「愚者」と「13」に見る次へのステップの選択

マルセイユタロット(カモワン版前提)の「愚者」と「13」(名前のない13番)には多くの共通点があります。


まず絵の構図がとてもよく似ています。


どちらもカードの人物(とおぼしき者)が右側を向いており、体もその方向に進もうとしているように見えます。


手に持っている物でも「愚者」の杖「13」の鎌は同じ傾きであり、並べると平行します。


カモワン流の場合はカードの人物の視線の方向に大きな意味を持たせていますので、両者のカードの傾きや方向が同様であるとするならば、何らかの共通の意味があると予測できます。


そして、カモワン流で右方向といえば進行や発展、未来を示しますので、そのことからこの二枚は何らかの新しい進展性を秘めている(正立においての場合)と考えられるのです。


では再び二枚のカードの絵柄に注目してみましょう。


「愚者」は上を向き、かなりラフな姿勢で右へ移動しているように見えます。それに対して「13」はなるほど、「愚者」と同じような方向性を示してはいますが、どうも「愚者」ほど気楽ではなく結構大変そうです。


足下も「愚者」は草の生えた自然の大地であるのに比して、「13」のそれは草は少しあるものの、ほとんど真っ黒な場所であり、人の手足や首まで転がっています。


姿勢もよく見ると、「愚者」の重心は前の足にあるようにうかがえますが、「13」は後ろの足や腰にあるように感じます。


このようなことを総合すれば、「愚者」と「13」は何か次の段階へ移行することは同じだとしても、行動や様式に違いがあるのではないかと気がつくことでしょう。


私はこの二枚の移行状態を次のように見ています。


すなわち「愚者」は次あるいは別の場所への実際の移動・移行であり、「13」は精神的・内的な移行・変容であるということです。(もちろんタロットは象徴ですから反対のことも時にはあります)


ともに変化していくのは同じなのですが、外的(実際)か内的(精神)かの違い、その場か別の場所かの相違があると考えられるのです。


「愚者」はこだわりがなく、次々と場所を移動していきます。目的はその場にいることではないからです。


一方、「13」は次へ行くということは象徴的に「愚者」と同意だとしても、「愚者」のように気楽には行けず、自分自身を変えないと進めないのです。


言ってみれば、「愚者」は場所を変えることで自分も変わり、「13」は自分が変わらなければ場所も変わらないということです。


このことをふまえてリーディングに適用していきますと、たとえば転職で悩んでいた時に「愚者」が出るのか「13」が出るのかによって、ともに「移行」というステップは似ていても、まるで意味が違ってくることになります。


自分がその場所で我慢や辛抱してまで残るべきか、あるいは場所を変えて環境によって自分が変わっていくのか、いろいろな選択方法があります。


その際に参考のひとつとなるのが「愚者」と「13」のタロットの出方なのです。

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