原因と問題、タロットリーディング
タロットリーディングでもそうですが、問題の原因がわかると、対応策・解決策も出しやすいですし、人は安心できます。
しかしながら、必ずしも原因がわかるとは限りません。
病においても、現代医学でさえ原因がわからないことは結構あるものです。
いや、すべてに本当は原因と言いますか、問題が起きている根本的な理由というものはあると考えられます。
それでも、その起こっている現象の原因はひとつではないかもしれず、たいていのものは、様々な要因がからんで、結果として出てきているのではないかと思います。
とすれば、原因追及というのが、問題解決の最善とは言えないこともあるでしょう。多くの要因をすべて明らかにすることは難しいからです。
また、たとえひとつの原因だったとしても、それがわからないことも、実際的にはあるでしょうし、原因が発見できたからと言って、現象が消えるとは、また言えないことでもあります。
ところで、マルセイユタロットの「月」というカードがあります。
このカードの象徴性に、あやふやなこと、はっきりしないことというのがあげられます。
このことから、時には、そういう(はっきりしない)状況も受け入れたほうがよいことを言っているとも考えられます。世の中、白黒つけられることばかりではないからです。
一方、「月」と同じ「8」という数を持つ大アルカナカードに、「正義」があります。
面白いことに、「正義」の場合、「月」とは真逆の、それこそ、白黒決着がつくような、明確なものを示唆します。
「正義」と「月」は同じ数でつながりながら、反対の意味合いにもとれるのです。(ただし、やはり同じ数を持つ共通性もありますが、今回はそれについては省きます)
今回言いたいのは、原因を求めて(はっきりさせて)の解決策という視点ではなく、状況(現象)を受け入れ、その状況と、どう向き合うか、つきあっていくか、あるいは、原因追及はせず、起きている問題・現象そのものを、とにかく改善したり、生活ベースにおいて気にならなくしたりするようにしていくことに重きを置く対応も、必要な場合があるという話です。
さらに、そのことは、最初に出した、タロットリーディングにおいても言えることだと、つけ加えておきたいです。
「こういう原因でそれが起こっている」と知りたいのは山々ですが、知ったところで問題が解決するわけではないこともあるのは、前述した通りです。
そこで、タロットリーディングにおいても、ふたつの方法が考えられます。
1.原因追及的アプローチをするのではなく、先述したように、原因はともかくとして、どう対応するかに重点を置くリーディングをする方法
2.原因それ自体は本当ではないかもしれないが、ストーリー(物語)として、あえて原因をタロットから読み、その解決策もタロットから、一連の(クライアントの)ストーリーとして創作的リーディングを行うという方法
1はわかるかと思いますが、2はどういうことなのか?と不審に感じる人もいらっしゃるでしょう。
実は、私の思うところ、タロットリーディングというのは一種の創作であり、クライアントと一緒に、リーダーがクライアントにふさわしい物語(ストーリー)を、タロットというツールを駆使して作り上げる行為なのです。
創作物語なので、極端な話、嘘のこともあり得るわけです。正確には、真実か嘘かはわからないというところで、結果的に、クラインアントの問題が解決したり、よい方向に行ったりすればOKというものです。
ただ、タロットはその象徴世界において真実だと言えますから、出たカード(の意味するところ)がまったくの嘘であるということはあり得ないというが、タロッテイスト的な考えになります。従って、クライアントに何らかに関係するカードは出ているはずなのです。
けれども、それを脈絡のある話として作り上げられるかは、また別のことです。ですから、カードは真実であっても、ストーリーそのものは嘘であることもあるわけです。
とは言え、嘘か真かは、問題とその解決(癒し・気づき、改善も含む)においては、さほど重要ではないのです。それは原因がわかることと、問題現象の解消とは別であるのと似ています。
要は当人が楽になればよいので、真実か嘘か、原因がわかる・わからないは、実質、関係ないのです。
それでも、クライアント・カードの当事者が納得するには、それなりの物語性が要求されます。でたらめだと、やはり、説得力に欠けます。
先述したように、タロットが本来、当人や問題と関係あることを必ず出す(表している)というのなら、すべてデタラメになることはないです。ですから、タロットカードは、説得(納得)感あるストーリーを作りやすいわけです。
ここまでは、原因追及をしない話を主にしてきましたが、当たり前ですが、それは絶対ではなく、原因追及をしたほうがよいケースもあります。むしろ、その方がノーマルかもしれません。
ただ原因そのものも、タロットリーディングにおいては、ストーリーを作るもの(素材)であるので、それが事実かどうかはあまり重要ではないこともあります。
原因がわかれば、ほっとし、安心できることで、現象は消えなくても、悩みがほぼ消えることもあります。
あるいは、問題そのものが消えることがないとわかったとしても、よい意味のあきらめ(諦観)で、問題状況を受け入れ、うまくその状態と折り合いをつけ、原因がわからず悩んでいた時よりも、積極的に生きていくことができる場合もあるでしょう。
原因追及がよいかどうかは、まさにケースバイケースと言えます。そして、タロットリーディングにおいては、さらに、ストーリー創作の要素として、原因が本当か嘘かも、あまり関係ないこともあるという話でした。
コメントを残す