願望はたくさんあり、移ろうもの
タロットを学んでいる人では、大アルカナと小アルカナの意味と言いますか、レベルのようなものが違うことはご存じだと思います。
もっとも、同じ階層で両者を扱うこともできるので、一概に大と小で異なるとは言えませんが。
それで、まあこれもひとつの考え方に過ぎませんが、私の中では、マルセイユタロットにおいては、大アルカナそれ自体、そして小アルカナそれ自体にも階層やレベルがあると見ています。(正確にはそういう見方ができるということです)
それらを考察していますと、まるで人間の中にもそのような(異なる)階層・レベルがあることがわかってきます。
そうすると、人の願いや思いというのも多層だとみなすことができます。この考えに立てば、あなたの今の願望とか欲求、さらには尊いと思っている気持ちでさえも、実はたくさんあるの中のひとつに過ぎないということも言えるのです。
さらに、人間には一生がありますから、自分の年齢や世代によっても思いは移り変わります。それくらい、自分の思いというものはひとつではないですし、移ろいやすいものなのです。
そして、人は自分の思いや願いに対して、それが叶ったり、満足したりすることを望みます。まさに「願望」という文字のごとしです。すると、その願望を満たす答えや方法というものを探し、よい結果を求めます。逆に言えば、結果とか答え(への評価)というのも、自分の抱く願望によるということになります。
何が言いたのかと言えば、現実に対して抱く思いも、自分の願望によるところが大きいということと、その願望は永遠に変わらないものではなく、むしろ移ろいやすいもので、しかもたくさんの思いの中の少数であるということなのです。
現実が願望によるところが大きいのなら、あなたの今の現実(への評価)は今の願望によってできていると言ってもいいのです。
ですから、生きづらさを抱えている人は、願望や思いの種類とか性質を変えてみると、少しはましになるのではないかと思うのです。それは、マルセイユタロットに描かれている階層やレベルで整理していくと、さらにはっきりするのです。
自分の今の思いは、どの種類でどのレベルのものか、それがわかりやすくなれば、願望を叶えようとする行動も取りやすくなりますし、また、それ(その願望)は、本当は今は必要ないなという気づきが得られれば、願望を満たされる・満たされないの葛藤からも解放されますので、すっきりするというわけです。
今のこの世の中は、経済中心主義みたいになっていますので、売り買いを促すというものが行動や心理の原理原則として働いていることがあります。すると、私たちは「買いたい」「持ちたい」という願望を無理にもたされている部分もあると言えましょう。
要するに、洗脳的に他者から刺激を受けて願望をもたされているということが多いのです。自分の願望だけでもいろいろとあるのに、他者からの押し付けられた(生み出された)願望も増えれば、それらを満たすためには、大変なエネルギーがいることは誰にでもわかるでしょう。そりゃ、心も体も消耗するはずなのです。(笑)
マルセイユタロットの「13」のように、シンプルに願望をそぎ落とすことも、人生を乗りこなすのには必要なことかもしれません。
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