タロットから見る、逃げるが価値(勝ち)。
「36計逃ぐるに如かず」という中国のことわざがあります。簡単にいえば「逃げるが勝ち」てことです。
これは意外と皆が忘れている重要な戦法だと思います。
戦法といっても、別に本当に戦うのではなく、人生における対処法ということで考えた場合です。
ところで話は変わりますが、カモワン版マルセイユタロット(以下、カモワンタロットと略称します)ではカードの人物の視線や動きの方向性を重視します。
ですからリーディング時には、視線を持つカードとその視線方向にある二枚のカードとの関係にも注目する必要があります。
たとえば「愚者」というカード。
向かって右方向に視線を持ち(正立時)、その方向への移動を示唆しているように見えますので、「愚者」は、その右側に来たカードの人物や事柄に向かって動いて行っていると読みます。
カモワンタロットを習う初期には、この「愚者」のことを「とこかへ向かう」存在だと認識します。それはそう最初に教えられるからであり、正しいことでもあります。
しかし、「愚者」は愚か者と書くように、そうそういつも明確な意図をもって目的地に向かっているとは限らないのです。
「愚者」のカードの正立時において、その愚者の移動していく方向は、視線を向けている右方向(カードを見ている人から向かって)になると先ほど述べました。
しかし、この場合、必ずしも愚者の右方向に存在しているものにひきつけられているということを意味するのではありません。
反対の左方向のカード(の人物、内容のこと)から「逃げている」「逃れている」ととらえることもあるのです。
「愚者」の逃げ足は速いです。(笑) またそのエネルギーには膨大なものがあります。
「愚者」は楽天的で、何物にもとらわれない、気にしないという人物であるので、逃げることもまったく厭わないのです。
逃げたらかっこ悪いとか、プライドが許さないとか、逃げないで立ち向かうことに意味があるのだとか、そんな小難しいことは考えないから「愚者」なのです。
「とにかくヤバイと思ったら逃げる」「命あっての物種」「君子危うきに近寄らず」「無理してドツボにはまるよりまし」「無駄なエネルギーを消費するより、スタコラサッサと逃げて別の所でエネルギーを使うほうが効率的だろ」・・・こんな声が愚者から聞こえてきそうです。
ロールプレイングゲームでも、自分やパーティー(仲間)ではとうてい相手に実力的に勝てないと思った時、いったんは退却するという選択肢が必ずあります。
もちろん逃げてばかりだと、ゲームですら、自分(の力)を成長させることはストップしてしまいますから、なんでもかんでも逃避を続けてしまうことは問題です。
でも無理して全滅したり、また一からやり直したりするよりも得策なこともあります。
特に男性は変なプライドを重視して玉砕してしまう傾向がありますから注意してください。
あえて無茶して自滅することを、逆に「一生懸命、死にかけになってやっているオレ、かっこいい」と勘違いしているドMな方が日本では多いので、それが効果的かどうか、意味があるのかどうか、もう一度冷静な目で見てみる必要性もあるでしょう。
今回は述べたことはふたつの意味があります。
ひとつは、カモワンタロットの視線カードの読み方の別例を提示したこと。
そしてもうひとつは、「愚者」のカードを例にして、人生には一時的には逃げてもよい場合もあるのだという発想を持つことをお話しました。
面白いですねぇ。
勉強になります。 ますます興味がわきました。
これは同感しました。我慢が美徳になってますが、当たり前だと思わされていても、やはり自分はごまかせませんので、知らずに怒りを抑圧してるかもしれません。例えば自分からストレスのある状況から、意識してドロップアウトをしても、罪悪感に負けず、心も身体も元気なら、後々何でも出来ると思えます。
>癒しのalohaさん
コメントありがとうございます。
カモワンタロットはまだまだ興味深いところがたくさんあり、私も日々発見と学びの最中です。
>きりさん
その通りだと思いますね。我慢することが一時的な手段ではなく、いつの間にか目的になってしまっている方もいますね。「耐えることであとでいいことがある」と思いこむので、「負荷があればあるほどその分幸せが待っている」となって、マゾ化してしまうように感じます。
>タロットであなたを変える 宮岡和宏さん
我慢することが目的になるって、そう言われればわかります。言われなければ気づかないかもしれません。こちらのブログ見させて頂いてますと、頭の中の散らばったような混乱が整理されるような感覚があります。
>きりさん
そうですか、このブログが少しでもきりさんのお役に立てば、私もうれしく思います。