぼさない「思い」の程度なので、生活はできているのです。
けれども、たとえば誰かに片思いの恋をしたとか、仕事がうまく行かないとか、ある人との関係が悪いとかということになりますと、とたん、とらわれの心が大きくなり、時には日常生活さえスムースにできなくなってしまうことがあります。
こんな時、やはりその問題となっていることを解決しないと心が完全には晴れず、いわば自由にはなれないのですが、意外な対処方法もあります。
それはタロットから伝えられたものです。
一例を挙げると、恋愛問題で悩んでほかのこと手がつけられないとします。
ここで、悩んでいることのエネルギーや本質を見ようと視点を変えるのです。
上記でいえば恋愛ですから、要は「愛」の問題であり、その過不足につきつめることができます。
ということは愛の飢餓感を充足感に変えるか、そのアンバランスさがアンバランスと感じられないバランスの次元に意識を上げていくことが求められます。(大きなバランスの前では小さなアンバランスは取るに足らないことになるため)
ただ過不足を補うために、安易にほかのものでエネルギーを代用すると、それはごまかしに近いものになりますので、できれば次元を上げる解決を進めたほうがよいです。
先ほどの例でいえば、恋愛に苦しんでいるのならボランティアをして人類愛的な視点で行動するとか、自分に注がれているほかの大きな愛(小さな愛でも拾い集めれば総量として大きなものとなります)の発見を意図的にしてみるとかになります。
これは一見気休めのように思えます。
ところが本質あるいは同質のエネルギーとリンクしている大きなほかのものと遭遇すると、焦りや悩みの気持ちがうそのように消えたり、穏やかに導かれたりします。
地上のこだわりは天上のイデア(理想・崇高なもの)によって浄化されるという感覚でしょうか。
まあ、反対にこだわってこだわって、こだわり抜いてどうしようもなくなった時に天上意識に導かれるという体験や方法もあります。
いずれにしても、これらの方法はどれもタロットを意識したり、使ったりするとやりやすいのです。
なぜならば、タロット自体、天上と地上をつなぐ高度なすべての象徴体であると考えられるからです。
何もしなくてもバランスは取られていますが・・・
バランスといいうことをテーマにした場合、タロットカード(マルセイユ版)で真っ先に思い浮かぶのはやはり「正義」でしょう。バランスと「正義」については何回か記事で書いてきたところでもあります。
最近はディマティーニ氏のメソッドなども紹介されるようになって、ますますバランスということが重視さてきたように思います。
私はディマティーニ氏の語られるバランスのことを真に理解しているわけではありませんが、氏のバランス論で画期的なところは、バランスを取ろうと考えるのではなく、「いついかなる状態でも、あらゆるすべてのものはバランスが整った状態にある」と考え、そのことに気付くことが重要だとされたところでしょう。
つまり自分が不幸だと思っていても、それは宇宙のバランスからすれば完璧に調和し、バランスがとれていることであり、そう感じられないのは自分の見方こそがバランスを失っているからだと主張されているわけです。それを実感(体感)するのが氏のメソッドのひとつでもあるようです。
私はタロット的にみればこれは本当に正義のことを語っていると感じます。(それ以外のカードのこともあります) そして氏の主張をタロットによって解釈するならば、次のようなことが導かれます。
まず疑問に思うのは、あらゆるものがすでにバランスが取れているのならば、何もしなくていいのではないかと思ってしまうことです。
究極的にはその通りだと思います。何もしなくても宇宙は両極のバランスでできているので、人がどう行動しようと自動修正されるということになります。
これを一人の個人としての局面で見た場合、次元の違いという観点を取り入れるとわかりやすくなります。
どんな状況でもバランスが取れていると仮定すれば、低次であっても高次でもあっても、どの世界においてもバランスは保たれていることになります。
表現を変えれば地獄でも天国でも同じ法則が適用されているということです。
錬金術や宇宙の真理・奥義を記載したと言われているエメラルド・タブレットでは、「下にあるものは上にあるもののごとく、上にあるものは下にあるもののごとし」という鍵となる文言があります。
これは「次元が違っても同じ法則によって貫かれている」ということを表現したものと考えられます。
ですから両極のバランス・均衡(実はこれはヘルメスの7つの法則のひとつですが)はどのフィールド・次元にも働いており、あなたがどうあろうとバランスは取れている(取られるようになるという)ことになります。
貧乏だろうと裕福だろうと、健康だろうと不健康だろうと、両思いの恋人がいようと片想いだろうと、あなたのいついかなる局面でもバランスは取れているのですが、ただバランスの取られている次元が異なっているので違うように見えるのです。
従って、あなたがいわゆる幸せになりたいのならば、あなたの次元を上昇させていくことが非常に重要なことになってきます。
言い換えればバランスが取られる幅を広げていくということです。つまらないことでバランスが取られる世界で生きるのではなく、価値あるものでバランスが計られる世界に行くことです。
わかりやすくいえば殺し殺されることでバランスが計られる世界にいるのではなく、与えあい・喜びあえることでバランスが計られる次元にあなたを持って行きましょうという発想です。
ですから何もしなければその今の次元で留まり続けることになりますので、その世界次元でのバランスであなたは生きることになります。
俗に「住む世界が違う」とたとえられるのは、心の奥では次元の違いを感じているのでそういう表現となっているのです。やはり何もしないよりは次元を上げていく努力は必要でしょう。
そのためには「高次のバランスとは何なのか」というモデル・イデア(理想)が必要なのですが、西洋密儀的にはタロット・カバラー・アストロロジーはそのよい象徴モデルとして機能します。
従って学ぶ価値があるのです。逆にいえばそういう使い方・観点で学習しないと、たとえそれらを学んでも、非常にもったいないことになってしまうことでしょう。
あなたはタロットを何のために学習するのか。
タロットを学習される生徒さんたちは、個人個人で「たぶん周りの皆さんはタロットの知識が少しはあるんだろうなあ・・・」と不安に思われている方も少なくないでしょう。
ですが、その心配は私の講座においては杞憂です。
確かに習うタロットや教室のよっては最初にタロットの知識があったほうが有利かもしれません。
ただ私のマルセイユタロット講座ではむしろ何も知識がない、まっさらの状態のほうが推奨されます。
特に違う種類のタロットを学習していたり、リーディングをある程度形として身につけていたりしていると、新しい情報・知識が入ってきた場合は混乱を生じかねません。
私の講座では一般的に教えられているタロットの使い方・考え方とは異なるものをお伝えしていますので、当てる占いや吉凶でタロットを見るようなことをメインで考えていた人にとっては、その修正を図るのが非常に困難になることがあります。
タロットは象徴として優れたツールですから、いろいろな技法や使い方・考え方があるのは普通であり、私もどれがいいとか悪いとかは言うつもりはありません。
ですが、タロットというものは今まで皆さんがイメージしてきたものよりも、もっと幅広く崇高に使うことができるのだということを知ってもらいたいと考えています。
一言でいえば自分を高める道具であり、人生の質を向上させるためのものだということになります。
ここで誤解しないようにしていただきたいのは、それは世間的に見た「運が良くなること」とか、一時的な満足感ではないということです。
言い換えれば通常レベルでの「間違いのない選択ができること」でもありませんし、快楽がタロットでもたらされるわけでもないのです。
「間違いのない選択」というと、常識や私たちの目に見える・感じられる範囲においての「間違いのなさ」であり、それは別の大きな観点からすれば正解・不正解とは決まらないことを知るべきです。
いわば物理次元における「勝ち組・負け組」「成功者・失敗者」という概念の枠からはずれることが必要なのです。
またその観念(成功・失敗)においてタロットを行うと、結局快楽や一時的な満足感での選択基準になったり、運勢の吉凶の判断となってしまったりします。
それでは実は高い視点で見た場合、堂々巡りであり、「運命の輪」でいえば輪の中で翻弄される犬と猿でしかないのです。そもそもそういった低次元に留めさせることが、ある存在の目的でもあるのです。
ですからタロットをやっていて楽しくて仕方がないとか、タロットのおかげで金運や恋愛運が良くなったとかということはむしろ私の観点からするとバランスが崩れていると言えます。
先にも述べたように、一時的にはそういうことも起こりえますし、必ずしも悪いというわけではありません。しかしながらそれらはタロットの本当の目的からすれば低次であるということです。
タロットをやっていれば楽しいことも苦しいこともあるというのが、私の考える正常な道だと思っています。
そうしてひとつひとつ山や谷をタロットを通じて見つめ乗り越えていくことで、やがては少々の山や谷でも楽に越えられるようになります。
またその行程そのものが楽しくなってきます。(有頂天になる楽しさではありません。穏やかな楽しさです)
気がつけば本当の意味で「楽」になり、「幸福感」に満たされていきます。それはかつて自分が考えていた、ないものねだりの幸せや快楽とは違っているものです。
こういうことのために私はタロットを使い、教えているのです。
イヤーカードの活用ほか。
段々今年も残り少なくなってきました。
占い世界では新年ともなると、今年一年はどんな年か?などいろいろなところで占いがされます。
逆に一年の締めくくりの12月や年末などで振り返ってみる、年明けにやった占いを検証してみるということもあってもよいのですが、それはあまりないですね。
しかし個人的にはこちらの振り返りや検証がとても重要だと思います。
マルセイユタロットでも現実世界の成功者・完成者を示す「戦車」の肩には二方向を見ている顔が描かれているように、成功には多角的視点、過去や未来を見据える観点が必要なことが語られています。
さてそんな時に活用できるのがイヤーカードです。
イヤーカードについては過去記事でも何回かふれてきました。
要するに自分にとってその年を象徴するタロットカードということです。
これは数秘術的な技法で導かれるので、「数」が必要ですが、それは自分の生年月日から導き出されます。
その数とタロットの数とを結びつけて考えていく手法ですね。このようなタロットの数で考察する技法は、ほかにもソウルカードやパーソナルカードとしても知られているところです。
それでイヤーカードを改めて見直し、今年はそのカードに象徴される年であったと見て、どのような学びや気づきがあったのかを実際の自分の出来事・体験と照らし合わせて考察するのです。
一枚なので一見単純なように思えますが、結構意外な気づきやインスピレーションがもたらされます。それが来年の糧や方向性を考える意味でも貴重となる場合があるのです。
もちろん来年のイヤーカードも計算できますので、それと比較していくこともいいですね。
それからもともとタロットは偶然現れた展開(カード)に意味を見いだすという「卜(ぼく)占」的特徴を持つものです。
ですから何も最初から決まっているイヤーカードとして振り返るだけではなく、実際にカードをシャッフルして「今年のテーマは何であったか?」「今年を象徴するカードは何?」と引いてみるのもよいです。
この場合正逆の意味をとってもよいですし、正逆を取らず、単にそのカードが出たことを象徴としてとらえるやり方もあります。どちらでもOKです。ただし最初から正逆を取るのか、取らないのかを決めておく必要はあります。
逆になった場合は解決・調整的なカード、さらに指針を与えるカードとしてもう一枚引いてみるのも面白いでしょう。
来月になれば一度お試しください。来月に私の教室のあるグループや個人の方は講義でやってみてもよいですね。