リーディング技術・内容

タロットリーディングの2階層

だいぶん以前に カモワンタロットにおけるリーディングの三階層についてお伝えしたことがあります。


あの階層は初級から上級者に向けて全員が通じることでありますが、これをすべて意識することは複雑で難しい点もあります。


そこで今回はもっとシンプルに、初学者にも、あるいはまだタロットの勉強を始めていたない方にもわかるバージョンで書いてみます。



それは単純なことで、二階層、ふたつの面から見ていくという方法です。


ふたつとは何か? 


これも様々な考え方はできるのですが、あえてわかりやすくして、モノ(物質・肉体)と心(精神・心理) だとします。


これでも抽象的かもしれませんので、さらに具体化しますと、クライアント(自分リーディングの時は自分)の思って(考えて)いることと、取れる(または取ってきた)体験や行動だと考えるとよいでしょう。


そうなるとむしろ階層というより、ふたつ並んだ並列のものを見るという感覚に近いです。


たとえば「愚者」というカードがあります。


心の分野(階層)で読むと、楽天的に、気楽な気持ちでとなり、実際の行動分野(階層)で読むと、旅をする、歩く、移動する、変えるというようなことになります。


これを組み合わせて読んでいけば、簡単ながらも複数のパターンでのタロットリーディングができるようになるのです。


この訓練は非常に大切です。


なぜかといいますと、タロットリーディングを行う人はどうしても心の分野に偏りがちになって、現実的な読み方ができない傾向があるからです。


言い換えれば現実を無視して理想論や心の状態ばかりを探ろうとし、具体的な今できる行動としての方策を提示できないということにもなりかねないのです。


最初から両面を見ていくようにすると、心と現実のつながりをリーディングできるようになる効果が期待できます。


ともすれば抽象的になり過ぎる嫌いのあるタロットリーディングを、最初から地に足の着いたものにしていくことができるのです。


「こういう風になればいいんですよ」とクライアントに伝えても、その方法、糸口がわからなければ「ああ、わかりました」で終わって、何も具体的な行動に移せないままになる場合もあります。


それを防ぐためにも、同じタロット展開の中からも、物と心、精神と現実、考え方と行動のふたつの面からいつもリーディングを心がけるようにするとよいのです。


カモワンタロット 連繋カードについて その2

昨日の続き です。

この前はカモワンタロットにおける連繋カードの基本的なことをお伝えしました。

今回は広い意味での連繋や、その他連繋カードを読む点において大切な観点などについてもふれたいと思います。

前回、連繋カードには大きく分けて二種類あると説明しました。

ひとつは同じ象徴(カードの中の象徴図形)を含むカード同士を連繋カードととらえるもの、そしてもうひとつは象徴図形だけはでなく、数や意味的なものまで含む広い意味での連繋です。

前者は単純に象徴であるを覚えて、それを展開されたカード群の中から発見すれば連繋カードを把握できるのですが、後者は単に象徴図形をとらえるだけではなく、タロットにおいての総合的な知識と智慧が要求されます。

たとえば前回でご紹介した「女帝」と「皇帝」における「鷲」を見つけるのは簡単です。

しかし「力」と「神の家」にも連繋が成り立つと説明しても、なぜこの二枚が連繋するのかわかりにくいでしょう。

以下、「愚者」と「星」、「女帝」と「太陽」、「正義」と「隠者」にもそれぞれ連繋が成立すると言ったところで、やはり理解が難しいと思います。

また今は二枚だけのつながり・連繋を指摘していますが、三枚や四枚、もっと多くのカードが連繋することもあります。

実は、結局のところ、すべてのカードは連繋カードとなりうるのです。

それでは意味がないではないかと思われるでしょうが、タロット、特に大アルカナ22枚が自分の、あるいは世界の鋳型であり、類型であり、象徴であると考えるならば、それはむしろ当たり前のことなのです。

しかし現実的にはリーディングにおいて、やはり連繋カードは具体的に見ていくことが求められます。

では全部が連繋の可能性がある中で、どれを取り上げらればよいのかということになりますが、それは連繋の連繋を見ることに回答があります。

つまり連繋カードの象徴性が、同じような意味において、他の連繋グループに登場しているかという視点です。

ある象徴を連繋させているカード同士とは別に、形は違っていたとしても、似たような象徴内容を表している連繋カードがないか注目するのです。

もし「拡大性」を意味する連繋が、違う連繋カードの組み合わせでも登場していたのなら、そのことは偶然ではなく、タロットの意志だと感じて、その問いにおける核心が「拡大性にある」と考えるのです。

そう、連繋カードというものは、実はタロット展開におけるシンクロニシティを見ることにほかなりません。

シンクロニシティを見るので、それは図形だけではなく、意味や色、時にはタロットから得られるイマジネーションや霊感のようなものでさえ含まれることもあるのです。

だから、客観的なものだけではなく、個別的な経験によってあるカードとあるカードが結びつく場合もあり、ほかの人にとっては連繋ではなくても、自分には連繋カードとなる可能性もあるのです。

とはいえ、やはりカードを信頼する限りにおいては、誰の目にも明らかなシンクロがあるものこそが主要なタロットからのメッセージだと考えるほうがよいです。

それから、連繋カードのパターンばかりを知りたがる人がいます。

もちろん最初のうちは、たとえば「手品師」の帽子と「力」の帽子が象徴連繋していると覚えることは重要です。

しかし、そのような形やパターンばかり暗記してもあまり意味がありません。

重要なのは、連繋カードにおける考え方、結びつき方(結ばせ方)、連繋カードを発見する思考方法を身につけることです。

そして、なぜ連繋カードを見つけなくてはならないのか、その意味を改めて考えなければなりません。

連繋カードを見ることはカモワン流メソッドの非常に重要な部分であり、根幹をなすものといってもよいでしょう。

これを無視していくと、いわゆる単なる霊感読みみたいなものになってきて、リーダーの一方的なものになり、さらには相手自身に気付いてもらうこと、納得してもらうということに対して著しく力を欠くことになります。それはもうカモワン流のリーディングとは言えません。

いろいろと述べてきましたが、結局のところ、連繋カードの基本は、大アルカナ一枚一枚について深く理解してくことに尽きると思います。


カモワンタロット 連繋カードについて その1

カモワンタロットをやっておりますと、よく質問されることがあります。


それは連繋カードのことです。


「連繋」とはまた難しい文字を使っていますが、要するにカード同士のつながりということです。


連繋カードの狭い意味では、同じ象徴(一枚のカードの中に含まれる象徴図形)を含むカード同士ということになり、広い意味ではカードが表す様々な事柄がカード同士でつながっていれば、それらも連繋カードだと解釈します。


前者(狭い意味)では同じ形(絵)の象徴を発見すればよいので、とても単純なことです。


しかし、実はカモワンタロットでは、同じような形の象徴ではあっても、どれも微妙に違っているのが特徴です。それでもやはりそれらは同じ象徴と解釈します。


たとえば、「女帝」における(「女帝」が手に持つ盾)の絵柄と、「皇帝」の椅子の足下にある盾に描かれているは、よく見ると少し絵が異なっていますが、やはり同じ「鷲」の意味として共通であり、象徴です。


ですから「女帝」と「皇帝」は、この「鷲」の意味では連繋カードとなります。(もちろんほかの連繋象徴もあります)


同じ形の象徴を見つけることは単純ではありますが、リーディングにおいては、その象徴自体の意味を理解していないと連繋カードとして読むことができません。これは考えるまでもなく当たり前のことですね。


ですから上記の「」の例でいえば、「鷲」の意味が何なのかを象徴的に知っていないといけないわけです。


だからこそカモワン版マルセイユタロットの学習においては、カード一枚一枚の細かな図柄と象徴について多くの時間を割いて解説されるのであり、それがリーディングでも非常に重要となってくるのです。

そして、次に初学者が陥りがちなのは、引き続き同じ例を出しますが、「女帝」と「皇帝」での「鷲」が連繋であり、その意味も理解したとしても、画一的に連繋を読んでしまうということです。


いわば、連繋の読み方の決めつけです。


もし仮に「鷲」が知性を示すとすれば、もうとにかく鷲が出れば知性とワンパターンで覚えてしまい、「知性をもって対処する」としか読めないという事態です。


この場合、図柄は象徴であるという最初の基本に戻らねばなりません。


象徴ということは、何かの象徴ということであり、ひとつだけのことを示しているのではありません。


肝心なのはリーディングにおける問い(質問・占的)と、実際にリーディングしている時に訪れるクライアントとリーダーの情報のやり取り、コミュニケーション、インスピレーション、直観などによって、その連繋している象徴の意味も変わってくるということです。


さらに一見、一つしか同じ絵柄の象徴がないように見えても、よく観察すると、ほかの象徴も共通していることに気づく時もあります。


先に述べた「女帝」と「皇帝」でも、連繋している同じ象徴は「鷲」だけではないのです。


ですから、カード同士によっては複数の象徴の連繋が隠されていることもあります。その場合でも、どの象徴連繋が一番このリーディングにおいて大事なのかを見極めていくことも大切になってきます。

それには、図柄と象徴の知識、連繋を発見する集中力と観察眼、連繋発見とその選択の法則の理解も必要です。


とはいえ、まず最初は基本的なわかりやすいカードの象徴を覚えること、そしてそれを複数のカードから見つける訓練がポイントとなります。


初めは言われないと、なかなか自分では気がつきません。私もそうでした。


ですから、たくさんのリーディング例をライブで見たり、自分自身がカモワンタロットのプロリーダーにリーディングを受けたりすることがいいのですね。


基本の連繋カードについて書きましたが、次回にはもっと広い意味での連繋カードのことについてお話したいと思います。

つづく。


タロットリーディングをプロとしてやりたい方へ。

私も一応、「タロットの先生」をしておりますので、習われた方たちも次第に増えて来ております。


私の講座は、タロットのすばらしさを伝えることタロットを人生に活かす方法のひとつとしてリーディング(占い含む)をお教えしていくという趣旨なので、いわゆるプロの占い師養成という目的がメインではないところがあります。


とはいえ、タロットを知り、リーディングになじんできますと、これを活かして仕事にしたいという方も出てこられます。


そのことはタロットを使った対人支援をされる人が増えるということで、私としてもうれしいことではあります。


そのために、基礎コースからさらに上を目指すための(プロのタロットリーダーになる人向け用の)発展コースというものも用意しています。


その発展コースでも最初にお伝えしていることですが、やはり「プロのタロットリーダーになる」ということになりますと、単にタロットが読める、タロットの知識があるというだけでは成り立たないところがあります。


ところで、私の伝えているマルセイユタロットでは、「二元とその統合」ということがひとつのテーマとしてあります。


何事も陰陽や男女、ポジとネガ、表と裏というように、ふたつの側面があり、それらを統合していくことに人や物事の完成の道筋があるというものです。


これを「プロのタロットリーダーになる」ということに当てはめますと、たくさんのふたつの側面(要素)が挙げられます。


先ほど述べた「技術や知識」ということがひとつだとすると、もうひとつは「人間性」や「コミュニケーション」ということにもなります。


また「タロットリーディングそのもののテクニック」と「集客や仕事としてのテクニック」と分けると、またふたつの違った側面が出ます。


それらを統合してこそ、一人前のプロとしてのタロットリーダーということになります。


私は釣りを趣味のひとつとしていますが、船に乗って釣りをする場合、その船の船長さん(船頭さん)の人柄、サービス面を重視します。


私が釣りをする海域ではたくさんの釣り船があるものの、私はいつもA船長の船を真っ先に予約します。


なぜならば、A船長のお人柄とサービスが他船の群を抜いているからです。料金はどの船も同じです。でも気持ちよく釣りができるのはA船長の船なので、また乗りたいと思わせます。


しかし、それだけではありません。A船長のよいところは、何より「釣らせる技術が高い」ということです。


考えてもみてください。いくらサービスや船長の人柄がよくても、肝心の魚が釣れなければ話にならないのです。


人によっては「釣れなくても気持ちよく釣りができればいいや」というお客さんもいます。しかし、ほとんどの方は「釣り」をしに来ているわけですから、魚が釣れないと満足は得られないのです。結果も必要なのです。


レストランでも、シェフや従業員のサービスはよくても、料理が激マズだったらやはり流行らないでしょう。


プロのタロットリーダーも同じことです。まずはリーディングできる技術、人とコミュニケーションできる技術が第一に必要です。


その上でやはり、自分の人間性を磨き、高い志をもってリーディングする内面の充実も図っていくことが求められます。


ただタロットリーディングの場合は、対人ということが強調されるので、タロットリーディングのテクニックよりも、人間性のほうが重視されることもあります


だからといって、リーディング技術をおろそかにしていいということではありません。


こうした二元を常に意識して、その統合を図るよう努力していけば、きっとすばらしいタロットリーダーになれるでしょう。


もちろん私もまだまだ統合ができていない面が多く、日々精進です。


無理に原因を追求しないタロットリーディング

タロットリーディングは無理矢理「何としても読み解いてやろう」と気負うと、逆に心が緊張してしまってうまく読めなくなることが多いものです。


これは初学者にありがち・・・と思われるかもしれませんが、案外、プロとしてやり始めた段階、あるいはある程度リーディングに自信がついてきた時でも結構起こりうることです。


なぜそうなってしまうのかと言えば、ほとんどは「原因を追求しようとし過ぎる」ことによるものだと考えられます。


特にカモワン流でも日本的なカモワン流の方法(フィリップ・カモワン氏から直伝ではない日本式のカモワン流)では、問題カードと解決カードの論理性にこだわりすぎるあまり、問題を引き起こした要因を分析してリーディングする傾向になる嫌いもあります。(ただし、その方が効果的でよいこともあります)


タロティスト(専門的なタロットリーダー)としては、やはりあくまでタロットからのメッセージをそのまま伝える姿勢が大切だと思います。


たとえば、「恋人」カードが解決カードで出ていれば、ついつい常識的に「コミュニケーションすべし」「相談をする」などの「社会的な」読みをするのですが、そのまま「恋愛をしよう」「恋があなたを癒し、解放する」と読めることもあります。


この例では、もし年齢が行っていて、結婚もしていて、さらには病気がちの身の上であるのに「恋をしよう」とは一体どういうことか? と悩むと思います。


その理由を私たちが日常考えているような「論理的な」理屈でタロットからひねり出そうとしてみても、結局はわからないものなのです。


「理由はわからないけれども、あなたは恋をすることで救われるとタロットが告げている(ように感じる、読める)」のなら、そのまま伝えればいいということです。


もしかすると、この人の場合、人間ではなく、動物や趣味、自然や物に恋をするということなのかもしれません。


好きなものを見つけ、それを愛することで自分を愛することにもつながり、ありえないと思えるような奇跡や再生、人生の輝きが訪れるかもしれないのです。(でも、これもまたひとつの理屈的な解釈です)


カモワン版マルセイユタロットの教えでは、人間には神性(神である性質、完全性)が宿っており、それを認識し、発現していけば神に至れるということがタロットで示されていると考えられています。


とはいえ、それを思い出す、神なる部分を広げている最中なのが現実に生きている私たち自身です。


ですから、まだまだ道の途上にあるので、完全性は自分の中に可能性としてあるものの、いつも完全というわけではありません。


このため、今の自分にわからないこともあって当然です。


いわば完全ではある(要素は備わっている)が完璧ではないということでしょうか。完璧にこだわりすぎると、まさしく自分の中に「壁」を作ってしまいます。


「どうにかしてクライアント(あるいは自分)の問題の原因を突き止めないと解決に至らない」と思うより、「とにかくこうすればよくなっていくのだ」「このようなことをタロットは知らせてくれている」と感じることも、時には必要だということです。


これはわからないまま放置するということを意味しているのではありません。


その時にはわからないけれども、タロットのメッセージには高次の方策も伝えられており、現時点の自分には理解不能であっても、タロットの示唆を受けて入れてみると、後にその理由がわかって、自分自身のレベルや幅が広がるということでもあります。


それがすなわち、自己成長でもあるのです。


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