予想外環境

先日久しぶりに旧友に会った時に、最近の子供の話に及びました。


今に始まったことではありませんが、多くの人に言われているように、最近の子供はゲームなど室内の遊びが中心になってきたことと、屋外では物騒な世の中になってきたこともあいまって、大人の想像以上に外で過ごす時間が少なくなってきているようです。とはいえ、まったく自然とふれあわないのか、外に行かないのかと問われれば、実はそうでもないようです。それは、親御さんが気を遣って(あるいは家族サービスとして)キャンプなどのアウトドアに連れて行く機会を増やしていることや、管理されたスポーツクラブに入部させるなどして運動をさせるようにしていること、さらには塾に通うために仕方なく外に出る(苦笑)こと等があるからのようです。
しかしこう書くと皆さん気がつかれるでしょうが、外に行くといってもその実態は、ほとんどが整備された場所や管理された施設に、プログラム・計画通りに行くだけだとわかります。つまりソフトバンクの宣伝ではないですが(笑)、まさに「予想外」のことが起きにくい環境にいることを意味します。いや、いろいろな意味で事故にあわないという“マイナスの「予想外」”のことから守るためには、どうしてもこうなることは今の世の中仕方のないことだとは思います。それでも、その分、“プラスの予想外”にも遭遇しないことになってしまいます。友達と遊ぼうと集まっても実際にはその遊びをするには人数が足りなかった・・・ということで意外な新しい遊びが即興で考案されたり、小さい体の者が案外、力が強かったことがわかったり・・・犬が突然乱入して必死で逃げたけどドキドキして面白かった(これはちょっと怖い?)などなど、そういったワクワクやドキドキの予想外の体験が、日常に強烈なインパクトと印象を与え、新たな発見や自分と人の可能性に気づくきっかけともなると思えます。もちろん最近のゲームもすごいので、それをしているだけで「予想外」の連続でしょうが、しょせん人間のプログラムの範囲では、意外性にも限界があるでしょうし、人の想定の範囲を超えた出来事が起こる自然界の体験に比べると、目に見えない感覚も含めての全体的な感じ方、残り方がまったく違うのではないかと想像できます。
だからと言って、今更過去のような過ごし方に戻れというわけではありません。今は今ですからね。バーチャルなら徹底的にバーチャルも推し進めればいいかもしれません。最近wiiというゲームが人気のようで、これなどは体感ゲームとして大人も子供も楽しめて面白いでしょうね。実際に体を使うことがわかりやすく反映されるというのが人気の秘密かと感じます。時代の流れとして、まったくの自然性や放置的な環境での体験はこれからますます困難にはなってくるでしょうが、その中でもたとえ人工的ではあっても、多様性と選択性の自由を失わないようにすればいいと考えます。ゲームの世界でも今までとは想像もつかなかった技術で、五感すべてをありありと味わえるリアルな旅行体験、瞑想、変身もの、さらには実体験レベルとリンクしながらの安全なバーチャルものや、実経験のデータがインプットされないと先には進めないようなものとかできてくれば可能性も広がる気がします。現実とバーチャルがいい意味で一体となり、本当の自分の成長とゲームのクリアーがセットになっていて、両方が必要条件というものもあれば面白いかなと思います。
子供の話に戻りますが、こういった世の中ですから、親御さんは子供さんの安全性にも配慮しながらも、なるべく「予想外」なことが体験できるような環境・体験を、少しの時間や空間でもいいですので与えることを意識されるとよいと思います。手の届く範囲内での自由行動の許可、自分で今度の家族旅行先を決めてくること、お小遣いや携帯使用料の管理など、いろいろと工夫はできると思います。
タロットでいえば「手品師」ということになるのかもしれません。創意工夫と興味や関心、実験、自分で世界を構築する、あるいは体験する第一歩というのが肝心で、「手品師」のカードがそれを示していますね。

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