カモワン流、ホドロフスキー流

私はマルセイユタロットを伝えているわけですが、もとは、そのマルセイユタロットの種類のひとつ、カモワン版から入った口です。

カモワン版は、日本では、むしろマルセイユタロットの代名詞みたいになりましたが、それは旧タロット大学による普及の力が大きかったのが要因のひとつだと思います。

しかし、カモワン版マルセイユタロット、通称カモワンタロットは、実はリニューアルされた創作系マルセイユタロットと言え、伝統的な古い時代そのままのマルセイユタロットではありません。

カモワンタロットは、その名の通り、マルセイユタロットカードメーカーの子孫、フィリップ・カモワン氏によって作られたものですが、忘れてはならないのは、もう一人の製作者、アレハンドロ・ホドロフスキー氏いてこそであり、お二人によって共同製作されたのが、カモワンタロットです。ですから、ホドロフスキー・カモワン版マルセイユタロットと呼ぶのが正式でしょう。

世界的・一般的には、ホドロフスキー氏のほうが有名で、著名な映画監督であり、セラピスト、作家、詩人、芸術家、俳優など、様々な才能と肩書を持つ方です。

ホドロフスキー氏がタロットを愛していることは、氏を知る人では当たり前のことになっていますので、ホドロフスキー氏に関しての縁で、カモワンタロットにふれたり、学んだりする人もいます。(日本でも、ここ数年はその傾向が増えてきたようにも感じます)

アメブロでも解説したことがありますが、カモワン氏とホドロフスキー氏のタロット観とその技術は、かなり異なるところがあります。

知らない方は、共同制作者だからと思って、二人のタロットにおける思想・技術は同じだと誤解している人もいるかもしれませんが、カモワン流とホドロフスキー流とでは、本当に別モノと言ったほうがよいくらいのものです。

どう違うのかは、マルセイユタロットにある程度接していないと、説明してもわかりづらいので、ここ(ブログ)では詳しくはふれません。

ただ、あえて言うとすれば、カモワン氏は霊的視点でタロットを中心に扱い、ホドロフスキー氏は、心理的視点が中心だということです。ですが、ともに現実次元を扱う表現方法がありますし、サイキックなところもあります。

あと、タロットリーディングの技術面でいいますと、ホドロフスキー氏はタロットカードを正立のみで展開し、一方、カモワン氏は、カードの正逆を取る展開法を示します。

本来、タロットカードは、正立のみで見て行くものだったと私は考えますが、逆位置というものを採用する利点があり、何より、見た目が明らかにわかりやすいので、カード解釈がやりやすい側面があるのです。

これが正立だけとなると、いろいろな意味を正立だけの位置から読み取らねばならず、初級者にとっては、困難さが伴うでしょう。

その意味では、ホドロフスキー氏のやり方のほうが、高度なリーディング技術が要求されるものだと言えます。

ところが、正逆という意味では、そうとも言えますが、カモワン氏の、いわゆる動的展開法と名付けられている、カード人物の視線を追った展開法と、正逆の位置を取って、逆位置カードに対して正立のカードを置いていく方法ともなると、枚数的にも、形としても流動的になり、なかなか定型パターンで読解(リーディング)することが難しくなります。

つまり、カモワン氏の提唱している展開とリーディング法自体も、実は高度なものなのです。

まあ、それでも、私自身がカモワン流から入ったこともありますが、やはり、カモワン流のほうが、ホドロフスキー流よりも、とっつきやすい(理解しやすい)のではないかと考えます。

ホドロフスキー氏のタロットは、カード全体の見方としては研究された論理性があるのですが、逆にリーディングとなってきますと、かなり特異的で、直感性のようなもの、サイキック能力も要求される感じがします。

カモワン氏のタロットは、タロットの見方としては、一見、論理的に見えて、案外、スピリチュアル的です。ただ、リーディングについては、システマチックなところもあり、伝えるほうさえしっかりわかっていれば、学びやすい体系とも言えます。

いずれにしても、お二人の作られたマルセイユタロットはすばらしく、今はなかなか入手できなくなっていますが、今後も、皆さんに手に取っていただきたいタロットであることは間違いありませんし、どちらの流儀であっても、リーディングにも、大いなる力を発揮するものだと思います。

次回は、カモワン流の根本絵図ともいえる、大アルカナの並び(通称「タロットマンダラ」とカモワン流では言われる並び)ついて、少し取り上げたいと思います。

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