選択の自由のためには。
私たちの時代はかなり自由になり、多くの部分で自己選択ができるようになりました。
とはいえ、勝手に望むままに選択できないものもあります。まずは親とか幼い頃の生育環境や学校生活などが挙げられますし、社会に出てからも、いろいろな事情でそう簡単に選べないものもあります。
しかしながら、いわば人類の歴史は自由(選択)の獲得の歴史であったと言ってもよい部分があります。
奴隷制度からの解放、市民社会の成熟など見ていけばそれはわかります。(霊的には実は奴隷制度は続いていると見えるのですが、それはまた別の話にします)
人類全体として、自由に選択できる幅を増やしてきたわけですから、今いる私たち、あなた自身も、先人たちに敬意を払う意味でも、もっと自由に選択を考えてもよいのではと思います。
自由になるには、逆に自分の制限や枠、幅を知ることが必要です。囲いがなければ、もともと自由なのですから、自由という概念すらも想像がつきません。
おそらくタロットの「愚者」はこの「自由概念」すらない存在なのだと私は思いますが、それはさておきです。
人が選択の幅を広げられず、ひとつやいくつかのことでこだわってしまうのは、現状を超える考え方や見方ができないからです。
それは今の自分の枠の中(自分の想定している世界観の中)にいるからだとも言えます。
問題のない時、チョイスに悩んでいない時は、マルセイユタロットでいえば「世界」のカードは正立して安定しています。それは裏を返せば「吊るし」の正立でもあります。
つまり、現状の自分の世界観ですべて応対が可能な状態なのです。この世界の中で起こることに対しては、選択もこの世界においては自由であり、迷いなく可能となっています。
ところが、ある日、ある時を境にして、その世界観を超えた現象が起こります。これが問題や選択の迷いにつながります。
いわば、あなたのこれまでの常識では対応できない事態が生じたのです。それは言い方を変えれば、あなたの世界観を壊す出来事が生じたと言ってよいもので、あなたの今の世界では処理できない異分子・異端であり、反逆者が現れた(ように見える)のです。
その時、あなたは反逆者と争い、鎮めようと手を焼き苦しみます。こうしてあなたの世界観は、あなた自身を小さな「世界」に閉じこめる「枠」になります。これは「吊るし」の逆状態でもあるのです。
すなわち、これまでのあなたの考え方・見方では自分を縛るだけになり、狭い世界に閉じこめられ、非常につらい状態になるのです。
具体的な例でいうと、この仕事でしか生きられない、この人としか恋愛できない、この人と離れるとすべてが終わる、この場所が唯一の私の居場所、ここにいるのは仕方ない・・・このように思っている限り、狭い世界からの脱出は難しいのです。
また脱出しようにも、「どうしようもない」「考えが思いつかない」「しがらみでがんじがらめ」ということもあります。
結局のところ、あなたのこれまでの常識を破る必要があるのです。「常識」を破るといえば、「非常識」を採用するということになります。それはかなり勇気のいることであり、さらには自分一人の思いつきでは難しいかもしれません。
だからこそ、私たちはこのように多くの価値観を持つ人々の間で暮らしているのです。この広い世界では、あなたが現状で「非常識」と思う世界観で「常識」と思っている人もいるのです。
狭い世界と牢獄から抜け出すのは、自身の考え方の変化・変容にあるのは間違いないのですが、ただ一人で変革ができるほど簡単なものではないこともあります。
ゆえにマルセイユタロットでは「変革」をもっとも象徴する「13」のカードの次に、救済を意味する「節制」の天使のカードが来ており、吊るし「12」の次は「13」にもなっているのです。
つまりは人に救いを求めるか、人によって救われるかということになります。
人ではない場合は、自身の世界観・価値観を壊す衝撃によってそれ(救済)は起こります。それが試練と呼ばれるつらいことになるケースがあります。
いずれにしろ、先に自分の枠に気がついていれば、もっと楽に解放や次の自由選択の意識を獲得することができます。
そのことは、幸せを感じることの拡大にもつながるのです。これについては、さらに次回で書いてみたいと思います。
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