小アルカナとシンプルな選択方法
タロットは何かを決める時には、よく使用されます。
タロットリーディングの問いにおいて、決め事(迷いからの選択)の相談は、かなりポピュラーと言えましょう。
もっとも、前にも書きましたが、私自身は、決め事にタロットを活用することがほとんどありません。その理由は、それにあまり意味がないことを知ったからです。
意味がないというのは語弊がありますね。ここでの「意味」とは、自分自身(私)における意味ということで、意義に近いものです。
日常生活での何かの選択というレベルでは、私が求めているタロット活用とは異なるのです。しかし一般的には意味があると言え、人によっては結構重要なことにもなります。
さて、タロットというのは、伝統的なスタイルを持つものは、普通、78枚を一組にして、大アルカナと小アルカナと呼ばれるパートに分かれています。
このうち、小アルカナは56枚あり、コンセプトとして、4つの組に分類できるようになっています。すなわち、剣・杯・杖・玉(一般的にはソード・カップ・ワンド・コインと英語で呼称)の4つです。
大アルカナと小アルカナでは、扱う(象徴する)レベル・範疇が異なります。
マルセイユタロットの場合、特に小アルカナの数カードは、他とは絵柄が違い、シンプルで記号的なデザインになっています。
そのため、かえって、小アルカナのコンセプト、4組がわかりやすくなっており、見た目ですぐに違いの判断ができます。
ただし、「剣」と「杖」の組は、一見よく似ているので、初心者は間違うこともあるでしょうが、その特徴をつかめば、分けるのは視覚的にも簡単になってきます。
もし、マルセイユタロットのデザインに意図があるとすれば(私は意図があると考えていますが)、わざと4組がわかりやすいようにデザインされていると見ることも可能です。
ということは、数カードは、特に4組を意識して使うものという解釈もできます。
さて、最初の決め事や選択の話に戻ります。
何かの選択(肢)で迷っている場合、意外に大アルカナでは判断しづらいことがあります。
それは、大アルカナの絵柄が絵画的に描かれているため、一枚一枚が色々なもの(意味)に見えてきますし、ましてや複数枚ともなれば、相反する意味やニュアンスが読み取れることもあり、いったいどっちなのか?、どれがよいのか?と、かえって迷ってしまうわけです。
こうしたことを防いだり、もっと単純に選んだりしたい場合、小アルカナの4組のコンセプトを利用し、それが如実に表現されている数カードを使うとよいわけです。
さらに言えば、数カードの中でも、絵も使って、4組の特質をもっとも表している「1」(エース)のカード、4枚だけでも十分、選択に使えます。
やり方は、極めて簡単、自分が迷っていることに対して、何をもっとも重視して選べばよいか?と思って、数カードエース4枚をシャフルして一枚出します。
当然、剣・杯・杖・玉のうちのどれかになります。
「剣」は、合理的なこと、客観的情報判断、「杯」は気持ちが満足、落ち着くこと、「杖」は行動、移動の観点、使命感によるもの、「玉」は経済的、実質的なこと、などをポイントとします。
例えば、「剣」は口コミとか他の情報、事例も加味して合理的なものを選択、「杯」はとにかく自分の気持ちが満足、納得することで判断、「杖」はやりたいことをする、行きたいところに行く、使命・情熱的なもので判断、「玉」が出たらリーズナブル、経済的に得なほうでの判断、などです。
一般的に、「杯」と「杖」は同じ「気持ち」的なことが絡むので、単純に分けられないかもしれませんが、「杯」は満たす、ひたる満足感であり、あまり動きがないのに対し、「杖」は動きがあり、その満足感は、目標に向かって進んだり、プロジェクトなどを通したりして、生きがい、やりがいを味わう(味わっている)ことで得られる類のものです。
よって「杖」の場合は、「杯」のように、必ずしも心が潤う、満たされるというものではなく、やっていること、選んだことに誇りとか情熱が持て、むしろ作業中の過程的なものに満足している(燃えている)ようなものと言えます。
あそこに行くのが目的で、それそのものが楽しいと思う「杖」と、あそこに行けば落ち着く、満たされる「杯」というものとの違いですね。
こうして4組、数カードを使えば、意外に迷っていたこともシンプルに片が付く場合があります。
この方法は、実は「決まる(決める)」以外にも、自分がいつも何を重視していたのかもわかり、自身の選択の傾向も見えてきます。
4組は現実生活のレベルにあり、だからこそ、小アルカナは実生活で役立てられるものです。なぜかと言えば、現実(生活)は分離された世界観の中にあるからで、それを西洋的に、古くから4つの分離された(ように見える)エネルギー、性質としてとらえてきたのです。
分離されているからこそ違いがあり、変化も見えます。まさに色々な世界なのです。ですから、迷いが出るのも当然です。
大アルカナ的には、その迷いや違いの世界にいることを認識して、統合的観点を持ちましょう、となってくるのですが、それでは、現実的にうまく適応しない場合があります。
現実世界は、言い方を変えれば限定的世界であり、その限定において、効率と良し悪しの価値観は生まれます。これを無視して、スピリチュアルな統合観点のみで現実世界を判断すると、無理が生じます。
そのため、タロットは小アルカナの世界を用意してくれていると考えられます。小アルカナを活用するのも、(実生活における)タロットの役立て方のひとつと言えましょう。
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