自分リーディング、他人リーディング

私は占い師ではありませんので(占い店で占い師の経験はありますが)、自分占い(自分のことについて占うもの)が可能なのかどうか、それについては言えません。

しかし、経験上、自分占いはなかなか難しいことだと思っています。

それと同様に、自分のことをタロットでリーディング(自己リーディング)するのも難しいという話があります。

それは確かにそうでしょう。

一般的に、自分のことを見る場合、文字通り、主観ですから、逆の客観にはなれず、中立・冷静に判断することは困難と言えます。

一方で、自分だからわかる(自分のことは自分が知っている、他人にはわからないところがある)という点もあります。

だから、このふたつのいいところを取れば、普通に質問者(問いをする者、クライアント)とタロットーリーダー(タロットを読み、クライアントを導き、支援する者)に分かれてリーディングという行為がなされればよいことになります。

つまり、「客観」としてのタロットリーダーの示唆によって、自分でしかわからない「主観」としてのクライアントの問題が、まさにクライアント自身で気づくことになるというわけです。

よく「答えは自分の中にある」と言いますが、たとえ自分が答え持っていたとしても、それが答えであるのかは自分一人では実はわからず(気づかない、またはどれがよいのかわからない)、結局、他人との共同作業によって答えが見つかる(答えだと気づく、答えだと決める)のです。

これが分離しているのが基本の、現実社会の仕組みのひとつと言えましょう。分離しているからこそ、自分と他の人との融合によってたどりつけるものがあり、それが(あるテーマにおける一時的な)統合でもあるのです。

人は完全性(神性)や宇宙を内在させているとスピリチュアル的には言えますが、だからと言って、実際(現実)では、覚醒している全人的状態ではないので(分離・個の状態)、簡単によい答えが一人で見つかったり、一瞬で全能・幸福状態になったりしないのです。(一人でなれる場合でも、必ず、何らかの別の要素があって完全性が訪れます)

男女のペアなどが顕著ですが、例えば愛し合うカップルが至福感に包まれることがあるのも、男女統合による「全」的なものに移行する瞬間があるからです。

逆に言いますと、私たちは常に片割れ感、分離感があり、それは不足感のもとにもなって、モノや愛情など、電気のプラス・マイナスのように求めてしまうのだと言えます。

このあたりは、マルセイユタロットの「恋人」カードや「節制」が物語っているように思います。

何が言いたいのかと言えば、私たちは、この分離感によって悩むようできている存在だということと、だからこそ、一人だけでもがいていても解決しないことが多いという話なのです。

もっと言えば、一人引きこもっていても余計つらくなることがあり(ただ「吊るし」のように一人で籠る防御も必要な場合はあります)、他人、もしくは違う場所、環境、考え、思いなどにふれていく(交流する)ことで、統合的状況が訪れ、その問題やテーマにおいては満足する(つまり解決であり、完全性に戻ること)可能性が高まるでしょう。

私は、マルセイユタロット講座において、タロットリーディングの技術と意味をお伝えしていますが、他人リーディングに興味がなくても、少しは他人に対してリーディングしたほうがよいことをお勧めしています。

その理由は、上述したように、主観だけでは成長は難しく、客観が必要だからで、他人をリーディングすることにより、反対に、よりカードや自分のことがわかる場合があるからです。

もちろん、「自分のことは自分でしかわからないことがある」とも言ったように、自分自身で自分をリーディングしたからこそ気づくこともあります。

ただ、多くの人が誤解していますが、他人リーディングの技法(例えばタロットの展開法など)をそのまま自分リーディングに適用しても、難しいものがあるのです。

自分リーディングと他人リーディングは別モノです。

だから、自分を見るには、それなりの方法を取らないとなりません。その方法や要点は、私の動画(受講生用)や講座でお伝えしています。

マルセイユタロットを扱ってきますと、私たちがいかにひとつの視点でしかものを見ていないのかがわかります。

少なくとも、両方向は必要ですし、さらには、三つ、四つの視点も入れて、多角的に見ることで、物事の本質が浮かび上がってきます。

タロット占いでは、視点とか価値観がひとつであることが多いので、どうしても画一的なものになり、また二元的な良し悪しで判断してしまう傾向が強く出ます。

タロットの意味も、「単語」として覚えてしまって、「象徴」という機能が使いこなせないことになりますし、最初に述べたように、自分を占うことができにくくなります。

やはり、占いではなく、タロットリーディングとして、様々な視点、観点、見方を持って、考察していくことが、よりタロットを活かすことになろうかと思います。

自分へのリーディングも、技法を変えればできることになります。(ただし、占いのような、いい・悪いの鑑定・判断を求めると、自分リーディングも困難になるのは言っておきます)

最後に、ひとつ、意外に小アルカナは自分占いには使えるということは指摘しておきます。

実は大アルカナは自分を見るのに不向きなところがあります。しかし、逆説的ですが、真の意味では、大アルカナは自分を見るためにあるのです。

何を言っているか、わからないかもしれませんが、あえてそんな不思議な表現をして、今日は終わります。(笑)

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