人からタロット、タロットから人

今日のは、前回の記事にも関係するものです。

以前、「質問(問い)なきタロットリーディング」の話をしました。

これは、あえてタロットに質問や問いをすることなく展開し、その展開された内容から、逆に自分(クライアント)が問いたかったものを見つける(知る)という性質のものです。

普通のタロットリーディングとかタロット占いは、質問することがあってからカードを引きます。そして、問いとカードの意味を照らし合わせて解読したり、占ったりするわけですが、その逆方向のスタイルが、問い(質問)なきリーディングと言えますね。

ところで、タロットカードの読みにはいろいろな方法がありますが、方向性で分けると、人からタロットの方向性と、タロットから人への方向性のふたつがあります。

このうち、人からタロットというのは通常のスタイルで、先述したような、問いとかテーマがあって、それをもとにカードを展開したり、引いたりする方法です。

もうひとつのタロットから人への方向性は、問い・テーマなしで、タロットを引いて、タロットが示すものを人が受け止めるという方法になります。

そして、このふたつの方向性は、問いのあるなしに関わらずに存在します。

それは、普通のカードの読み方である、出たカードの意味を問いに重ね合わせるという方法と、リヴィジョンと呼ばれる、タロットカードが呈示するものをもとに、問いやテーマを見ていくというふたつの方法です。

実は、タロットリーダーにも、このふたつの方向性のどちらかに、向き不向きがあるように思います。

タロットを人格(人間)的に、より扱える人は、タロットから人への方向性が向いており、その逆に知識や理論が好きな人は、人からタロットの方向性が合っているでしょう。

さらに言えば、直感性や受動的なスタイルで、タロットからインスピレーションを得る人、チャネリング傾向を持つ人は、タロットから人への方向がよく、反対に、読む人間が主体性を持って、コーチング的にアドバイスをしていくようなスタイル、または占いで、カードよりも占い師の言葉(の解釈)にインパクトや特徴を持つタイプは、人からタロットの方向性が向いているでしょう。

もちろん、シチュエーションにより、方向性を変えて、両方技術として持っていてもよいです。

スタイルに向き不向きがあるとは言いましたが、あえて、自分が合っているものとは逆のやり方を時々採用したほうが、タロットリーディングにおいても、自身の統合を働かせることができます。

特に、普通は、人からタロットへの方向性で読む人が多いので、その反対の、タロットからの声を聴くようなスタイルを意識してやってみてもよいでしょう。

その場合、問いとかテーマは、あまり強く意識しないほうがよいです。

重要な案件とか、問題としてとても意識しているような時は、どうしても、問いを強く設定してしまいます。

例えば、恋愛の問題とか、仕事(職)での転機とか、人間関係で困っているというなケースは、問いを意識しないわけにはいかないでしょう。

ですが、それでも、あえて問いから少し離れ、とにかくタロットカードを引いてみることです。一枚引きくらいの少ない枚数でも構いません。

そして、こういう方法(タロットから人への方向性)を取る時、大アルカナを使う(マルセイユタロットの場合)ことをお勧めします。大アルカナは絵柄がはっきりしているので、タロットからの意思を感じとりやすいからです。

例えば、マルセイユタロットの「13」が出たとします。

通常は、問いに対して、この13の意味をあてはめたり、図像のどこかを関係させたりして、読み解きます。

しかし、タロットから人への方向性だとタロットが主体ですので、問いやテーマはひとまず置いておき、カードの印象とか、カードそのものを人間のように見立て(人格化し)、まるでカードがしゃべっている、あるいは何か動きをしているようにイメージします。

まさにカードとの対話と言ってもいいですし、カードが、舞台に出て何か演目をやっているように見立ててもよいです。

そうすると、自分の中にカードの声とか動きが伝わって来るような気がします。

そのカードがどんなことを言っているように思うか、どんな動きをしているように感じるか、何をあなたに告げようとしている気がするか、そんなようなことを感じて(想像して)みます。

それは、カードにセリフを言わせるような感覚でもあります。

13のカードは、なかなか強烈な印象を一般的には与えますが、人からタロットへの方向性だと、無理してポジティブな意味を(人が)捉えようとしてしまうこともあります。

しかし、タロットから人への方向性では、タロットから来る怖いという感じがもしあれば、その印象をそのままにしてその怖さをもとに、13と会話してみるのも一興です。

「おれが怖いのか?」と13は言って来るかもしれませんが、その(会話の)続きは、自分が思っていたより面白いことになるかもしれません。

また人によっては、怖さとはまったく違う感覚とか言葉を、あなたは13から聴く(感じる)こともあり得ます。

最終的には、タロットとの会話の結果、実は問いの答えになっていたとか、問いへの大いなる気づきがあったとかになることがあります。

さらには、通常の、人からタロットへの方向性のやり方の場合と、同じ答えになることもあります。

要するに、これはルートが違うだけで、本質的には同じものなのです。

ただ、違うルートを通るというそのこと自体が、重要な意味をもっていて、そのことを意識化すると、私たちの世界(言い換えれば自分の意識)が単一ではないことに気づくようになってきます。

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