視点と軸。タロットの展開法から。

かつて、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」というテレビと映画の作品がありました。


あの「Love Letter」の監督、岩井俊二氏の作品であり、幼い時代の奥菜恵が出演していることでも話題になったものですが、別にこの作品のことをここで語るわけではありません。(個人的にはノスタルジックで好きですが;)


今回お話するのは、まさに「下から見るか、横から見るか」ではないですが、タロットリーディングにおける「視点」のことになります。


カモワン式の展開法にはいろいろなバージョンがあることを説明しました が、「解決カード」(文字通り、問題の解決を示唆するカード)に着目した分類をすると、解決カードを下方向に置くやり方と上方向に置くものとの違いによる二種類があります。


規則的にはそれだけの違いであるとはいえ、やってみればわかりますが、見た目の雰囲気もかなり違ってきますし、実際にリーディングの内容にも差異が見られるように感じます。


ひとことで説明しますと、上向きが精神的(スピリチュアル的)視点、下向きが現実的視点だといえるでしょう。


これは人の視線と気持ちがどういった時にどういった方向を見るのかということを分析すれば、非常に理にかなったやり方だと思えます。


私自身は研究と実践により、現在は上向きに解決カードを置いていくことをメインとしています。しかし下向きに置くことも必要なケースもあります。


出ているカードは同じでも、上に上がっていく展開を見るのと、下に降りてくる展開を見るのとではずいぶん印象が違います。今まで気付かなかったことも見えてくるようになり、そこから新たな発想も生まれます。


つまり視点や視線方向を変えただけで、考え方も変わると言うことです。


カモワンタロットが視線を重視しているのにも、こういった理由がひとつにはあるのです。


このことをもっともカード単体で表しているのは、「吊るし」のカードです。このカードの人物は逆さまの視点で物事を見ているからです。

解決カードを置く方向性だけではなく、ひとつの展開方法を上下左右、いろいろな方向から見てみることもお勧めします。


そうするとあるカードが非常にクローズアップされたり、立体的に見えたりして、展開自体のメッセージが直観的に感じられることもあります。


時にはタロット自体から視線をはずしてみることさえも有効である場合があります。特にリーディングで煮詰まったり、出た展開の意味がまったく読み取れないなどの時は効果的です。


単純にリーディング練習としても、相手側と位置を交替するだけで、別の「ふたつの視点」を体感することができます。


これは実は視線だけのことではありません。


たとえば過去に戻った気分で今を見る、未来から今を想像して見るなどの時系列観点も面白いですし、多くの人の(それも性別・年齢・出身などの違いによる)意見を聞くというのも、ある意味考察視点の違いの比較ができて、多様性を促進されます。


と、このようなことはどこでも語られているので新鮮味もないかもしれませんので、もう少し付け加えたいと思います。


一気にいろいろな視点から刺激を受けるのもよいのですが、かえって混乱することもあります。


従って「テーマ」は最初に決めておいたほうがよいでしょう。視点は変えるけれども、テーマや主題は変えないという姿勢です。


例えば、先のタロット展開法の例でいえば、上や下という方向・視点の違いを見るのはいいのですが、リーディングの問い、何をそこから得ようとするのかという主題は固定させておくということです。


これをしないと、例えば「おいしいラーメンを食べたい」という目的でネット検索で口コミを見たり、友人から噂を聞いたりという視点を変えた調査をいろいろしたはいいけれど、そのうち自分のメタボさが気になって、いつのまにかメタボ予防の食事メニューを探してしまっている、というようなことにもなりかねません。(まあ、この場合はその人の健康にはいいかもですが・・・(^_^;))


主題も複数、視点も多数だと発想は出てきてもまとめきれずに、逆に消化不良を起こしてしまうおそれもあるのですね。いきなり鏡張りの動く立体ハウスの中に入って酔ってしまうようなものといえましょう。


視点の多角化は大切ですが、その前にはまず「主題」や「テーマ」といった自分の中心軸を定めることもまた重要だと言えます。


で、打ち上げ花火、結局下や横からどう見えたのでしょうか? それはこの夏、実際に打ち上げ花火を見に行かれるか、映画を見てご確認くださいませ。(笑)

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