初心と思い出話

人間、慣れてきたり、上の立場に立ったりすると、初心を忘れ、ちょっと独りよがりや、傲慢になることがあります。

特に先生と呼ばれるような状況になりますと、自分は謙虚にいようと思っていても、知らず知らず、上から目線になり、学びの気持ちが薄れていくこともあります。

私もタロットを教え、指導することをしていますが、そういうことにならないよう、自分が下になることを意識しています。

自分が下になるようなことと言えば、いろいろと方法はあると思いますが、やはり、自らが学ぶ立場になること、そういう機会を作ることです。

もちろん、何かの先生や指導者になっても、その専門分野においてさえ、まだまだ学びは続ていくものです。

これで完成と思った時点で、技も知識も成長を止めてしまうことにもなりかねません。(段階別に完成を意識することは悪いことではありませんが)

しかし、専門以外のことで、新たに学びの徒、生徒になることのほうが、初心の気持ちに戻る機会が実際にありますから、有意義でもあるでしょう。

ということで、趣味でも何でもいいので、新たに別分野の初心の生徒になってみるのが、下の立場の気持ちになるひとつの方法です。

また、たとえ専門のことであっても、今までとは別の、ほかのアプローチで技術なり知識なりが研鑽できないかと試行錯誤してみたり、専門分野において実践活動するものがあれば、それを実際にやっていったりすることを絶やさないことも重要かと思います。

例えば、タロットでいえば、タロットの指導者であっても、タロットリーディングを、先生的な立場で行うのではなく、一介の名もなきタロットリーダーであるかのようにして、タロットをほかの人に役立てるようなことをします。

また、セラピストやヒーラーなら、自分自身が、ほかの(友人とか知人ではない)人の施術を受けてみるというのもありでしょう。

たとえその結果(受けた内容)がよくなかったとしても、自分の気持ちを新たにするという意味では、得られるものは小さくはないはずです。

ほかに、初心を思い出すため、その時、活動や学びをしていた頃の場所やイベントなどに足を運んでみるというのもいいかもしれません。

私の場合、メールや出張にてのタロットリーディング、タロット占いが実践活動としての最初でしたが、たくさんの人を一気にリーディングしたという初めての経験では、イベントでのものがありました。

それは、今も各地のホールなどでよくやっています、スピリチュアル関係のイベント、マーケットみたいなものです。

申込者にテーブル仕様のブースが割り当てられ、たくさんの出店者たちの人とともに、お客様をお出迎えします。フリーマーケット会場をイメージしていただければ、雰囲気はつかめると思います。

私は地元の神戸のイベントで、同じタロットの学びをしていた友人と一緒にブースを借りて出ました。

友人は、頭を剃っていましたので(修行者ではなく、友人の単なるスタイルです)、あえて着物を着ることで、お坊さんやえらい東洋占術関係の人に見えました。(笑)

で、私のほうはと言えば、これまた、わざとスーツを着て、まるで銀行員のようなスタイル(笑)で出たわけです。

同じブースに一人は着物姿のお師匠さん・お坊さん風、もう一人はお堅い公務員か銀行員みたいな雰囲気で、なぜか二人とも、同じタロットをしているというおかしな組み合わせでした。(苦笑)

これが良かったのか、両方ともお客さんは結構来られました。

面白いことに、友人のほうには、男性客がほとんど、私のほうはほぼ女性客でした。こういうイベントは、女性がほとんどなので、むしろ数少ない男性を集める友人はさすがと言ったところです。やはり恰好が男性をひきつけたのでしょう。

余談として、この時、友人のほうに来られた男性のお客様の一人が、何度か個別にリーディングしてほしいと、友人に依頼があったとのことです。恰好だけではなく、中身と技術も信頼されたのだと思います。

私も占いの館に出た経験があるのでわかりますが、男性はあまり、占いとかスピリチュアル関係には関心がないことが多いですが、一度信用する人を見つけると、口コミはあまりしませんが、すごいリピーターになってくれることがあります。人によっては、中小企業の会社の社長さんなんかが、一年契約で見てくれ、と依頼することもあるほどです。

一方、女性は気軽に占いには来られますし、口コミも流していただけますが、意外とあっさりされているところもあるように思います。

それはさておき、こうして初イベントは、一応の成功を収め、それから何度かイベントには出ました。

リーディング内容はつたないものだったと思いますが、何よりも、たくさんの人の悩みや問題をリーディングし、喜ばれた経験インパクト大で、タロットを以後もやっていこうというモチベーションになったのは確かです。

タロットの生徒さんにも、学びは続けていても、他人へのリーディングは勇気がないとか、自信がないと言って、やりたい気持ちはあっても、長いこと躊躇される方がいます。

しかし、どこまで行っても完璧と言う感覚を得られることはありません。

というのは、理想は、その都度、自分のレベルに応じて変わっていくからです。つまり、技量が上がっても、また次の理想が出てきてしまうので、「これで完璧だ」という気持ちは現れにくいのです。

であるならば、基礎技術・知識が得られた時点で、実践をスタートしていくほうが、慣れにもなって、自信をつける意味でもよいわけです。

もちろん、うまく行かない時はあるでしょう。それでも、何事もやってみないと始まらないのです。

今日は初心をテーマにしていますが、逆に、初心を早く脱するためには、実践をする、自分から行動を起こす、勇気をもって飛び込んでみることも大切だということです。

わかったと思うことと、実際にやるということとは違います。この世の中は実の世界です。わざわざここに来ているのは、たとえ自分でなくても、何(何者)かが望んでいるからでしょう。

ということは、実の世界を経験することが、ひとつの重要課題なのだと推測できます。結果ではなく、ただ経験をしたがっている何かがあるのだと感じます。

それが、もしかすると、カルマの解消や霊的な自己成長につながっているかもしれないのです。

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