心理的タロットの活用
タロットを自己活用するという使い道があります。
一般的には、タロットは占いの道具だと思われていますので、もっぱらタロット占いをして、他人のために何らかのアドバイスをするという活用方法が多いかと思います。
たとえ占いではなくても、他人に対してタロットリーディングをするという形式も、誰かのために行うということでは同じですよね。
これに対して、自分のためにするものがタロットの自己活用です。もちろん、自分への占いをしたり、リーディングしたりする方法も自己活用としてはあるわけですが。
タロットの自己活用の方法は、実はあまり知られていないですし、テキストとか本なども、そのテーマのものはほとんど見かけません。
また人間というものは、物質社会中心で生きていますので、実用的なものに価値を置く傾向もありますから、いわゆる(現世利益的な)願望実現へのツールとしてタロットを使う場合もあります。
まあ、経済的に豊かになりたいとか、よい人と巡り合っておつきあいしたいとか、そもそも幸福で運のいい人生を送りたいとか、バリバリの現世利益を求める人は、実際にはタロットを活用する方は少ないかもしれませんが、それでも、自分の人生を少しでもよくしたい、思いをかなえたいという目的でタロットを使うということはあるでしょう。
従って、現世利益を望まなくても、例えば、心理的に楽になりたいとか、穏やかに生きたいとかの意味でもいいわけですし、自己の成長に、自分を見つめ、整理し、統合していくための使い道も、タロットではあると考えられます。
一方で、その使い方の内容・種類ですが、大きく分けて、占い的、魔術的、心理的、さらに霊(魂)的な見方と技術によるものがあるように思います。
いろいろな意味で効果が高いのは、おそらく(西洋)魔法的なものですが、これはサイキック、心霊的な世界と関わることになるため、そういう世界を良く知り、コントロールできる師匠的な人物の指導のもとに行わないと、危険でもありますし、実際の効果も低いでしょう。
占いは現実の人生では実は活用度が高いものの、依存を発生させたり、狭い世界観の中に囚われてしまったり、悪いと決めつけた事象・エネルギーの反動を受けたりして、のちのちに厄介な状態をもたらすことがあります。
一方、霊的な活用というのは、具体策としてはわかりづらいので、一般的ではないと言えましょう。
ということで、一番安全で、結構、(タロットの自己活用で)効果的なのは、心理的なメソッド・方法ということになると思います。
特に、マルセイユタロットはユング派と関わりが深いので、マルセイユタロットを使って、ユングの言う、個性化とか、自己の統合を図るのに役立てられると考えます。
難しい言い方をしなくても、要するに、自分を知る道具にするということです。
実のところ、自分を知ろうと作業を続けて行くと、他人や世界をも知っていくとこになるのです。個人的なことと普遍的なことが結びつくとでもいいましょうか。
それに自分を知っていくと、自分を悩ますものに対して理由を知ることにもなって、人間、「わけがわかる」と、安心したり、物事のコントロールがしやすくなったりしますので、より自分らしい生き方ができるようになってきます。
自分らしい生き方とは、つまるところ、無理のない生き方ですので、まあ、楽になっていくという人もいるわけです。
しかも、タロットは違う分野とレベルを結びつけることができるので、時間と場所を超えたモノの見方、知識、感覚も入り、最終的には何らかの霊的覚醒とか気づきを導いていきます。
これは自分一人の時代(人生)で言いますと、終活、つまりは死へ向けた準備にも相当するのです。
心理的な意味でタロットを自己活用する場合、大アルカナを使うのがよく、大アルカナを素直に、知識のない状態の時から眺めて、起こる映像、言葉、感情などを記録していくのがいいでしょう。
そして、一枚一枚の細かな象徴の意味や背景、歴史などを知識部分として入れていくことで、論理的(ロゴス的)で普遍的な見方が呼び起こされ、それ以前の自動(受動)的、感覚的な見方のものと矛盾を起こしたり、逆に意味がよくつかめたりすることが起こります。
この知的な学びの段階がないと、単なるカードの印象だけでは、心理的にも活用が難しくなります。
こうして、学びの段階別に、何度も大アルカナと対話していくことで、自分の中に隠された様々なものを浮上させ、受け入れ、時に壊しつつ、再生、復活、再統合、創造していくことになります。
これは自己の拡大であり(また別の意味では収斂でもあります)、宗教的なたとえで言えば、天使や神(仏)との邂逅なのです。それは「審判」がもっともカードとして象徴しているかもしれません。
このような作業は、願望実現的(現世利益的)には役立たないかもしれませんが、自分の実際の人生も、心の広さとか整理の度合いによって決まってくるところがありますので、心理的タロットの自己活用は、現実的にも決して無駄ではないと思えます。
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