タロットとイメージ

タロットというのは、絵柄が基本ですので、視覚の効果、視覚の作用が中心となります。

ですから、逆に言えば、視覚以外の機能・センサーとタロットは、つながりにくい部分もあるわけです。

しかし、人間の感覚・センサーは、五感だけではなく、いわゆる第六感とか、直感のような、五感とは別だったり、超越したりする感覚もあると言われています。というより、そういうものは普通にあると考えたほうが、今や半ば常識的かもしれません。

そして、五感をはじめ、感覚器官は、一見、バラバラに存在しているようでいながら、情報として統合される形にあり、それは科学的には脳が行っているとされていますが、スピリチュアル的には、脳を超えた何か、本来の自分の何かが行っていると考える向きもあります。

とにかく、例えば、視覚の情報が中心であっても、ほかの感覚・センサー連動したり、情報が加味されたりして、ひとつにまとまって来ると推測され、その意味においては、タロットは確かに視覚中心とはいえ、ほかの感覚への刺激もあるのだと見ることも可能です。

それでも、視覚中心は確かですから、そうなりますと、イメージという言葉が思い浮かんできます。

そう、タロットはイメージと強く結びつくツールであり、絵がイメージと関係するのは誰にでもわかるので、そのことは当たり前のことではありますが、意外にイメージの力とか使い方については知られていないものでもあります。

イメージの力で大きいのは、思考では難しい方法や答えを簡単に導くことができることです。

私たちの悩みの多くは、考えることによって発生し、また、考えてもわからないから悩むわけです。(笑)

世間では、考え方を変えることで解決を図る手段がよく述べられていますが、考え方を変える方法そのものがわからなかったり、実際に考え方を変えても、悩みは消えないということもあります。

ところが、イメージを使うと、思いも寄らなかった解決方法とか、問題へのアプローチが見えてくことがよくあります。

それは、イメージと思考(考えること)の回路と道程が違うからで、イメージのほうが、一般的にダイレクトに潜在意識など、普段意識しないところとつながる傾向が強いからです。

ただし、ここで誤解されがちなのは、思考は役に立たない、思考を働かせると、本当の自分とつながりにくい(つながりにくくなる)と言われることです。

思考が問題なのは、同じ考え方のレベルに留まっていること、一般的・常識的・論理的回路によって問題と解決を見てしまうことにあります。

つまりは表面意識、顕在意識、普段の自分、社会的で合理的な意見をよしとする基準で見てしまうことが多いわけです。それでは、特に個人の問題が解決しにくいのはわかる思います。(集団と個人、普遍性と個別性の違いが大きいため)

しかしながら、思考が一段上になり、これまでより高度の思考に導かれると、問題のとらえ方と解決策のレベル・次元も上昇して、解決策もわかってきますし、高次の自分に、より近づく手段の一つにもなり得ます。

ですから、思考そのものが悪いのではなく、思考レベルと扱いの問題のほうが大きいと言えるのです。

ただ、思考レベルを上げるにも、それこそ、頭の回転を上げなければならないので、なかなか難しいところもあります。

それならば、堂々巡りのような同水準思考の中でグルグル回っている状態に対して、イメージという違う回路を使えば、案外あっさり、別の道が見えてくることもあるわけです。

ということで、タロットの絵を利用してイメージを喚起させ、今の悩み・問題への解決を、イメージの力でもたらせることを志向できるのです。

ところで、イメージというと、「私はイメージするのが苦手」という人もいます。

昔、カルチャーセンターのタロット講座の体験会をしていた時、こういう場所では、がっつりタロットに興味があり、学びたいという人より、なんとなく覗いてみたい・・・というライトな感じで来られる方も少なくありませんでした。

すると、タロットを見て何かイメージするということが苦手と言いますか、「この絵を見て何でもいいですので、思ったこと、感じたこと言ってみてください」とこちらが指示しても、「別に何も出ません・・・」「イメージが浮かびません・・・」という方がちらほらいるわけです。

これには、いくつか理由があります。

そもそも、私も講師としてまだ経験が浅かったこともあり、カルチャークラスレベルの人に、タロットから自由に発想してもらうという作業自体、無謀であったのが、今ならよくわかります。(苦笑)

人は「自由にイメージして」「何か感じて見て」といきなり言われると、実はしにくいものなのです。(慣れてないと、ある程度、誘導がいります)

次に、「イメージする」というレベルや質の問題があります。

一般的に人は、「イメージしてください」とか、「何か思い浮かびますか?」とか言われると、具体的でしっかりしたカラーの絵柄とか、何か言葉とかメッセージとか、意味が浮かんでこなければならないと思い込んでいる節があります。

最初からそんなことができるのは、サイキック的な力があったり、ビジョン瞑想に慣れていたりする人などです。

普通は、うっすらと何か見える、感じる、出てくる、そんな気がする・・・レベルです。そして、それで最初はいいのです。

イメージは絵とは限らず、音とか、温度か、触感とか、視覚とは違う感覚も入れてのイメージの場合もあります(正確にはイメージを補強するもの)。

また、イメージが浮かんでも、言語化するのが困難な人もいます。それはイメージと言葉も、イメージと思考同様、回路が違うからです。

あと、イメージすること、感じていることを表現するのに、何らかの形でブロックしてしまっているケースがあります。このことはまた別項でいつか述べたいと思いますが、今日は詳しくは書きません。

いずれにしろ、このように、イメージひとつ取っても、レベルや質の違い、イメージから何かを見出す道筋の問題もあって、「これがイメージの正しい方法、使い方」というものは言えないわけです。

タロットによる、悩み事や問題の解決というのは、タロットリーディングで普通に行われることでありますが、タロットの絵柄から想起・刺激されるイメージを使った解決法と、タロットの絵柄(数などのサブ情報も含める)の象徴性を通じて、意味を探って解決法を考えるのとでは、実は違う回路を使っていると言えます。

それでも、タロットリーディングの目的が、自分やクライアントの問題解決、癒し、変化にあるのなら、結果的にそれができればいいわけで、方法や回路は違っていてもOKと言えます。

「押してダメなら引いてみな」という言葉があるように、タロットの意味を考えてもわからない(うまく当てはまらない、よい方法がわからない)のなら、タロットの絵柄からイメージを浮かべて見る、想像してみるというのでもよいですし、その逆もまたありで、イメージや絵からは、さして思い浮かばないというのなら、カードの意味、知識から思考的に、解決法を見出してもよいわけです。

要するに、情報の取り扱い、ソースからの通り道・ルートが違うだけです。

ですが、イメージの力と使い方によっては、ずっと考え続けてもわからなかったことが、突如ひらめいてわかったり、何をすればよいのかがイメージで見えたりします。

イメージの世界には、現在的・常識的思考の世界とは違うものがあり、それはいろいろな分野を超えた、悪く言えばごちゃ混ぜの混沌とし世界のように思えますが、それだけに、普段考えつかないような、多種多様で時間空間にとらわれない情報が眠っています。

そこへアクセスするには、タロットの絵柄が必要なのです。

メルヘン風に言えば、タロットの精霊の世界にあなたが入り込む、もしくは連れて行ってもらうようなイメージと言ってもいいかもしれません。

タロットを扱っていると、イメージにも慣れてきますので、魔法的には、イメージの世界のほうを現実と置き換える、塗り替えるみたいなことも可能だと言われています。

イメージをどう扱うのかは、「月」や「力」のカードに隠されてもいます。

最初は弱弱しいイメージしか出せない人も、タロットと接していると、自分の中にあるイメージ・ビジョンの力を発現させていくことができるようになるでしょう。

それをどう扱うのかもまた、本人次第ではありますが、大きくは、まさしく自分と周囲の世界を変えてしまう力を持つのです。

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