タロットの学び、活用、タロットリーディング
タロット、特にマルセイユタロットを扱う者は、多種多様な世界や人の階層を、タロットが統合したり、逆に分離したりして、それぞれのレベルの違いを認識することに役立てられることを知る必要があります。
タロットは一般的には占いの道具と見られていますし、タロットを自分自身のために使うことは少ないのが実状です。
タロットを習う人も、タロット占い、もしくはタロットリーディングを他者にすることで、タロットが役立てられることを思っています。
そして、それを仕事にし、経済的手段のひとつとして見る人もいます。
それ自体は悪いことではありませんし、タロットの多様な使い方のひとつと言ってもいいでしょう。
しかし、そればかりをやっていると、タロットは他人を占うもの、他人のために(現世利益や現実・精神をよくするための)アドバイスするものというレベル・次元の中に留まり続けます。
他人へのアドバイス、特にお金をいただいて、仕事としてやるということになれば、人々の具体的・現実的悩みに対処し、それへの適切な答えをタロットから出すようになるのは自然でしょう。
抽象的なアドバイス・答えでは、クライアントはお金を支払った以上、本来的には満足しないと思えるからです。
言い換えれば、払うお金に見合った価値の答えや役立ち情報がほしいと思うので、より、自分に合うもの、すなわち、自分にとって大事だと思う情報を求めるわけです。そして、タロット占いをする者、タロットリーダー側は、それが求め“られる”ことになります。
より自分にふさわしい情報とは、個別的(自分にとって具体的)であるという意味になるでしょう。
それは、現実・物質次元を中心とする情報か、個別(クライアント個人)の精神・心に響くものになります。
つまりは、他人リーディング、他人占いをメインとしていると、どうしても個人的なレベル・次元でタロットに接してしまうようになるということです。
個人のセラピー・癒し・浄化・整理などの意味では、個別レベルで見て行かないと解決しないことが多いので、それも当然です。
けれども、個別次元に注視し過ぎると、霊的次元、全体性や高次の魂レベルの話に関心が行きにくくなるのも確かです。
しかもタロットカードの意味が、吉凶的なものとか、特殊で個人レベルの意味が汲み上げられ、普遍的で統合的なレベルの意味、指標から離れてしまうことになりがちです。
もっと言うと、タロットから学ぼうとする意思が弱まり、他人に役立てていることへの自己満足で終わり、新たなタロットからの示唆も、個別レベルで出てきた意味を獲得するだけの新しさ・好奇心レベルに留まってしまう危険性があるのです。
要するに、タロットを通して、低次から高次へと自分自身を高めていく道程をたどれなくなるということです。
従って、いまだタロットが霊的・統合的レベルに通じて行く、極めて有効な象徴カードであることがほとんどの人に知られさておらず、そういう形でタロットを使おう、学ぼうとする人も少ないのです。
ただ、逆に、やたらと自己向上ばかりに目を向け、他人リーディングを避ける人もいます。
これはこれで、タロットを感情レベル・個別レベル・現実レベルで扱えることの実感を得ることができず、一人一人の悩みに実際にタロットを使って答えていくことで、相手(クライアント側)だけではなく、ほかならぬ読み手(タロットリーダー側)自身の感情・個別的なものに向き合うことになり、逆に、自分にも他人にも通じる普遍的なタロットの表す元型への示唆につながって、統合的・霊的レベルに目を向ける効果も見出せるのです。
ところで、中にはタロットは学ばなくてもよいという人もいます。
それは、タロット占いが直感的にできていればいいと考えている人(それでできてしまう人)や、そのレベルでの経験しかないから言えることで、タロットの象徴や様々な背景の知識を入れて、普遍的な意味も把握したうえで、他人へのリーディングをしていくことで、気づきの階層(次元・レベル)が分離と統合を図り、より深遠な理解につながっていくことが認識されていないのです。
一見、正しいこと、正解と思えたものも、レベルや次元が変われば、その逆になることもあり得ます。
いろいろな知識がないと、そうした混乱を整理することができません。
ということで、自分のためにタロットを学びたい、活用したい人も、他人へのタロットリーディングをしてみたほうがよいですし、反対に、タロット占いとかタロットリーディングをメインにしたいという人も、もっと自分を成長させ、他人を解放に導くためには、タロット(や、あらゆる)知識を継続して学ぶことも重要になるのです。
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